双子と弁当屋の娘
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「ねえ、知ってますか?
今日って新月なんです」
「あぁ、知ってる
月が出ないんだろう?」
だからどうしたって言うんだ。
ナイフをくるくると回していた男はサクラを睨んだ。
睨まれたサクラは怯む様子も無く話を続ける。
「そう、月が出ない。しかもここは背の高い倉庫が立ち並ぶから普段月が出ていてもかなり薄暗い」
「何が言いたいんだ?」
「貴方の敗因ですよ。
不思議に思いませんか?ここは普段から薄暗く、今日は月がないのに互いの顔がよく見える」
ヒントは始めからあったのだ。
道の奥は真っ暗だというのにバトルをしている時ははっきりと周りが見えていたし
ゾロアークがミロカロスに化けた時はミロカロスの体が月明かりで輝いていた。
月明かり?
「まさかもう一匹いたのか」
大正解、とでも言わんばかりにサクラは微笑んでいた。
男達はずっとバトルが2対1だと思い込んでいた。
サクラはそれこそ何匹もポケモンを連れていたがまだ産まれたばかりのような幼いポケモンとゾロアークが一匹。
これなら余裕と思ったらワルビルが倒された。
だがそれはまだ想定内だったがあなをほるで地中に潜った手持ちのワルビアルがいくら呼び掛けても出て来ない。
「最初にワルビアルを出した時に"みらいよち"を掛けたんですって」
まるで人から聞いた事を話しているかの様な口振りのサクラ。
男の額から汗の粒が地面へ溢れる。
男は先程から視線を感じていた。
自分を蔑む強い視線を。
サクラやゾロアークからも似た視線を受けているのには気付いていたがそれらとは比べ物にならない視線。
男はナイフを強く握り、視線が何処から来ているのか辺りを見渡した。
そんな男にサクラが声をかける。
「何処を探しても地上じゃ見付けられませんよ?」
だって、彼は
「貴方の真上にいるんですから」
辺り一面に男の情けない叫び声が響いた。
サクラを探していたクダリは聞こえた悲鳴に顔を上げた。
未だサクラを捜索中ではあったが、誰のか分からぬ悲鳴をほっとける程クダリは冷たい男ではない。
「こんな時に!」
と、文句を言いながらも既に悲鳴の聞こえた方へ走っているのは彼が優しく真面目な性格だからだろうか。
クダリは誰か倒れてはいないか辺りを見渡した。
すると真っ暗な道に仄かに光が見える。
初めは街灯かと思ったが街灯にしては灯りの位置が低く、誰かの懐中電灯とも考えられるがそれにしては灯りが弱く朧だ。
先程の悲鳴から何か不測の事態に巻き込まれて大丈夫な様、クダリはバチュルを抱えていた。
懐中電灯の灯りを抑えながらゆっくり近付けばざくざくと土を掘る様な音が聴こえ、
「後、何れくらい?」
聞き覚えのある声も聞こえた。
「サクラちゃん?」
懐中電灯を黒い人影に当てれば眩しげに目を細めたサクラがそこに立っている。
「あれ、どうしたんですかクダリさん」
こんな夜中に、と言ってきたサクラを「君を探しにきたの!」とクダリは思わず抱きついた。
初めは抱き締められてじたばた暴れていたサクラもクダリから「心配した」と告げられれば腕の中で大人しくなる。
「私を心配して態々こんな所迄?」
「うん、家にいたらパトカーの音聴こえたし、探してる途中も聴こえた。
僕、凄く心配した!」
「そんなに心配しなくても、ここら辺は私がよく知る場所ですしゾロアークもいたんですよ」
「それでも心配する!
僕、サクラちゃんを探してる間ずっとサクラちゃんが無事かドキドキしてたんだから」
クダリにそこまで言われてサクラの眉が下がった。
抱き締めるのを止めて、体を離せばサクラは酷く申し訳なさそうな顔をしている。
「・・・それはすみません。
要らぬ心配をかけたようで」
叱られた後の子供の様な顔をしていた。
素直に反省していると言うよりか、相手の言っている事を正しいと解っていても素直に受け入れられないちょっとひねくれた子供の顔だ。
そんなサクラの顔をクダリは両手で引っ張っる。
「いひゃい!いひゃい!」
「もう!僕はサクラちゃんをそんな顔にさせる為に迎えにきたんじゃないの!」
何とかクダリに顔を引っ張るのを止めてもらったサクラはひりひりと痛む自分の頬を撫でた。
そして、クダリを見上げ尋ねる。
「・・・じゃあ、クダリさんは私にどんな顔をしてほしかったんですか」
尋ねられいつも以上に笑ったクダリは自分の顔を指差した。
「笑って!」
今日って新月なんです」
「あぁ、知ってる
月が出ないんだろう?」
だからどうしたって言うんだ。
ナイフをくるくると回していた男はサクラを睨んだ。
睨まれたサクラは怯む様子も無く話を続ける。
「そう、月が出ない。しかもここは背の高い倉庫が立ち並ぶから普段月が出ていてもかなり薄暗い」
「何が言いたいんだ?」
「貴方の敗因ですよ。
不思議に思いませんか?ここは普段から薄暗く、今日は月がないのに互いの顔がよく見える」
ヒントは始めからあったのだ。
道の奥は真っ暗だというのにバトルをしている時ははっきりと周りが見えていたし
ゾロアークがミロカロスに化けた時はミロカロスの体が月明かりで輝いていた。
月明かり?
