双子と弁当屋の娘
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普段は職員や来客用にお茶を作る給湯室からクツクツと何かを煮込む音、思わず唾を飲む美味しそうな匂いが給湯室の前を歩く人達の足を止めた。
「ノボリは良いなー」
椅子に座り、ノボリの様子を見とくよう言われたクダリはぶらぶらと足を動かす。
「サクラちゃんに看病してもらえて、手料理迄食べられるんだもん」
羨ましがられている本人は今もぐったりとベッドで眠っているのでクダリの大きな独り言は聞こえていない。
「本当に羨ましいや」
「給湯室?」
サクラにあるかと聞かれてクダリはあると答えた。
「じゃあ、ゾロアーク。おじいちゃんにはもう頼んであるからテレポートして家から持ってきて」
そう頼めばゾロアークは面倒臭そうな顔をしながらクダリにも見覚えのある姿へと化ける。
「あの時の!」
忘れもしない。クダリが初めてサクラの家のお弁当屋へ行った時、急な挑戦者に帰らなきゃ!と焦っていたクダリをタブルトレインの21両目に届けてくれたポケモンだった。
「じゃあ、ケーシィ"テレポート"」
サクラが言えばケーシィに化けたゾロアークが消える。
そしてすぐに両手に袋を沢山抱えて戻ってきた。
袋に入っていたのは
「お米に野菜?」
それに土鍋とスポーツ飲料のボトルが二本。
どうしてサクラがゾロアークにこんな物を取りに行かせたのかわけが分からない。
クダリはそんな顔をしていた。
「僭越ながら私がノボリさんの看病をしようかな、と思いまして」
駄目ですか?と尋ねられてクダリは首を振る。
「寧ろ凄く助かる!けど、
どうして?」
倒れたノボリを発見したのはサクラちゃんだけどノボリが倒れたのはサクラちゃんのせいじゃない。
たまたま、見付けたのがサクラちゃんなだけでサクラちゃんは無関係だ。
それでも看病するって言うのは
彼女はノボリに気があるという事なのだろうか。
そう考えた途端僕の中で何かがもやもやした。
「どうしてって手が空いてるの私だけですし」
「え?」
「だって、クダリさんも他の駅員さんもまだ業務中でしょ?
そんな人達にノボリさんの面倒迄見させるわけにはいかないですし。
病院にノボリさんを運ぶってのもありですが見た限り只の風邪。
一度、病院で診察を受けている様ですから」
サクラは何処から出したのか[抗生物質]と書かれた袋を渡した。
その袋を見ればライモンにある病院とノボリの名前が書かれている。
「また病院に連れて言って診察代を払うのもあれですしね。
だったらこのギアスステーションで唯一手が空いてる私が看病するのが一番合理的でしょ?」
ね、と微笑まれてクダリは固まった。
合理的というよりも
「お人好しすぎだよサクラちゃん」
「お人好しで結構、それよりも給湯室の場所を教えて下さい。
ノボリさんにお粥を作りますから」
なにそれ羨ましい。
そう思ったクダリの心の声は何とか外に漏れる事なく内側でおさまる。
「じゃあ今から案内するね」
と立ち上がれば何故かクダリはサクラに止められた。
「給湯室へは口で教えてもらえれば分かりますからクダリさんは此処でノボリさんの様子を見ていて下さい」
「・・・分かった」
素直に座り直したクダリをみて、サクラは一つクダリにお願いをする。
出来立て熱々のお粥を盆に載せて仮眠室に入ってきたサクラに無線で誰かと話していたクダリはサクラにVサインを向けた。
自分に向けてVサインがどういう意味を持つのか分からないサクラはただ首を傾げる。
その間もクダリは無線で誰かと話しており「うん、分かった!ありがとう!」とお礼を言うと話が終わったのかインカムを外してやはり笑顔でサクラにVサインを向けた。
「何ですか?そのV」
分からないのでクダリに尋ねれば
「サクラちゃんの作戦が成功してるからおめでとうのV!」
答えを返されてもサクラにはいまいちよく分からなかった。
頭を捻り少し考えたサクラは「ああ、」と声を出す。
「さっきお願いした事が上手くいってるんですね」
「僕、今そう言った!
