双子と弁当屋の娘
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ノボリとクダリはドラゴンと飛行タイプのポケモン、サクラとトウコにも彼等と同じタイプのポケモンがいた。
個々の能力はどうあれ、サブウェイルールによりポケモンのレベルが統一されている今、勝敗を決めるのにはトレーナーの判断能力が求められる。
「この組合わせ、ポケモンへの命令を一つでも間違えればそれが命取りとなります」
「変なプレッシャーを与えないで下さいよノボリさん」
「これは申し訳ありません」
互いの視線がぶつかるなか、サクラはボールを構え、カイリューに向けた。
「"カイリュー君"」
大きな巨体はボールから出た赤い光線に吸い込まれる様、その場から消える。
「「え、」」
トウコとクダリの声が重なった。
「どうしてカイリュー君を戻しちゃうんですか!」
「そうだよ!そのカイリューならノボリのオノノクスとの相性バッチリなのに」
信じられない、という二人にサクラはただ苦笑いを浮かべる。
「彼女のカイリューはシビルドンの"10まんボルト"を受けてかなりのダメージ、それに加え麻痺状態となっておりました」
「さっきは何とか"じしん"を出す事が出来たけどいつ動けなくなるか分からない」
「そうなる前にポケモンを入れ換えるのは賢明な判断だと私は思います」
ノボリの言葉にトウヤも賛同していた。
二人の説明を信じきれていないのかトウコはサクラに向かって本当なのか尋ねる。
サクラは小さく頷くと、ぐったりしたカイリューをボール腰に撫でて鞄にしまった。
そして腕に抱いていたリーシャンを床に下ろす。
「そんな小さな子で大丈夫?気をつけないとオノノクスに踏み潰されちゃうよ?」
「・・・オノノクス気を付けて下さいまし」
クダリの言葉をノボリが気にする程リーシャンは小さかった。
アーケオスやウォーグルは常に浮いているので踏み潰す事は無いだろうがオノノクスならそれはあり得る。
オノノクスはノボリの忠告を理解しているのか自分より遥かに小さいリーシャンを見下げ、緊張した面持ちで頷く。
リーシャンは周りを自分よりも大きなモノ達に囲まれても動じる様子はなく、体を傾けては綺麗な音を流した。
「では、バトルを再開致しましょう」
向かい合い、座る彼等。
電車はライモンシティーに戻るため揺れていた。
オノノクスに踏まれると心配されていたリーシャンは体の何処かが傷付いているという事もなく元気にサクラの膝の上を転がる。
「先程のバトル、大変ブラボーでございました」
姿勢よく向かいに座ったノボリはキラキラと何時になく明るい表情で口を開く。
それはクダリも同じで、二人して同じ顔をするものだから今の二人は服装以外で見分けるのは難しい。
「君のリーシャン凄いね!カイリューも強かったけどリーシャンはすっごく強かった!!」
「クダリの言う通りでございます!特に最後の"おんがえし"の威力。あれは貴女様とリーシャンの信頼があってこそ成せる技」
興奮気味に話すクダリとノボリに対しサクラは無反応で、サクラはひたすらリーシャンの紅白の紐を弄っている。
膝の上のリーシャンはサクラが紅白の紐を弄る度に擽ったいのか身を(というより頭の紅白の紐を)捩らせた。
それでもノボリとクダリは話を続ける。
マルチでは久し振りの連勝者、しかも相手はバトルサブウェイに初めて挑戦してきた人間で挑戦者にマンネリを感じていた二人には願ってもない相手だった。
イッシュでは珍しいポケモンを使い、変わった戦略を使う。
彼女の使うモノ何れもが二人には新鮮で刺激を与えてくれる。
二人は興奮していた。
冷めきらぬバトルの余韻に浸っていた二人はサクラが不機嫌な事に気付いていない。
しかし、サクラを挟む様に座っていたトウコとトウヤにはサクラが不機嫌なのが分かった。
バトルの間、声が出せないからとリーシャンの力でテレパシーを送ってくれていたサクラが静かなのだ。
よくよく顔を見れば長い前髪に隠れた眉間には深くはなくも皺が入っている。
これは不味い、トウコとトウヤは未だ熱く語り続けるノボリとクダリに話かけた。
「もう、彼女の話だけじゃなくて私達も少しは褒めて下さいよ」
トウコの言葉にノボリが乗る。
