双子と弁当屋の娘
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「おい、止まれ」
「止まれと言われて止まる馬鹿がいますか」
と、言いつつも足を止めた私は馬鹿なのかもしれない。
いつもならここでゾロアークに『お前が馬鹿だ』と辛辣なお言葉をいただいているのだろうが、今日は違った。
後ろで買い物の荷物を持ったラッキーさんが心配そうにこちらを見ている。
私は大丈夫だとラッキーさんに笑顔で親指を立てた。
「俺達はプラズマ団、お前の持つポケモンを解放しろ!」
「しなければ?」
答えは分かりきっているが、一応、尋ねてみれば先頭の男を筆頭に水色のてるてる坊主がモンスターボールを掴み投げる。
「力付くでも奪う」
歪みのない答えにサクラの顔は弛み歪んだ。
「何だその顔は」
気に入らないとでも言うようにプラズマ団の一人がサクラを睨む。
だがサクラの防御は下がる事がなく、笑うのを堪え鎮めたサクラは「だって」と口を開いた。
「だっておかしいんだもん。
言ってる事は無茶苦茶だし、自分の言ってる事に疑問は抱いてないし、服装も
あ、写真撮っても良いですか?」
後で「プラズマ団に絡まれたww」ってメールを知り合いに送ろうと、ライブキャスターを鞄から取り出したサクラはカメラ機能を立ち上げて自分の前に立つ彼等に向ける。
彼等に許可もなく写真を撮ったサクラはその写真をラッキーにも見せて、一人と一匹は笑った。
「服装は仕方がない!」
入団した時からこの制服だったんだと言った先頭の男はサクラに告げた。
「だが、俺達の考えの何処がおかしい?!
お前は人間達によって傷付け虐げられたポケモンを可哀想だと思わないのか?
ポケモンは人間と違い無限の可能性を持つ生物なのに人間達に抑圧されて本来の力を出せずにいる
そんなポケモン達を解放しようという我等プラズマ団の考えがおかしいと言うのか」
誰かの言葉をさも自分の考えだと言わんばかりに話す男に、頷く部下達。
その姿がおかしくてサクラは再度彼等にライブキャスターのレンズを向けた。
「写真はもう止めろ!」
そう言った男が手持ちのミネズミに命令したのは"すなかけ"。
奇しくもここら一帯の表層が砂地だった為に、サクラとラッキーを大量の砂が襲った。
「うわっ?!・・・うえ、口に砂が入った」
『私もです』
二人して口に入った砂を吐き出していればそれをくすくすと笑う声。
「さあ、これよりもっと酷い目にあいたくなければお前のポケモンを解放しろ!」
じり、とミネズミにヤブクロンがサクラに迫る。
「だからその行動がおかしいのよ」
"ポケモンを解放する。"
「解放したいなら勝手に解放すればいい。
だけど、それを何故ポケモンに手伝わせるんですか?
自分達はポケモンを解放すると言いながらポケモンを使って人からポケモンを奪っている。
自分達の都合でポケモンを使って解放なんて矛盾しているわ」
ミネズミやヤブクロンが構えているにも関わらず、サクラは前に出た。
「そんなにポケモンを解放したいのなら、ポケモンの手を借りずに解放しなさいよ」
並び構えるミネズミとヤブクロン達の間を抜けてサクラは先頭の男の腕を掴み上げる。
「この、自分の手で!」
「う、五月蝿い!」
「うわっ、と」
サクラの掴む手を振り払った男は勢いよく彼女を突き飛ばすも、それをラッキーが受け止めた。
「我々の言うことに従えないのなら力付くで奪うだけ!いくぞ」
プラズマーと上がる掛け声。
プラズマ団はミネズミとヤブクロンに攻撃を命じた。
『サクラさん、私に命令を!あんな奴等私のはかいこうせんで!!』
サクラを支えた状態だったラッキーは下から命令するよう求める。
『今日はゾロアークさんもいないんですよ!』
「ゾロアークは家で今頃寝てるんだろうね」
『サクラさん!』
"ひっさつまえば"をする体勢で他のポケモン達よりも速く飛び出してきたミネズミに痺れを切らしたラッキーはサクラを支えるのを止めて前に出た。
