あの葉が落ちたら(▽/暗)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あらあら、大きな泣き声が聞こえるから誰だと思ったらクダリ君だったのね」
金属が軋む音、タイヤが砂利を踏み鳴らす音。
見れば入院中、クダリによく飴をくれた老婆が後ろにいた。
「また看護婦さんに叱られたのかしら?」
服のポケットを漁り、何やら探す老婆。
目当ての物を掴むと、クダリのすぐ側まで車椅子で移動した老婆が可愛らしい包装の飴を差し出す。
「懐かしいね。サクラちゃんもクダリ君位の頃は同じくらい大きな声で泣いていたねぇ」
老婆の言葉に受け取った飴を落としたクダリ。
その飴は地面に落ちる後少しの所をバチュルがキャッチする。
「今みたいに飴をあげるとすぐ泣き止んで・・・あんな可愛らしい笑顔をする子が」
何故か目頭を押さえる老婆の服をクダリは掴む。
「サクラお姉さんは・・・?」
声が妙に震えた。
頭に過った嫌な予感のせいか、それともさっきまで泣いていたせいか
「あの子なら死んじまったよ。何万人に一人って言うぐらい珍しい病気でね。何日か前の事だ」
可哀想にねと彼女の死を悼む老婆の言葉等クダリの耳には入らず、彼女が死んだという情報だけがクダリの頭を錯綜している。
「そう言えばあの子に頼まれ事されてたんだった
ついておいで」
今だ頭の情報が纏まりきらないクダリは老婆に腕を引かれるがまま彼女の隣を歩いた。
病院に戻り、老婆の病室にまで腕を引かれ中で渡された一つの缶。
「サクラちゃんがね。あの世に行っちゃう前に私の所に来てね。もしクダリ君が自分の事を覚えて病院を尋ねて来たら渡してくれって頼まれたんだよ」
それはサクラが、クダリの退院祝いにと前もって渡した缶入りクッキーだった。
外で充分泣いたのに涙腺が緩む。
クダリはつい癖でクッキー缶の封を開けた。
中には一枚の白い便箋。
何かと開けば彼女の字で
『退院おめでとう』
その下には字体が少し変わって
『短い間だったけどありがとう』
と書かれていて、その震え歪んだ字にやっとクダリの頭は彼女の死を認識した。
あの葉が落ちたら
(私は死ねると)
(彼女は言った)
金属が軋む音、タイヤが砂利を踏み鳴らす音。
見れば入院中、クダリによく飴をくれた老婆が後ろにいた。
「また看護婦さんに叱られたのかしら?」
服のポケットを漁り、何やら探す老婆。
目当ての物を掴むと、クダリのすぐ側まで車椅子で移動した老婆が可愛らしい包装の飴を差し出す。
「懐かしいね。サクラちゃんもクダリ君位の頃は同じくらい大きな声で泣いていたねぇ」
老婆の言葉に受け取った飴を落としたクダリ。
その飴は地面に落ちる後少しの所をバチュルがキャッチする。
「今みたいに飴をあげるとすぐ泣き止んで・・・あんな可愛らしい笑顔をする子が」
何故か目頭を押さえる老婆の服をクダリは掴む。
「サクラお姉さんは・・・?」
声が妙に震えた。
頭に過った嫌な予感のせいか、それともさっきまで泣いていたせいか
「あの子なら死んじまったよ。何万人に一人って言うぐらい珍しい病気でね。何日か前の事だ」
可哀想にねと彼女の死を悼む老婆の言葉等クダリの耳には入らず、彼女が死んだという情報だけがクダリの頭を錯綜している。
「そう言えばあの子に頼まれ事されてたんだった
ついておいで」
今だ頭の情報が纏まりきらないクダリは老婆に腕を引かれるがまま彼女の隣を歩いた。
病院に戻り、老婆の病室にまで腕を引かれ中で渡された一つの缶。
「サクラちゃんがね。あの世に行っちゃう前に私の所に来てね。もしクダリ君が自分の事を覚えて病院を尋ねて来たら渡してくれって頼まれたんだよ」
それはサクラが、クダリの退院祝いにと前もって渡した缶入りクッキーだった。
外で充分泣いたのに涙腺が緩む。
クダリはつい癖でクッキー缶の封を開けた。
中には一枚の白い便箋。
何かと開けば彼女の字で
『退院おめでとう』
その下には字体が少し変わって
『短い間だったけどありがとう』
と書かれていて、その震え歪んだ字にやっとクダリの頭は彼女の死を認識した。
あの葉が落ちたら
(私は死ねると)
(彼女は言った)
7/7ページ