「これは申し訳ございません。
トウコ様もトウヤ様も何時もとは違う相手と組んだにも関わらず見事なバトルでした」
「だけど、何時もよりバトルが粗かったね。何だか先走ってる感じだった」
二人の敗因を的を射ぬくよう的確に捉えたクダリにトウコとトウヤは言葉を詰まらす。
「クダリも思いましたか、私も同じ印象を受けました。お二方は何時も素晴らしいバトルをなさいますが今回のバトルは」
「カッコいいとこ見せようって感じで大技ばかり使うから雑だった」
「余り彼女との連携も良いとは言えないものでしたね」
ぐさり、ぐさりと刺さる二人の指摘にトウコとトウヤの心はぼろぼろだった。
的確な指摘をする二人、特にクダリの言った"カッコいいとこ見せようって感じ"は正にずばりと当たっている。
サクラと初めてのバトル、しかも共に戦うとなりトウコとトウヤはサクラに良いところを見せようとした。
カッコいいところを見せようという気持ちだけが先行した結果がノボリとクダリの評価である。
「あー」「うー」と何時になく落ち込んだトウコとトウヤに珍しいと黒白マスターを互いの顔を見合わせ驚いた。
サクラはひたすら無言無反応、トウコとトウヤが落ち込むなか電車はライモンシティーに到着した。
車内に電車がライモンシティーに到着した事を伝えるアナウンスが流れるとサクラはリーシャンを抱えて立ち上がった。
トウコやトウヤを座席に放置したまま電車から外へ出ようとしたサクラをクダリが追い掛ける。
「君、待って!」
これ、とクダリが出したのはスーパーマルチトレインに挑戦出来る切符だった。
「次はスーパーマルチに来てね!」
クダリはそれを手に渡そうとするのだが、サクラは受け取らない。
それどころか首を横に振り、クダリが差し出したそれを押し返す。
「"私、もう帰るね"」
リーシャンを使ってのテレパシーでサクラの声がトウコとトウヤの頭に響いた。
サクラの声を聴いて「そんな!」と同時に立ち上がるトウコとトウヤ。
「・・・ネイティ」
「あれ、君のリーシャン」
何時の間にかリーシャンはサクラの腕の中でネイティに変わっていた。
ポケモンを入れ換えた訳ではない、クダリが瞬きをしたその一瞬でリーシャンがネイティに変わったのだ。
「テレポート」
低く、聞き取りにくい声だった。
サクラの命令にネイティは鳴き声をあげて自身を光らせた。
眩い光にクダリも離れていたトウコやトウヤ、ノボリも目を閉じる。
そして光が収まった頃合いをみて目を開ければそこにサクラの姿はなかった。
「あれ、消えちゃった」
どうして?と疑問をクダリはトウコとトウヤに向けるのだが彼等は答える気が無いようだ。
「敢えて言うなら」
「お二人とのバトルが彼女を不快にさせた、って所ですかね」
「私達がですか?それはどういう事、」
か聞こうとノボリが二人に迫った所、トウヤは両腕を交差してこれ以上聞かれるのを拒否した。
「それは彼女に聞いて下さい」
「でも僕達、あの子には今日初めて会った!」
「そんな事ない筈です」
トウヤは顔に貼り付け様な笑みを浮かべ、自身が持っていた紙袋をノボリに押し付ける。
「これは、」
紙袋の中を覗けばビニールに包まれた"赤"だった。
ビニールにはイッシュで幾つも店を展開するクリーニング店の名前。
それから推測するに中身は恐らく服。
「この服が彼女の手掛かりになるのですか?」
「なります」
はっきりと答えたトウヤの服をトウコは引っ張った。
その顔はもう帰ろうと言っている。
「ねえ、トウヤ」
「分かってるよトウコ。
じゃあ、確かにその服お返ししましたから」
そう言ったトウヤをトウコは怒鳴った。
トウコは力ずくでトウヤを引っ張り電車を降りる。
電車に残されたノボリとクダリ。
クダリはノボリが持っていた紙袋の中を覗いた。
「ノボリ、あの子に服を貸してたの?」
「いえ、そんな筈は・・・ましてや赤い服など」
自分は持っていないと答えたノボリにクダリもそうだよね、と首を傾げる。
だが、トウヤは確かに「お返ししました」と言った。
となると服をこちらが貸していたという事になるのだがノボリにはそんな記憶はない。
「中の服、出してみようよ。
服を見て何か分かるかも」
クダリの提案にノボリは「そうですね」と頷き、紙袋から中の服を取り出した。