"まもる"の用意をするラッキーだがミネズミはもう目の前で防御が間に合わない。
思わずやられると目を閉じた瞬間、ミネズミの痛々しい声が聞こえた。
「ラッキーさん、大丈夫大丈夫」
ぺしぺしとラッキーの頭を軽く叩いたサクラ。
「彼等が私のテリトリーに入った時点で私達の勝ちなの」
見れば、先程襲ってきたミネズミは倉庫の壁に凭れ目を回していた。
明らかに何かに飛ばされた筈なのに何処にも"何か"の姿がない。
尻に付いた砂を払い、サクラは立ち上がる。
「私が貴方達をおかしいと言った話の続きね。
貴方達は言うことがやることが矛盾だらけで、その矛盾にも気付かないおかしな人、服装もおかしな人、でも一番おかしいのは身の程知らずなところ」
そこで先程我慢していた分も含め一頻り笑ったサクラは目に涙を浮かべながら「ねえ、知ってる」と尋ねた。
他の地方の話
黄昏になると
よくないモノが現れる
それが
「逢う魔が時」
気付けば話している間に日が暮れている。
橙色の太陽が沈みかけ、辺りにも暗い影が落ちてきた。
「今がまさに逢う魔が時」
サクラの言葉に誰かが唾を飲み込んだ。
ざわざわと誰かが喋る様な音がして振り向くも団員は誰も喋ってはいない。
「・・・その逢う魔が時だからこのままじゃ何か起こるってか?帰りたいなら帰ればいい、だがお前のポケモンは・・・何だ」
服を引かれて振り返れば顔色を真っ青にして何かを訴えようとする女子団員。
話の途中で邪魔をされ、不機嫌にもなりながら用件を聞けば彼女は無言のまま天を指差す。
見れば橙の空に蠢く黒い煙の様なもの。
それは自分達の頭の上をぐるぐると旋回していた。
「うわぁっ!!」
今度は後ろにいる団員達の方から悲鳴が上がる。
そちらを見れば団員の一人が影から伸びる黒い手に制服の長い裾を掴まれ引っ張られていた。
「くそっ!離せ離せ離してくれぇ!!」
男がサクラを見れば、彼女はただ笑うだけ。
また団員から悲鳴が上がり今度は何だと、見れば倉庫と倉庫の暗い隙間から無数の目が自分達を見つめている。
プラズマ団は先頭に立っていた男以外戦意喪失をしていた。
それは出していたポケモン達も同じで目を回しているミネズミ以外のポケモンは主人の元に戻り足に抱きついている。
プラズマ団はもはや自分達を取り囲む何かにいっぱいいっぱいで戦闘不能だった。
「くそー撤退だ!」
倒れたミネズミや出していたポケモンをボールに戻して彼はその場から逃げ出す。
その情けない後ろ姿にサクラは再度噴き出した。
「ださい!
自分達を脅かしたのがポケモンだなんて知らずに逃げ出しちゃった」
プラズマ団カッコ悪すぎ!とお腹をおさえ、地面を叩いてサクラは笑う。
「あー可笑しい。
こんなに笑うのは久し振り。プラズマ団のあの情けない姿、ビデオに録っておけば良かった」
そしてテレビ局にでも送れば良かったななんて言っているサクラに『相変わらず酷い人ですね』とラッキーは苦笑いを浮かべる。
「だって私、身の程知らずな人って嫌い」
『さっきは可笑しいって笑っていたのに』
それとこれとは別だと、サクラはいつの間にか落としていたらしい買い物袋を拾い上げた。
『何か絡まれている様だったから奴等を脅かせたけど良かったかい?』
そう言ったのは空に浮かんでいた何か
『俺は服を引っ張ったー』
そう言ったのはサクラの影で影には悪戯な笑みが浮かぶ。
「ゴースとゲンガーありがとう」
「後、皆もありがとう」と言えば倉庫の隙間からわらわらとポケモン達が出てくる。
『どういたしましてー』
『何時もは助けてもらってるからそのおかえしー』
『もうじき暗くなるし家まで送ろうか?』
優しい彼等の申し出を断り、サクラはラッキーの手をとった。
「私にはラッキーさん、ていう心強い味方がいるから大丈夫」
『サクラさん・・・好き!』
抱き付いてきたラッキーを受け止めたサクラは彼を抱えたまま助けてもらったポケモン達にもう一度礼を言い、別れの挨拶をして自宅への帰路につく。
因みに撮ったプラズマ団の写真は「プラズマ団に絡まれたww」というタイトルで何気無くカズマサさんに送ったら後日、何故かノボリさんとクダリさんに凄く心配されました。
