幽霊退治(▲/幽霊)
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「うぎゃっ」
切符を買うために財布を開いたサクラからそんな悲鳴が上がる。
彼が何事か聞けばサクラは苦々しい表情でお金が無いと答えた。
「急に行けなくなった友人の代わりに合コン何て行くもんじゃないね」
トラブルで先週に仕事を辞めたばかりのサクラには参加費にお札が三枚も消えてしまう合コンはお財布的にかなり痛い。
サクラの財布の中にはもう地下鉄に乗る分しか乗っておらず明日からの生活はどうしよう状態だ。
「生活費は一応残してあるけどそれ以外の雑費がない」
取り敢えず切符を買って、改札内に入り、ホームに移動しながらこれからの生活について考えていた。
と、そんなサクラの目に付いたアルバイト募集のポスター。
「お給料は日払い・・・!」
壁から剥がす勢いでサクラが見たのはバトルサブウェイでバトルする人を求める求人ポスター。
要面接ではあるが募集資格は手持ちのポケモン四体以上でバトルの経験がそれなりにあり、乗り物酔いをしない事。
「仕事内容は主にポケモンバトルする事で、お給料がこのお値段」
美味し過ぎる
とサクラはすっかりその気になっていた。
鞄から取り出した手帳にポスターに書かれた番号をメモしてまた歩き出す。
さっきまでの重い足取りは何処へやら、思わずスキップでもしてしまいそうな軽い足取りにサクラの腕の中にいたジュペッタは現金な奴だと呆れていた。
「何とでも言いなさい。
世の中お金がなきゃ生きていけないんだから・・・ん?」
スキップをしてしまいそうどころかしていたサクラは足を止め、耳を澄ました。
尋ねる彼に静かにするよう求め、耳に意識を集中すれば先程までは気のせいかと思っていた声がはっきり聴こえる。
「こっち」
とサクラが爪先を向けたのは入り口に【立入禁止】の札がぶら下がる使われていないホームの方向だった。
『一体、急にどうしたんだ?』
「いや、声が聴こえて」
『声?』
そんなモノが聴こえたか、頭を傾げる彼を放置したサクラは立入禁止の警告持ち上げ奥へと足を進めた。
夏が終わったとはいえ残暑厳しくまだまだ暑いこの季節、なのに今歩く場所は上着が欲しくなる程に肌寒い。
使われていないだけあってホーム内は暗く、唯一の光源は非常口の案内をする灯りだけ。
その灯りを頼りに暗いホームの奥の奥に進んでいれば耳元で囁かれているようなひそひそ声が耳にまとわりつく。
「いるね」
『いるな』
何がいるって所謂幽霊が
未だ視覚では確認出来ていないものの耳や肌ではその存在感を確かに感じる。
「もし出てきたら、よろしくね」
『まかせろ』
先程も同じ言葉を聴いたがそれより遥かに頼もしい返事だった。
「・・・て下さいまし!」
「あ、」
さっきの声、とサクラは聞こえた声の方へと走りだす。
ここに入る前から微かに聴こえていた男の言い争う低い声。
合コンだからと履いてきたピンヒールの走りにくさにサクラはこの靴を履いていく事を決めた出掛ける前の自分を恨んだ。