双子と弁当屋の娘
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「おかしいですね」
パソコンを見つめたまま呟いたノボリにクダリが反応をした。
バチュルと遊んでいたクダリは手を止め、自分の席を離れて「どうしたの」とパソコンの画面を覗く。
画面に映されていたのバトルサブウェイで行われたバトルの記録で画面にはある日の日付と時間、どのトレインでのバトルか事細かく記されていた。
記録の日付にピンときたクダリは
「見付かったの?」
と尋ねるがノボリは首を横に振る。
「彼女のバトルのデータだけ全て消えていました」
彼女とはノボリとクダリが休んでいた間にサブウェイマスターの代理を務めた人物の事。
駅員の話では赤いコートに黒いスカートをはいた女性らしく、彼女と戦ったという常連の客達からは「赤マス」何て略され呼ばれていた。
その赤マスに興味を持った二人は彼女のバトルを見たいと思ったのだが何故かそれらしいデータが見付からない。
「一つも?」
「ええ、一つもデータが残っていません。かなりあるはずのデータがすっぽり抜けているのですからきっと彼女がご自分で消したのでしょう」
「何で消しちゃうの?」
「理由は私にも分かりませんよ」
さて、と立ち上がったノボリはパソコン閉じて鞄に持って帰る物だけをしまっていく。
「ノボリ、もう帰るの?」
バチュルに抱き付きノボリの帰り支度を眺めるクダリは羨まし気だった。
「私は自分の仕事を終えましたから」
まだ昼前ではあったがバトル車両の点検が午後から行われる為、午後からバトルサブウェイはお休み。
いつもなら昼から休みだろうとノボリは残って他の業務をするのだが、最近風邪をひき上から適度に休むよう言われた為彼は今こうして帰る準備をしている。
本当ならクダリもノボリと同じように帰れる筈なのだが、彼は今日中に出さなくてはいけない書類の処理があるため午後からも居残りだった。
「ノボリだけズルい。僕も帰る!」
「でしたらさっさとその書類を片付けなさい。そうしたら私と一緒に帰る事が出来ます」
「今から何て無理」
そう言った彼の机は書類でちょっとした山が出来ている。
これでもノボリが手伝い、溜まっていた書類の三分の二は片付けた。
後はクダリが自分で片付けるべきなのだがバチュルと遊んでいる様子を見る限り、彼はまだ帰れそうにない。
「私は充分貴方を手伝った筈です。後はご自分の力で何とかなさいまし」
鞄を持ったノボリは部屋の扉に手をかけた。
「ノボリの鬼ーっ!意地悪っ!」
後ろからそんな批難の声が聞こえたがこれ以上手伝ってはいけない、クダリの為にならないと自分に言い聞かせてノボリはギアスステーションを後にする。
普段はあまり見ることのない昼間の太陽がノボリには眩しく見えた。