「止まれと言われて止まる馬鹿がいますか」
と、言いつつも足を止めた私は馬鹿なのかもしれない。
いつもならここでゾロアークに『お前が馬鹿だ』と辛辣なお言葉をいただいているのだろうが、今日は違った。
後ろで買い物の荷物を持ったラッキーさんが心配そうにこちらを見ている。
私は大丈夫だとラッキーさんに笑顔で親指を立てた。
「俺達はプラズマ団、お前の持つポケモンを解放しろ!」
「しなければ?」
答えは分かりきっているが、一応、尋ねてみれば先頭の男を筆頭に水色のてるてる坊主がモンスターボールを掴み投げる。
「力付くでも奪う」
歪みのない答えにサクラの顔は弛み歪んだ。
「何だその顔は」
気に入らないとでも言うようにプラズマ団の一人がサクラを睨む。
だがサクラの防御は下がる事がなく、笑うのを堪え鎮めたサクラは「だって」と口を開いた。
「だっておかしいんだもん。
言ってる事は無茶苦茶だし、自分の言ってる事に疑問は抱いてないし、服装も
あ、写真撮っても良いですか?」
後で「プラズマ団に絡まれたww」ってメールを知り合いに送ろうと、ライブキャスターを鞄から取り出したサクラはカメラ機能を立ち上げて自分の前に立つ彼等に向ける。
彼等に許可もなく写真を撮ったサクラはその写真をラッキーにも見せて、一人と一匹は笑った。
「服装は仕方がない!」
入団した時からこの制服だったんだと言った先頭の男はサクラに告げた。
「だが、俺達の考えの何処がおかしい?!
お前は人間達によって傷付け虐げられたポケモンを可哀想だと思わないのか?
ポケモンは人間と違い無限の可能性を持つ生物なのに人間達に抑圧されて本来の力を出せずにいる
そんなポケモン達を解放しようという我等プラズマ団の考えがおかしいと言うのか」
誰かの言葉をさも自分の考えだと言わんばかりに話す男に、頷く部下達。
その姿がおかしくてサクラは再度彼等にライブキャスターのレンズを向けた。
「写真はもう止めろ!」
そう言った男が手持ちのミネズミに命令したのは"すなかけ"。
奇しくもここら一帯の表層が砂地だった為に、サクラとラッキーを大量の砂が襲った。
「うわっ?!・・・うえ、口に砂が入った」
『私もです』
二人して口に入った砂を吐き出していればそれをくすくすと笑う声。
「さあ、これよりもっと酷い目にあいたくなければお前のポケモンを解放しろ!」
じり、とミネズミにヤブクロンがサクラに迫る。
「だからその行動がおかしいのよ」
"ポケモンを解放する。"
「解放したいなら勝手に解放すればいい。
だけど、それを何故ポケモンに手伝わせるんですか?
自分達はポケモンを解放すると言いながらポケモンを使って人からポケモンを奪っている。
自分達の都合でポケモンを使って解放なんて矛盾しているわ」
ミネズミやヤブクロンが構えているにも関わらず、サクラは前に出た。
「そんなにポケモンを解放したいのなら、ポケモンの手を借りずに解放しなさいよ」
並び構えるミネズミとヤブクロン達の間を抜けてサクラは先頭の男の腕を掴み上げる。
「この、自分の手で!」
「う、五月蝿い!」
「うわっ、と」
サクラの掴む手を振り払った男は勢いよく彼女を突き飛ばすも、それをラッキーが受け止めた。
「我々の言うことに従えないのなら力付くで奪うだけ!いくぞ」
プラズマーと上がる掛け声。
プラズマ団はミネズミとヤブクロンに攻撃を命じた。
『サクラさん、私に命令を!あんな奴等私のはかいこうせんで!!』
サクラを支えた状態だったラッキーは下から命令するよう求める。
『今日はゾロアークさんもいないんですよ!』
「ゾロアークは家で今頃寝てるんだろうね」
『サクラさん!』
"ひっさつまえば"をする体勢で他のポケモン達よりも速く飛び出してきたミネズミに痺れを切らしたラッキーはサクラを支えるのを止めて前に出た。
"まもる"の用意をするラッキーだがミネズミはもう目の前で防御が間に合わない。
