結局、愛していたのは(▲/死)
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暗い部屋の隅で彼女が泣いている。
服も髪も、身も心もボロボロの彼女は身体を小さくして震えていた。
『違います』
思わず零れた呟き。
それが彼女の耳に届いたのか、彼女は勢いよく此方を振り向いた。
『あ、ノボリさん』
部屋から追い出した筈のノボリが何故か自分の背後にいて、彼女は少し驚いた素振りを見せる。
『どうして此処に・・・』
貴方が心配だと言えば一瞬、安心した様な表情を見せるもそれはすぐに崩れた。
先程迄は止まっていた筈の涙をぼろぼろ零し、表情を歪める。
『見ないで』
見ないで、見ないで、見ないで
壊れたラジカセの様に何度も何度も同じ言葉を零し頭を抱える彼女にノボリは冷めた感情を抱いた。
美しい容姿に
誰からも好かれる性格の良さ
公私共に欠点なく、
ポケモンバトルも素晴らしく強かった。
正に完璧な女性である彼女をノボリは愛していた。
だが、今の彼女はどうだ。
変わりに変わった彼女がノボリにはとても醜いモノに見えた。
これは彼女ではない。
気付けばノボリはオノノクスが入ったモンスターボールを手にしていた。
ボールから出されるオノノクス。
彼女は何故ノボリがオノノクスを出したのか分からなかっただろう。
泣き腫らし、虚な目でオノノクスの巨体を見上げる彼女に対しノボリは容赦無く技を命じた。
抵抗を見せない彼女、迫るオノノクスの鋭い爪。
鋭い爪が彼女の身体を裂こうとした瞬間、青い何かがオノノクスと彼女の間に割り込む。
飛び散る赤。
倒れる小さな躯体。
彼女との間に割り込んだのは彼女が対、サブウェイマスターにと育てていたフカマル。
フカマルは自分の何倍も大きさがあるオノノクスの”ドラゴンクロー“を受けながらも自身の身体を奮わせながら威嚇した。
『フカマル・・・』
深手を負いながらも逃げず怖れず主人を守ろうとする小さな背中に彼女の瞳に生気が戻る。
効果抜群の技を受けてフカマルの体力は赤色どころでない。
本当なら技を受けた時点で効果抜群、その場に倒れている筈だ。
なのにフカマルは立っている。
その気力、踏ん張りにノボリはらしくない笑みを浮かべる。
『流石、サクラ様。
素晴らしいフカマルをお育ての様でございますね。
ですが、』
次の攻撃には耐えられるでしょうか?
ノボリと彼女がポケモンに命じたのは同時だった。