｢相談はもう終わりですか？｣

｢僕達は優しいから話が終わるの待ってたけど、他のトレーナーなら容赦なく攻撃してくる！｣

もう！と此方を指差し叱るクダリにトウコは｢ごめんなさーい｣と笑った。

｢どうやらいい案が浮かんだ様ですね｣

｢ノボリはやられちゃったけど僕は負けないよ！｣

｢なっ・・・私はまだ負けておりません｣

｢でも僕は二体ノボリは一体。
数の多さじゃ僕の勝ち｣

得意気な顔のクダリに対し、ノボリの表情はひきつっていた。
クダリから顔を逸らし、そっぽ向くノボリ。

｢まだ分かりません。勝負とは何処で何が起こるのか分からないものなのですから｣

｢バトルは予測不可能！

だから僕は好き。わくわくして楽しい｣

｢もっと私達に見せて下さいまし｣

｢わくわくして吃驚するような楽しいバトルを！｣



伸びるトウコの手はサクラの手に絡む。

｢絶対あの二人に勝ちましょうね！｣

青空で燦々と輝く太陽の様な明るいトウコの笑みにサクラは ただ無言で頷く。
恋人繋ぎをしたままノボリクダリに向き直る二人をトウヤは後ろから眺める。

｢トウコの奴、ちゃっかりサクラさんと手を繋ぎやがって｣

しかも恋人繋ぎ！
何時までも解かれない二人の手にトウヤの目には嫉妬と羨望の色が見えた。


｢"カイリュー君オノノクスにぼうふう"｣

サクラの命令にカイリューが動く。
背中に生えた羽根を激しく動かし、風の渦を作ればそれをオノノクスにぶつける。

｢オノノクス"まもる"｣

激しい台風の様な風に捕われたオノノクスは何とか技を使い己の身を守るのだが身動きはとれなかった。

｢シビルドン、ウォーグルに"１０まんボルト"｣

｢"カイリュー君！シビルドンを押さえつけて"｣

カイリューは持ち前のスピードでウォーグルと、ウォーグルに襲いかかろうとするシビルドンの間に割り込むと滑りのある体に苦戦しながらも頭を床に押さえつける。

｢何を企ん出るのか知らないけどさ
君のカイリュー、シビルドンの電撃に耐えられるかな｣

滑りあるシビルドンの体躯に黄色い電流が光った。
本来ならウォーグルを襲っていたシビルドンの"１０まんボルト"は押さえる手を伝い、カイリューを襲う。

｢ウォーグル"いわなだれ"｣

トウコの命令に応えるよう一鳴きあげたウォーグルは何処からか岩を落とす。
相手全員を襲う"いわなだれ"にシビルドンはカイリューに押さえつけられた頭以外をゴツい岩に埋もれてしまった。

｢シビルドン！｣

頭以外岩に埋まり、生き埋めとなったシビルドン。

｢"カイリュー君、"｣

カイリューは生き埋めになったシビルドンから手を離すと、その手を車両の床に添える。

｢！クダリ、早くシビルドンに起き上がるよう言いなさい｣

クダリよりも早くサクラ達の思惑に気付いたノボリはそう言うのだが、大量の岩に挟まれたシビルドンはそう簡単には起き上がれ無かった。


｢"じしん"｣


激しい揺れが車体を襲った。
ぐらぐらと揺れる床にふらつくサクラとトウコをトウヤが後ろから支える。

｢"ありがとうトウヤ君"｣

｢どういたしまして｣


｢シビルドン戻って｣

岩に挟まれ、特性である浮遊を封じらろたシビルドンはカイリューの"じしん"をまともに受けて戦闘不能となる。
目を回しぐったりしたシビルドンをボールに戻し、クダリは｢君凄いね！｣とサクラに笑いかけた。

｢だいたいの人は特性が邪魔ならポケモンの技を使って無効にしたりするけど、君みたいに無理矢理な人は僕初めて！｣

これは褒められているのか？よく分からないサクラは取り敢えずクダリにお辞儀する。

｢でも次はそんな無理矢理が上手くいくかな？

いけ、アーケオス｣

赤い光線から出て来たのはトウコのウォーグルよりもカラフルで色鮮やかな羽を持つアーケオスだった。