サクラちゃんに頼まれた通り駅員の皆にノボリが倒れた事を伝えたら皆凄く頑張って挑戦者を倒してくれてる」
「挑戦者の皆さんには悪いですけどね」
スーパー、ノーマル関係なく本気でバトルしてくる駅員に負けるであろうトレーナーに申し訳ないと言ったサクラにクダリはそんな事ないと反論した。
「事情はどうあれ、バトルはバトル!バトルに負けたのは自分の力不足!それにノボリがこの状態じゃシングルやマルチの運行は絶対無理!」
「マスターの体調不良を理由にマルチの運行を止めてクダリさんがシングルとダブルを掛け持ちって手もありますがそれはこの間ので掛け持ちしてもお客さんを怒らすだけだって結果が出てますからね」
電車を止められない以上、"お客様を最後の車両に迄行かせない"が最後の策だった。
他にも駅員達に迷惑をかけない策があるのかもしれないが次々に挑戦者が現れる中、長々と考えてはいられない。
「でも、本当に良かったの?
僕もう言っちゃったけど"挑戦者を最後の車両に行かせ無ければ一週間ライモン亭のお弁当タダ"なんて
丁度、皆お給料日前だからやる気は出てたけど」
大丈夫かと心配してくれるクダリにサクラは大丈夫だど笑う。
「おじいちゃんにはもう了承をとってありますから、それに家のお弁当で皆さんのやる気が少しでも上がれば幸いです」
そんな風に話していればベッドで眠っていたノボリが目を覚ました。
「・・・おや、クダリ。それにサクラ様も」
何時もは行動の速いノボリが、今はゆっくりとした動作で腕の時計を見ているのは風邪のせいか起きたばかりだからか、
それはどうやら後者だった様で時計を見たノボリの表情は段々と険しくなる。
「何という事です。まだ就業時間内ではありませんか!何故、私は仮眠室に!クダリ貴方も何こんな所で油を売っているのです。今すぐ執務室に戻って、ああ、挑戦者はどうなって」
そこでノボリは喋るのを止めた。
仮眠用に作られたベッドは二段式でベッドとベッドの間はそんなにも高くなかった。
そんな場所で慌てて起きようとしたノボリは思いっきり頭を打ち、今は悶絶している。
「ノボリ、さん」
「ノボリせっかくだからそのまま落ち着いて話を聞いて」
「・・・何をですか」
「ノボリが寝てる間の話」
「ノボリは良いなー」
椅子に座り、ノボリの様子を見とくよう言われたクダリはぶらぶらと足を動かす。
「サクラちゃんに看病してもらえて、手料理迄食べられるんだもん」
羨ましがられている本人は今もぐったりとベッドで眠っているのでクダリの大きな独り言は聞こえていない。
「本当に羨ましいや」
「給湯室?」
サクラにあるかと聞かれてクダリはあると答えた。
「じゃあ、ゾロアーク。おじいちゃんにはもう頼んであるからテレポートして家から持ってきて」
そう頼めばゾロアークは面倒臭そうな顔をしながらクダリにも見覚えのある姿へと化ける。
「あの時の!」
忘れもしない。クダリが初めてサクラの家のお弁当屋へ行った時、急な挑戦者に帰らなきゃ!と焦っていたクダリをタブルトレインの21両目に届けてくれたポケモンだった。
「じゃあ、ケーシィ"テレポート"」
サクラが言えばケーシィに化けたゾロアークが消える。
そしてすぐに両手に袋を沢山抱えて戻ってきた。
袋に入っていたのは
「お米に野菜?」
それに土鍋とスポーツ飲料のボトルが二本。
どうしてサクラがゾロアークにこんな物を取りに行かせたのかわけが分からない。
クダリはそんな顔をしていた。
「僭越ながら私がノボリさんの看病をしようかな、と思いまして」
駄目ですか?と尋ねられてクダリは首を振る。
「寧ろ凄く助かる!けど、
どうして?」
倒れたノボリを発見したのはサクラちゃんだけどノボリが倒れたのはサクラちゃんのせいじゃない。
たまたま、見付けたのがサクラちゃんなだけでサクラちゃんは無関係だ。
それでも看病するって言うのは
彼女はノボリに気があるという事なのだろうか。
そう考えた途端僕の中で何かがもやもやした。
「どうしてって手が空いてるの私だけですし」
「え?」
「だって、クダリさんも他の駅員さんもまだ業務中でしょ?