畳み折られた服を開き見て二人は同じ声をあげる。
「「あ、」」
「サブウェイマスターの」
「赤いコート」
個々の能力はどうあれ、サブウェイルールによりポケモンのレベルが統一されている今、勝敗を決めるのにはトレーナーの判断能力が求められる。
「この組合わせ、ポケモンへの命令を一つでも間違えればそれが命取りとなります」
「変なプレッシャーを与えないで下さいよノボリさん」
「これは申し訳ありません」
互いの視線がぶつかるなか、サクラはボールを構え、カイリューに向けた。
「"カイリュー君"」
大きな巨体はボールから出た赤い光線に吸い込まれる様、その場から消える。
「「え、」」
トウコとクダリの声が重なった。
「どうしてカイリュー君を戻しちゃうんですか!」
「そうだよ!そのカイリューならノボリのオノノクスとの相性バッチリなのに」
信じられない、という二人にサクラはただ苦笑いを浮かべる。
「彼女のカイリューはシビルドンの"10まんボルト"を受けてかなりのダメージ、それに加え麻痺状態となっておりました」
「さっきは何とか"じしん"を出す事が出来たけどいつ動けなくなるか分からない」
「そうなる前にポケモンを入れ換えるのは賢明な判断だと私は思います」
ノボリの言葉にトウヤも賛同していた。
二人の説明を信じきれていないのかトウコはサクラに向かって本当なのか尋ねる。
サクラは小さく頷くと、ぐったりしたカイリューをボール腰に撫でて鞄にしまった。
そして腕に抱いていたリーシャンを床に下ろす。
「そんな小さな子で大丈夫?気をつけないとオノノクスに踏み潰されちゃうよ?」
「・・・オノノクス気を付けて下さいまし」
クダリの言葉をノボリが気にする程リーシャンは小さかった。
アーケオスやウォーグルは常に浮いているので踏み潰す事は無いだろうがオノノクスならそれはあり得る。
オノノクスはノボリの忠告を理解しているのか自分より遥かに小さいリーシャンを見下げ、緊張した面持ちで頷く。
リーシャンは周りを自分よりも大きなモノ達に囲まれても動じる様子はなく、体を傾けては綺麗な音を流した。
「では、バトルを再開致しましょう」
向かい合い、座る彼等。
電車はライモンシティーに戻るため揺れていた。
オノノクスに踏まれると心配されていたリーシャンは体の何処かが傷付いているという事もなく元気にサクラの膝の上を転がる。
「先程のバトル、大変ブラボーでございました」
姿勢よく向かいに座ったノボリはキラキラと何時になく明るい表情で口を開く。
それはクダリも同じで、二人して同じ顔をするものだから今の二人は服装以外で見分けるのは難しい。
「君のリーシャン凄いね!カイリューも強かったけどリーシャンはすっごく強かった!!」
「クダリの言う通りでございます!特に最後の"おんがえし"の威力。あれは貴女様とリーシャンの信頼があってこそ成せる技」
興奮気味に話すクダリとノボリに対しサクラは無反応で、サクラはひたすらリーシャンの紅白の紐を弄っている。
膝の上のリーシャンはサクラが紅白の紐を弄る度に擽ったいのか身を(というより頭の紅白の紐を)捩らせた。
それでもノボリとクダリは話を続ける。
マルチでは久し振りの連勝者、しかも相手はバトルサブウェイに初めて挑戦してきた人間で挑戦者にマンネリを感じていた二人には願ってもない相手だった。
イッシュでは珍しいポケモンを使い、変わった戦略を使う。
彼女の使うモノ何れもが二人には新鮮で刺激を与えてくれる。
二人は興奮していた。
冷めきらぬバトルの余韻に浸っていた二人はサクラが不機嫌な事に気付いていない。
しかし、サクラを挟む様に座っていたトウコとトウヤにはサクラが不機嫌なのが分かった。
バトルの間、声が出せないからとリーシャンの力でテレパシーを送ってくれていたサクラが静かなのだ。
よくよく顔を見れば長い前髪に隠れた眉間には深くはなくも皺が入っている。
これは不味い、トウコとトウヤは未だ熱く語り続けるノボリとクダリに話かけた。
「もう、彼女の話だけじゃなくて私達も少しは褒めて下さいよ」
トウコの言葉にノボリが乗る。
「これは申し訳ございません。
トウコ様もトウヤ様も何時もとは違う相手と組んだにも関わらず見事なバトルでした」
