あの葉が落ちたら(▽/暗)
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三週が過ぎた。
突然熱を出したクダリに医師は院内感染か?!と慌てて色々と検査をしたが、クダリの熱は二日も 経たない内に引いてしまった。
始めは慣れなかった松葉杖に慣れたクダリは今、三階の廊下を歩いている。
三階は主に一人部屋が並ぶ階らしく、廊下にかけられた部屋番号と名前を見つめて目的の部屋を探した。
「あった、」
305号室と書かれた表札の下には看護婦から聞き出した彼女の名前がある。
逸る気持ちを抑えきれず、クダリはノックをするのを忘れて病室の扉を開けると中からは花の良い匂いがした。
「もうそろそろ来る頃だと思った」
入ればそこが病室とは思えぬ程の沢山の綺麗な花々がクダリを出迎える。
窓際で本を読んでいたらしい彼女は沢山の花に驚くクダリを見て笑みを浮かべた。
本を窓の縁に置いた彼女はクダリを手招きして椅子へと座らせる。
「僕、今日」
「君、熱を出したんだって?あんまり無茶して外に出ちゃ駄目だよ。季節が秋っていっても冬はすぐそこまで来てるんだから
今日はあの葉を落とせた?」
「何で、お姉さん
あの葉、落ちるの待ってるの・・・あの葉落ちたら、落ちたら」
椅子から勢いよく立ったクダリをちらりと見た彼女は紅茶を作るに止めていた手の動きを再会させた。
「そう言えば君は私の話を聞いたんだってね。
君に私の話をした看護婦から君が熱を出した話と一緒に聞いた」
紅茶には何か入れるかと尋ねられ、顔を俯かせたクダリは砂糖とミルクをいっぱいと答える。
「どうぞ」
彼女から渡された紅茶のカップには角砂糖が白い小さな山を作り、その山裾から見える紅茶は白濁としていた。
これは何なんだという意を込めて彼女にカップを差し出せば、彼女は不思議そうな顔をして
「だって君、砂糖とミルクいっぱいって言ったじゃない」
と頭を傾げる。
「あ、それともこれが欲しかった?」
そう言って彼女が差し出したのは銀色のティースプーンで、クダリはそこで一連の彼女の行動は素なんだと悟った。
「・・・話戻るけど、どうしてお姉さんあの木の葉が落ちるの待ってるの?」
カップに出来た白い山をスプーンで崩し、紅茶と共に啜ればじゃりじゃりと溶けきれない砂糖の音が静かな部屋に響く。
「それは単純にさっさと死にたいから」
彼女の口からクダリが予測していた通りの言葉が返ってくる。
死にたいと口にした彼女はそこで自分の口をおさえた。
「私ってばいたいけな少年に何て暗い話をしてるのかしら」
病室に供え付けられた棚の中を漁りだした彼女が引っ張り出したのは華美に装飾されたクッキーの缶。
「ここのクッキー、缶が綺麗でいつも買って来て貰ってるんだけどクッキーもまあまあおいしくてね」
「話、逸らさないで!」
思わず払い除けてしまったクッキーの缶は彼女の手から離れて床に落ちた。
落ちた缶を拾い上げた彼女はおもむろに缶を上下に振ると中のクッキーがクッキーらしからぬ音をたてて応える。
「駄目ね。クッキーが砕けてる」
中身の砕けた缶をベッドに放り投げてまた棚の中から別の缶を取り出すと、蓋を開けてクダリに差し出す。
「ここのお店のは缶の絵柄も可愛いしクッキーも美味しいの」
どうぞ、と進められてもクダリはクッキーを手に取ろうとはしなかった。
頑なな彼の態度に溜め息を吐いた彼女は缶のクッキーを一枚手に取り一齧り、そこで一息ついて観念する。
「本当は君みたいな少年に話す話じゃないんだけど」
死にたい理由は自分の意地だと彼女は言った。
突然熱を出したクダリに医師は院内感染か?!と慌てて色々と検査をしたが、クダリの熱は二日も 経たない内に引いてしまった。
始めは慣れなかった松葉杖に慣れたクダリは今、三階の廊下を歩いている。
三階は主に一人部屋が並ぶ階らしく、廊下にかけられた部屋番号と名前を見つめて目的の部屋を探した。
「あった、」
305号室と書かれた表札の下には看護婦から聞き出した彼女の名前がある。
逸る気持ちを抑えきれず、クダリはノックをするのを忘れて病室の扉を開けると中からは花の良い匂いがした。
「もうそろそろ来る頃だと思った」
入ればそこが病室とは思えぬ程の沢山の綺麗な花々がクダリを出迎える。
窓際で本を読んでいたらしい彼女は沢山の花に驚くクダリを見て笑みを浮かべた。
本を窓の縁に置いた彼女はクダリを手招きして椅子へと座らせる。
「僕、今日」
「君、熱を出したんだって?あんまり無茶して外に出ちゃ駄目だよ。季節が秋っていっても冬はすぐそこまで来てるんだから
今日はあの葉を落とせた?」
「何で、お姉さん
あの葉、落ちるの待ってるの・・・あの葉落ちたら、落ちたら」
椅子から勢いよく立ったクダリをちらりと見た彼女は紅茶を作るに止めていた手の動きを再会させた。
「そう言えば君は私の話を聞いたんだってね。
君に私の話をした看護婦から君が熱を出した話と一緒に聞いた」
紅茶には何か入れるかと尋ねられ、顔を俯かせたクダリは砂糖とミルクをいっぱいと答える。
「どうぞ」
彼女から渡された紅茶のカップには角砂糖が白い小さな山を作り、その山裾から見える紅茶は白濁としていた。
これは何なんだという意を込めて彼女にカップを差し出せば、彼女は不思議そうな顔をして
「だって君、砂糖とミルクいっぱいって言ったじゃない」
と頭を傾げる。
「あ、それともこれが欲しかった?」
そう言って彼女が差し出したのは銀色のティースプーンで、クダリはそこで一連の彼女の行動は素なんだと悟った。
「・・・話戻るけど、どうしてお姉さんあの木の葉が落ちるの待ってるの?」
カップに出来た白い山をスプーンで崩し、紅茶と共に啜ればじゃりじゃりと溶けきれない砂糖の音が静かな部屋に響く。
「それは単純にさっさと死にたいから」
彼女の口からクダリが予測していた通りの言葉が返ってくる。
死にたいと口にした彼女はそこで自分の口をおさえた。
「私ってばいたいけな少年に何て暗い話をしてるのかしら」
病室に供え付けられた棚の中を漁りだした彼女が引っ張り出したのは華美に装飾されたクッキーの缶。
「ここのクッキー、缶が綺麗でいつも買って来て貰ってるんだけどクッキーもまあまあおいしくてね」
「話、逸らさないで!」
思わず払い除けてしまったクッキーの缶は彼女の手から離れて床に落ちた。
落ちた缶を拾い上げた彼女はおもむろに缶を上下に振ると中のクッキーがクッキーらしからぬ音をたてて応える。
「駄目ね。クッキーが砕けてる」
中身の砕けた缶をベッドに放り投げてまた棚の中から別の缶を取り出すと、蓋を開けてクダリに差し出す。
「ここのお店のは缶の絵柄も可愛いしクッキーも美味しいの」
どうぞ、と進められてもクダリはクッキーを手に取ろうとはしなかった。
頑なな彼の態度に溜め息を吐いた彼女は缶のクッキーを一枚手に取り一齧り、そこで一息ついて観念する。
「本当は君みたいな少年に話す話じゃないんだけど」
死にたい理由は自分の意地だと彼女は言った。