そんな人達にノボリさんの面倒迄見させるわけにはいかないですし。
病院にノボリさんを運ぶってのもありですが見た限り只の風邪。
一度、病院で診察を受けている様ですから」
サクラは何処から出したのか[抗生物質]と書かれた袋を渡した。
その袋を見ればライモンにある病院とノボリの名前が書かれている。
「また病院に連れて言って診察代を払うのもあれですしね。
だったらこのギアスステーションで唯一手が空いてる私が看病するのが一番合理的でしょ?」
ね、と微笑まれてクダリは固まった。
合理的というよりも
「お人好しすぎだよサクラちゃん」
「お人好しで結構、それよりも給湯室の場所を教えて下さい。
ノボリさんにお粥を作りますから」
なにそれ羨ましい。
そう思ったクダリの心の声は何とか外に漏れる事なく内側でおさまる。
「じゃあ今から案内するね」
と立ち上がれば何故かクダリはサクラに止められた。
「給湯室へは口で教えてもらえれば分かりますからクダリさんは此処でノボリさんの様子を見ていて下さい」
「・・・分かった」
素直に座り直したクダリをみて、サクラは一つクダリにお願いをする。
出来立て熱々のお粥を盆に載せて仮眠室に入ってきたサクラに無線で誰かと話していたクダリはサクラにVサインを向けた。
自分に向けてVサインがどういう意味を持つのか分からないサクラはただ首を傾げる。
その間もクダリは無線で誰かと話しており「うん、分かった!ありがとう!」とお礼を言うと話が終わったのかインカムを外してやはり笑顔でサクラにVサインを向けた。
「何ですか?そのV」
分からないのでクダリに尋ねれば
「サクラちゃんの作戦が成功してるからおめでとうのV!」
答えを返されてもサクラにはいまいちよく分からなかった。
頭を捻り少し考えたサクラは「ああ、」と声を出す。
「さっきお願いした事が上手くいってるんですね」
「僕、今そう言った!
サクラちゃんに頼まれた通り駅員の皆にノボリが倒れた事を伝えたら皆凄く頑張って挑戦者を倒してくれてる」
「挑戦者の皆さんには悪いですけどね」
スーパー、ノーマル関係なく本気でバトルしてくる駅員に負けるであろうトレーナーに申し訳ないと言ったサクラにクダリはそんな事ないと反論した。
「事情はどうあれ、バトルはバトル!バトルに負けたのは自分の力不足!それにノボリがこの状態じゃシングルやマルチの運行は絶対無理!」
「マスターの体調不良を理由にマルチの運行を止めてクダリさんがシングルとダブルを掛け持ちって手もありますがそれはこの間ので掛け持ちしてもお客さんを怒らすだけだって結果が出てますからね」
電車を止められない以上、"お客様を最後の車両に迄行かせない"が最後の策だった。
他にも駅員達に迷惑をかけない策があるのかもしれないが次々に挑戦者が現れる中、長々と考えてはいられない。
「でも、本当に良かったの?
僕もう言っちゃったけど"挑戦者を最後の車両に行かせ無ければ一週間ライモン亭のお弁当タダ"なんて
丁度、皆お給料日前だからやる気は出てたけど」
大丈夫かと心配してくれるクダリにサクラは大丈夫だど笑う。
「おじいちゃんにはもう了承をとってありますから、それに家のお弁当で皆さんのやる気が少しでも上がれば幸いです」
そんな風に話していればベッドで眠っていたノボリが目を覚ました。
「・・・おや、クダリ。それにサクラ様も」
何時もは行動の速いノボリが、今はゆっくりとした動作で腕の時計を見ているのは風邪のせいか起きたばかりだからか、
それはどうやら後者だった様で時計を見たノボリの表情は段々と険しくなる。
「何という事です。まだ就業時間内ではありませんか!何故、私は仮眠室に!クダリ貴方も何こんな所で油を売っているのです。今すぐ執務室に戻って、ああ、挑戦者はどうなって」
そこでノボリは喋るのを止めた。
仮眠用に作られたベッドは二段式でベッドとベッドの間はそんなにも高くなかった。
そんな場所で慌てて起きようとしたノボリは思いっきり頭を打ち、今は悶絶している。
「ノボリ、さん」
「ノボリせっかくだからそのまま落ち着いて話を聞いて」
「・・・何をですか」
「ノボリが寝てる間の話」