「だけど、何時もよりバトルが粗かったね。何だか先走ってる感じだった」
二人の敗因を的を射ぬくよう的確に捉えたクダリにトウコとトウヤは言葉を詰まらす。
「クダリも思いましたか、私も同じ印象を受けました。お二方は何時も素晴らしいバトルをなさいますが今回のバトルは」
「カッコいいとこ見せようって感じで大技ばかり使うから雑だった」
「余り彼女との連携も良いとは言えないものでしたね」
ぐさり、ぐさりと刺さる二人の指摘にトウコとトウヤの心はぼろぼろだった。
的確な指摘をする二人、特にクダリの言った"カッコいいとこ見せようって感じ"は正にずばりと当たっている。
サクラと初めてのバトル、しかも共に戦うとなりトウコとトウヤはサクラに良いところを見せようとした。
カッコいいところを見せようという気持ちだけが先行した結果がノボリとクダリの評価である。
「あー」「うー」と何時になく落ち込んだトウコとトウヤに珍しいと黒白マスターを互いの顔を見合わせ驚いた。
サクラはひたすら無言無反応、トウコとトウヤが落ち込むなか電車はライモンシティーに到着した。
車内に電車がライモンシティーに到着した事を伝えるアナウンスが流れるとサクラはリーシャンを抱えて立ち上がった。
トウコやトウヤを座席に放置したまま電車から外へ出ようとしたサクラをクダリが追い掛ける。
「君、待って!」
これ、とクダリが出したのはスーパーマルチトレインに挑戦出来る切符だった。
「次はスーパーマルチに来てね!」
クダリはそれを手に渡そうとするのだが、サクラは受け取らない。
それどころか首を横に振り、クダリが差し出したそれを押し返す。
「"私、もう帰るね"」
リーシャンを使ってのテレパシーでサクラの声がトウコとトウヤの頭に響いた。
サクラの声を聴いて「そんな!」と同時に立ち上がるトウコとトウヤ。
「・・・ネイティ」
「あれ、君のリーシャン」
何時の間にかリーシャンはサクラの腕の中でネイティに変わっていた。
ポケモンを入れ換えた訳ではない、クダリが瞬きをしたその一瞬でリーシャンがネイティに変わったのだ。
「テレポート」
低く、聞き取りにくい声だった。
サクラの命令にネイティは鳴き声をあげて自身を光らせた。
眩い光にクダリも離れていたトウコやトウヤ、ノボリも目を閉じる。
そして光が収まった頃合いをみて目を開ければそこにサクラの姿はなかった。
「あれ、消えちゃった」
どうして?と疑問をクダリはトウコとトウヤに向けるのだが彼等は答える気が無いようだ。
「敢えて言うなら」
「お二人とのバトルが彼女を不快にさせた、って所ですかね」
「私達がですか?それはどういう事、」
か聞こうとノボリが二人に迫った所、トウヤは両腕を交差してこれ以上聞かれるのを拒否した。
「それは彼女に聞いて下さい」
「でも僕達、あの子には今日初めて会った!」
「そんな事ない筈です」
トウヤは顔に貼り付け様な笑みを浮かべ、自身が持っていた紙袋をノボリに押し付ける。
「これは、」
紙袋の中を覗けばビニールに包まれた"赤"だった。
ビニールにはイッシュで幾つも店を展開するクリーニング店の名前。
それから推測するに中身は恐らく服。
「この服が彼女の手掛かりになるのですか?」
「なります」
はっきりと答えたトウヤの服をトウコは引っ張った。
その顔はもう帰ろうと言っている。
「ねえ、トウヤ」
「分かってるよトウコ。
じゃあ、確かにその服お返ししましたから」
そう言ったトウヤをトウコは怒鳴った。
トウコは力ずくでトウヤを引っ張り電車を降りる。
電車に残されたノボリとクダリ。
クダリはノボリが持っていた紙袋の中を覗いた。
「ノボリ、あの子に服を貸してたの?」
「いえ、そんな筈は・・・ましてや赤い服など」
自分は持っていないと答えたノボリにクダリもそうだよね、と首を傾げる。
だが、トウヤは確かに「お返ししました」と言った。
となると服をこちらが貸していたという事になるのだがノボリにはそんな記憶はない。
「中の服、出してみようよ。
服を見て何か分かるかも」
クダリの提案にノボリは「そうですね」と頷き、紙袋から中の服を取り出した。
畳み折られた服を開き見て二人は同じ声をあげる。
「「あ、」」
「サブウェイマスターの」
「赤いコート」