逃亡劇→終着(ユウキ+▲▽/絡み無)
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ぼろぼろとまたも涙を溢し出したサクラにノボリもクダリもかける言葉が見つけられなくて戸惑うばかり。
その間もサクラの瞳からは涙が溢れていて、とうとう彼女は嗚咽を漏らし泣き出す。
ますます困るノボリとクダリ、その時サクラの側に置かれた彼女の鞄から赤い二つの閃光が飛び出した。
一匹は可憐に、
もう一匹は自身の体が浮かんだとも思える程の衝撃でボールから飛び出す。
「うわぁ、」
「これは」
思わず二人の口から声が漏れ出す程の迫力。
サクラの鞄から飛び出したエネコロロとミロカロスは彼女を慰める様に体を擦り寄せる。
「二匹もごめんね。あんなにコンテストが好きだったのに私が弱いばっかりに
本当にごめん」
二匹の慰めにサクラの嗚咽は止まるも彼女の涙は止まらずゆっくりと溢れていた。
サクラを慰める二匹に遅れをとったノボリとクダリであるがハンカチを渡したり、ティッシュペーパーの箱を渡したりと何とか彼女に泣き止んでもらおうと尽力する。
ぴくりとエネコロロの耳が真っ直ぐと伸びで何かに反応した。
それまで彼女の涙を舐めていたエネコロロがそれを止め固まっていたので何事かとサクラは顔を上げ、ノボリもクダリもエネコロロを注視する。
エネコロロには何が聞こえたのか分からないまま、エネコロロは部屋の扉の前に立つと今に飛び掛かるような体勢をとって威嚇を始めた。
綺麗に整えられた毛を逆立てて扉を睨む。
エネコロロの威嚇に少し遅れて外が騒がしくなる。
駅員が誰かと言い争っているのか閉めている筈の扉の向こうからも声は聞こえていて、何事かと腰を上げたノボリは部屋の扉を開けた。
すると部屋に雪崩れ込む人の塊。
「一体部屋の外で何をしていたのです」
丁度客人が来ていただけにノボリの発した声はかなり不機嫌さを孕んでいる。
その不機嫌なノボリの声を聞いて塊の上にいた駅員は何とか弁解しようと顔を上げた。
「それがそこの廊下をこの少年が歩いていまして」
その少年を見付けた駅員は彼に此処が関係者以外立入禁止の場所である事を話したのだが、少年は一向に聞き入れない。
それどころか駅員に捕まったにも関わらず奥へ奥へと進もうとした少年に駅員は応援を呼んで拘束しようとしていたのだ。
それが部屋の中にいた三人が聞いた騒ぎ。
「で、その子何処にいるの?」
クダリの素朴な疑問。
深緑の制服を来た駅員が何人かいるのは分かるのだが問題の少年の姿が見当たらない。
「あ、」
折り重なり倒れる駅員の一人がそんな声を上げた直後、塊の一番下から腕が生える。
その手にはモンスターボールが
ボールから出されたのは長い首に緑の羽根を持つ。
「・・・トロピウス」
「え、サクラちゃんあのポケモン知ってるの?」
ボールから出されたトロピウスは倒れたままの駅員をくわえては部屋の外に投げくわえては投げを繰り返し、駅員を全て投げ終えるとその場に残ったのは白い帽子を被った少年一人。
その少年をトロピウスはくわえると部屋の外には投げ出さず彼を立たせる。
「トロピウスありがとう」
彼が手を伸ばせばトロピウスはその手に顔を擦り付けて一鳴き、そしてボールへと戻る。
「貴方様は一体どちら様で?」
ノボリの問いに少年は人懐っこい笑みを浮かべ、辺りを見渡す。
「あ、別に怪しい者じゃないですから
俺は只、」
と、そこで彼はノボリに構わず部屋の奥へと足を進める。
彼の足先には来客様のソファー、側にいたミロカロスに抱き付き震えるサクラを見て少年は微笑む。
「やっと見付けた」
まるでハブネークに睨まれたニョロトノの様に固まったサクラは震える唇から彼の名前を溢した。
「ユウキ、君」