双子と弁当屋の娘
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付けられているな、
とは思っていた。
後ろを付いて歩く複数の足音にサクラはため息をつく。
それが聴こえたのかサクラの腕の中で眠っていた小さな体が動いた。
彼女の体越しに後ろの様子をみた彼は顔をしかめ小さく鳴く。
『襲われたのか?』
「ううん、まだ」
まだ、だがそろそろ相手も痺れを切らしてくるころだろう。
いくつもあった足音の内、一つが何処かへ消えた。
それが何処へ消えたのか探している間に横の路地から手が伸びて引き込まれる。
「ぎゃっ!!」
思わず自分で出した色気のない声に少し悲しいかな、だが今は悲しんでいる暇はなく明らかに悪人という顔をした男が私の腕を付かんでいるのだ。
「お嬢ちゃんごめんねーお兄さん達、今お金に困っててさー
助けてくれない?」
そんな言葉と共に吐いた息は以外にも甘いバニラの匂いがした。
アイス買うお金があるんだから全然お金に困ってないじゃないと思うのだが下手に口出しするとどうなるか分からないので持っていた鞄を抱き締め口を閉ざす。
「あれー?どうしたのかな?もしかしてお兄さんが恐いのかなー?
大丈夫、お金をくれたらお兄さん達は君に何もしないから」
なあ、お前ら。と男が声をかけるとサクラの後を付けていた男達がサクラの逃げ道を阻む様に立っていた。
前に一人、後ろに三人、敵に挟まれたこの状況は絶体絶命と言うべきだろうか。
そんな事をぼんやり考えていれば肩で彼が唸る声が聴こえた。
見ればいつ移動いたのか、肩に移動した彼が牙を剥き出し男達を威嚇している。
彼なりに一生懸命威嚇しているのだが見た目はぬいぐるみの様な愛らしさだ。
申し訳ないが今の彼の姿では迫力が足りない。
「泣けるねぇ、そんな小さいのに主人を守ろうって言うのか」
「あの肩の小さいの、お嬢ちゃんの騎士らしい」
これは、傑作!と男達が笑った。
男達が笑い貶める度に彼の表情が険しくなる。
しまいには
『あいつら全員、八つ裂きにしてやる』
と恐ろしい事まで言い出す。
「それだけは止めてね。相手はポケモンを出さず丸腰なの
怪我何てさせたら私はトレーナーカードの剥奪、貴方は姐さんのお仕置きが待ってるわよ」
そう言うと彼の体がぶるりと震えサクラの腕の中に戻ってしまう。
『だけど、お前』
「大丈夫。確かに複数相手にするのは大変だけど」
サクラは靴の爪先で地面を叩き強度を確めた。
幸いな事にサクラは今日、近場に出る用のサンダルではなく、遠出に使う丈夫なブーツを履いている。
「さっきから何、ぶつぶつ言ってんだ?」
「さっさと金を渡せ!」
「雑魚位、私一人で充分よ」
サクラが足を綺麗に振り上げたと同時に今まで彼女の腕を掴み、道を阻んでいた男の体が後ろに飛んだ。
呆気になる仲間の男達、サクラはそれをチャンスに倒れた男を踏みつけて広い道に出る。
気付いた男達は慌ててサクラを追った。