「まさかもう一匹いたのか」
大正解、とでも言わんばかりにサクラは微笑んでいた。
男達はずっとバトルが2対1だと思い込んでいた。
サクラはそれこそ何匹もポケモンを連れていたがまだ産まれたばかりのような幼いポケモンとゾロアークが一匹。
これなら余裕と思ったらワルビルが倒された。
だがそれはまだ想定内だったがあなをほるで地中に潜った手持ちのワルビアルがいくら呼び掛けても出て来ない。
「最初にワルビアルを出した時に"みらいよち"を掛けたんですって」
まるで人から聞いた事を話しているかの様な口振りのサクラ。
男の額から汗の粒が地面へ溢れる。
男は先程から視線を感じていた。
自分を蔑む強い視線を。
サクラやゾロアークからも似た視線を受けているのには気付いていたがそれらとは比べ物にならない視線。
男はナイフを強く握り、視線が何処から来ているのか辺りを見渡した。
そんな男にサクラが声をかける。
「何処を探しても地上じゃ見付けられませんよ?」
だって、彼は
「貴方の真上にいるんですから」
辺り一面に男の情けない叫び声が響いた。
サクラを探していたクダリは聞こえた悲鳴に顔を上げた。
未だサクラを捜索中ではあったが、誰のか分からぬ悲鳴をほっとける程クダリは冷たい男ではない。
「こんな時に!」
と、文句を言いながらも既に悲鳴の聞こえた方へ走っているのは彼が優しく真面目な性格だからだろうか。
クダリは誰か倒れてはいないか辺りを見渡した。
すると真っ暗な道に仄かに光が見える。
初めは街灯かと思ったが街灯にしては灯りの位置が低く、誰かの懐中電灯とも考えられるがそれにしては灯りが弱く朧だ。
先程の悲鳴から何か不測の事態に巻き込まれて大丈夫な様、クダリはバチュルを抱えていた。
懐中電灯の灯りを抑えながらゆっくり近付けばざくざくと土を掘る様な音が聴こえ、
「後、何れくらい?」
聞き覚えのある声も聞こえた。
「サクラちゃん?」
懐中電灯を黒い人影に当てれば眩しげに目を細めたサクラがそこに立っている。
「あれ、どうしたんですかクダリさん」
こんな夜中に、と言ってきたサクラを「君を探しにきたの!」とクダリは思わず抱きついた。
初めは抱き締められてじたばた暴れていたサクラもクダリから「心配した」と告げられれば腕の中で大人しくなる。
「私を心配して態々こんな所迄?」
「うん、家にいたらパトカーの音聴こえたし、探してる途中も聴こえた。
僕、凄く心配した!」
「そんなに心配しなくても、ここら辺は私がよく知る場所ですしゾロアークもいたんですよ」
「それでも心配する!
僕、サクラちゃんを探してる間ずっとサクラちゃんが無事かドキドキしてたんだから」
クダリにそこまで言われてサクラの眉が下がった。
抱き締めるのを止めて、体を離せばサクラは酷く申し訳なさそうな顔をしている。
「・・・それはすみません。
要らぬ心配をかけたようで」
叱られた後の子供の様な顔をしていた。
素直に反省していると言うよりか、相手の言っている事を正しいと解っていても素直に受け入れられないちょっとひねくれた子供の顔だ。
そんなサクラの顔をクダリは両手で引っ張っる。
「いひゃい!いひゃい!」
「もう!僕はサクラちゃんをそんな顔にさせる為に迎えにきたんじゃないの!」
何とかクダリに顔を引っ張るのを止めてもらったサクラはひりひりと痛む自分の頬を撫でた。
そして、クダリを見上げ尋ねる。
「・・・じゃあ、クダリさんは私にどんな顔をしてほしかったんですか」
尋ねられいつも以上に笑ったクダリは自分の顔を指差した。
「笑って!」