結局、愛していたのは(▲/死)
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自身の前を歩く黒い片割れの姿を見付けてクダリは彼の後を追った。
「ノボリ!」
勢いよく飛び付いてきた兄弟に驚く素振りも見せずノボリは慣れた様子で「何ですか?」と呼び止めた理由を尋ねる。
「今朝、新聞見た!
犯人捕まったって!良かったね」
心の底からは喜べない。
犯人が捕まった事で彼女が帰ってくるわけではない。
だが、
「良かった」
それが犯人逮捕のニュースを知った彼の素直な感想だ。
殺された女性はノボリの彼女であり、クダリの部下でもあった。
少し勝気な性格だったがよく仕事をサボるクダリに文句を零しつつも上手くフォローしていた。
よく出来たのは仕事だけでなくバトルの腕も中々。
クダリは休憩時間になると彼女のバトルを求めた。
サブウェイマスターに常勝と迄いかなくも強固であった彼女の手持ちは事件の際に彼女と共に殺されている。
お気に入りだった部下がまさか自分の兄弟と付き合う事になった時は普段の表情が崩れる程驚いた。
これは二人には話していないがクダリは彼女の事が好きだった。
どういう好きかは分からず仕舞いになってしまったが彼は彼女の事が好きだった。
だからこそ、
彼女の事が好きだったからこそ、
彼女が暴行の果てに殺された事を知った時は警察よりも先に犯人を見付けて、彼女が受けた以上の苦しみを犯人に与えたいとさえ思った。
しかし、犯人は捕まった。
これから犯人は法の裁きを受け、己がしただけの罰を与えられる。
「これで天国のサクラちゃんも浮かばれる」
目の端に涙を浮かべるクダリに対し、ノボリは「そうですね」と一言。
その素っ気なさにクダリは頭を傾げた。
「ノボリはサクラちゃんを殺した犯人が捕まって嬉しくないの?」
「犯人が捕まった事は喜ばしいかもしれませんが貴方の様に涙する程ではありません」
普段から笑みを絶やさないクダリと同様、普段からノボリは無表情。
人によっては彼が不機嫌な様にも見えるだろう。
だから今も表情は変わっていない様に見えるだけで心の底では・・・と、思いたいのだが分からない。
昔から彼の隣にいたクダリには彼が今、無表情どころかこの会話をする事が億劫に感じている様に見える。
ノボリがそんな風に見えるのは自分が捻くれているからだ。
と思いたいのに
「どうしてノボリは
サクラちゃんの事何かもうどうでもいいみたいな目をしてるの?」