思わずやられると目を閉じた瞬間、ミネズミの痛々しい声が聞こえた。
「ラッキーさん、大丈夫大丈夫」
ぺしぺしとラッキーの頭を軽く叩いたサクラ。
「彼等が私のテリトリーに入った時点で私達の勝ちなの」
見れば、先程襲ってきたミネズミは倉庫の壁に凭れ目を回していた。
明らかに何かに飛ばされた筈なのに何処にも"何か"の姿がない。
尻に付いた砂を払い、サクラは立ち上がる。
「私が貴方達をおかしいと言った話の続きね。
貴方達は言うことがやることが矛盾だらけで、その矛盾にも気付かないおかしな人、服装もおかしな人、でも一番おかしいのは身の程知らずなところ」
そこで先程我慢していた分も含め一頻り笑ったサクラは目に涙を浮かべながら「ねえ、知ってる」と尋ねた。
他の地方の話
黄昏になると
よくないモノが現れる
それが
「逢う魔が時」
気付けば話している間に日が暮れている。
橙色の太陽が沈みかけ、辺りにも暗い影が落ちてきた。
「今がまさに逢う魔が時」
サクラの言葉に誰かが唾を飲み込んだ。
ざわざわと誰かが喋る様な音がして振り向くも団員は誰も喋ってはいない。
「・・・その逢う魔が時だからこのままじゃ何か起こるってか?帰りたいなら帰ればいい、だがお前のポケモンは・・・何だ」
服を引かれて振り返れば顔色を真っ青にして何かを訴えようとする女子団員。
話の途中で邪魔をされ、不機嫌にもなりながら用件を聞けば彼女は無言のまま天を指差す。
見れば橙の空に蠢く黒い煙の様なもの。
それは自分達の頭の上をぐるぐると旋回していた。
「うわぁっ!!」
今度は後ろにいる団員達の方から悲鳴が上がる。
そちらを見れば団員の一人が影から伸びる黒い手に制服の長い裾を掴まれ引っ張られていた。
「くそっ!離せ離せ離してくれぇ!!」
男がサクラを見れば、彼女はただ笑うだけ。
また団員から悲鳴が上がり今度は何だと、見れば倉庫と倉庫の暗い隙間から無数の目が自分達を見つめている。
プラズマ団は先頭に立っていた男以外戦意喪失をしていた。
それは出していたポケモン達も同じで目を回しているミネズミ以外のポケモンは主人の元に戻り足に抱きついている。
プラズマ団はもはや自分達を取り囲む何かにいっぱいいっぱいで戦闘不能だった。
「くそー撤退だ!」
倒れたミネズミや出していたポケモンをボールに戻して彼はその場から逃げ出す。
その情けない後ろ姿にサクラは再度噴き出した。
「ださい!
自分達を脅かしたのがポケモンだなんて知らずに逃げ出しちゃった」
プラズマ団カッコ悪すぎ!とお腹をおさえ、地面を叩いてサクラは笑う。
「あー可笑しい。
こんなに笑うのは久し振り。プラズマ団のあの情けない姿、ビデオに録っておけば良かった」
そしてテレビ局にでも送れば良かったななんて言っているサクラに『相変わらず酷い人ですね』とラッキーは苦笑いを浮かべる。
「だって私、身の程知らずな人って嫌い」
『さっきは可笑しいって笑っていたのに』
それとこれとは別だと、サクラはいつの間にか落としていたらしい買い物袋を拾い上げた。
『何か絡まれている様だったから奴等を脅かせたけど良かったかい?』
そう言ったのは空に浮かんでいた何か
『俺は服を引っ張ったー』
そう言ったのはサクラの影で影には悪戯な笑みが浮かぶ。
「ゴースとゲンガーありがとう」
「後、皆もありがとう」と言えば倉庫の隙間からわらわらとポケモン達が出てくる。
『どういたしましてー』
『何時もは助けてもらってるからそのおかえしー』
『もうじき暗くなるし家まで送ろうか?』
優しい彼等の申し出を断り、サクラはラッキーの手をとった。
「私にはラッキーさん、ていう心強い味方がいるから大丈夫」
『サクラさん・・・好き!』
抱き付いてきたラッキーを受け止めたサクラは彼を抱えたまま助けてもらったポケモン達にもう一度礼を言い、別れの挨拶をして自宅への帰路につく。
因みに撮ったプラズマ団の写真は「プラズマ団に絡まれたww」というタイトルで何気無くカズマサさんに送ったら後日、何故かノボリさんとクダリさんに凄く心配されました。