逃亡劇→終着(ユウキ+▲▽/絡み無)
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「よく思い付きましたね」
そう溢したノボリにクダリは誇らしげに胸を張る。
でしょ!と笑う彼が案内したのは"執務室"と書かれ、机が二つと客人用だろう立派な机とソファーが二組あるだけの部屋。
「ここだったら僕達しか入れない!」
「そうですね。
では、サクラ様は此方に」
ノボリに進められるがままソファーに座ったサクラをソファーは優しく包み込むように彼女の体を深く沈めさせる。
「それで、さっきはどうして泣いちゃったの?」
ストレートなクダリの問いにサクラは表情を強張らせて、
「凄く仕様もない事なんです」
を前振りにサクラは口を開いた。
「お二方はポケモンコンテストをご存じですか?」
「知らない」
「何度か他地方のお客様の口からその様な単語を耳にした事はありますが」
「私の地方ではそのポケモンコンテストが盛んに行われておりまして、私は・・・
私は一緒にいてくれるポケモン達のお陰で幾つかのコンテストで優勝していました」
サクラは昔から臆病で常に自身を卑下する性格だった。
そのうえ、何か困った事に直面すると挑戦もせず逃げ出す質。
そんな彼女の友人は川の側で干からびかけていた小汚いヒンバスとやはり此方もがりがりに痩せて干からびかけていたエネコだけ。
丁度その時は彼女自身を取り巻く環境がかなりごたごたしていた為に同年齢の子供に比べ彼女も拾ったエネコの様にガリガリに痩せ細っていた。
周りから名前で呼ばれず幽霊や骸骨と呼ばれ、からかわれる毎日。
顔を上げれば石を投げられて過ごした幼少期の日々はサクラの性格の基礎とも言える。
相手に対して常に謝らずにはいられないサクラがポケモンコンテストに出逢ったのは少し大きくなってから
『よし、ポケモンコンテストを観に行くぞ』
唯一、身内で自分を可愛がってくれた祖父に連れられて見たポケモンコンテストはサクラに大きな影響を与える。
耳を突き抜ける観客の歓声
誉れ輝くポケモンに
自信に満ちた表情で沢山の群衆の前に立つトレーナー
こんな風になれたら
あんな風になれたら
ステージに立つ人達が眩しくて憧れで、いつか輝く彼等の様にあのステージに立てたらと一人夢見て早幾年。
サクラと同じく夢見ていたポケモン達は昔の姿からは想像出来ない程、美しく可愛く育っていた。
初めてのコンテストはぶっちぎりの得点で優勝を手にしてその後のコンテストも常にリボンを獲得しサクラはシンオウのコンテストで話題の人物になっていて
サクラは夢が叶ったと思っていた。
幼き時に見たコンテストの出場者の様に自分も自信に満ち輝いていると思っていた。
「だけど私は昔から何も変わってなかったんです」
ハンカチに顔を埋めたサクラは続ける。
ある時、サクラはコンテストに興味があるという少年に出会う。
少年に請われて、承諾もせぬまま本当に何時の間にかサクラはその少年の先生になっていた。
「私みたいな人間を先生としたってくれるのが嬉しくて」
サクラは自分が教えられる事は全て教えた。
ポケモンの身嗜みの整え方に食事、技の見せ方。
思い付く事全てを彼に教えた。
「そのかいあってか彼は初出場のコンテストに優勝してその後も、」
コンテストのランクを確実に上げて、気付けば教え子である少年はサクラの隣に立つまでに成長する。
「凄いじゃない!」
「きっとサクラ様の教え方が良かったのですね」
「・・・だと良いんですが」
そう笑ったサクラの笑みは喜びよりも不安や困惑の色が強い。
サクラは始めの頃こそは少年の成長に喜んでいた。
しかしサクラの臆病な性格はその喜びを不安へとすり替えてゆく。
「暫くしてその少年と同じコンテストで戦う事が決まりました。
その子は私と競う事が出来ると喜んでいましたが、私は・・・」
今までにない不安を感じた。
サクラが何年も積みに積み、重ね築いた場所に短期間で登リ積めた少年に彼女は自分の唯一の居場所を奪われるのではと考えるようになったのだ。
サクラがもし自身に少しでも自信を持てる様に成長していたのなら少しは考え方も変わっていたのかもしれない。
しかしサクラは幼き時から性格は少しも変わっていなかった。
寧ろ、コンテストという自分の居場所を持っていたために昔よりも臆病な性格が悪化していたかもしれない。
「コンテストは彼に勝つ事が出来ました」
しかしコンテストは続く。
いつか彼に居場所を奪われるかもしれないと脅かされながら過ごす日々にサクラは心身共に疲れはてていた。
その時の彼女はとても疲れていてまともな判断が出来なかったのかもしれない。
「私はまた彼と立つコンテストの前日に必要最低限の荷物とポケモンだけを連れて街を飛び出しました」
恐れのあまり今までポケモンと共に積み上げたモノを全て投げ出し、街を出て違う地方へと飛び出した。
「もう、コンテストには出ない。鋏も櫛も全部置いていこうと思ってたのに」
気付けば必要最低限の荷物の殆どが鋏に櫛、コンテスト用に作ったポロック等コンテスト関連のものばかり。
「私って本当に駄目ですよね。自分で決めた事なのに自分で守れないんですから」
捨てるつもりだった鋏と櫛で人様のポケモンは勝手に手入れして、駅員さん達に迷惑をかけて今はこうしてつまらない身の上話を彼等二人に聞かせている。
そんな自分が
嫌で
嫌で、
疎ましい。
そう溢したノボリにクダリは誇らしげに胸を張る。
でしょ!と笑う彼が案内したのは"執務室"と書かれ、机が二つと客人用だろう立派な机とソファーが二組あるだけの部屋。
「ここだったら僕達しか入れない!」
「そうですね。
では、サクラ様は此方に」
ノボリに進められるがままソファーに座ったサクラをソファーは優しく包み込むように彼女の体を深く沈めさせる。
「それで、さっきはどうして泣いちゃったの?」
ストレートなクダリの問いにサクラは表情を強張らせて、
「凄く仕様もない事なんです」
を前振りにサクラは口を開いた。
「お二方はポケモンコンテストをご存じですか?」
「知らない」
「何度か他地方のお客様の口からその様な単語を耳にした事はありますが」
「私の地方ではそのポケモンコンテストが盛んに行われておりまして、私は・・・
私は一緒にいてくれるポケモン達のお陰で幾つかのコンテストで優勝していました」
サクラは昔から臆病で常に自身を卑下する性格だった。
そのうえ、何か困った事に直面すると挑戦もせず逃げ出す質。
そんな彼女の友人は川の側で干からびかけていた小汚いヒンバスとやはり此方もがりがりに痩せて干からびかけていたエネコだけ。
丁度その時は彼女自身を取り巻く環境がかなりごたごたしていた為に同年齢の子供に比べ彼女も拾ったエネコの様にガリガリに痩せ細っていた。
周りから名前で呼ばれず幽霊や骸骨と呼ばれ、からかわれる毎日。
顔を上げれば石を投げられて過ごした幼少期の日々はサクラの性格の基礎とも言える。
相手に対して常に謝らずにはいられないサクラがポケモンコンテストに出逢ったのは少し大きくなってから
『よし、ポケモンコンテストを観に行くぞ』
唯一、身内で自分を可愛がってくれた祖父に連れられて見たポケモンコンテストはサクラに大きな影響を与える。
耳を突き抜ける観客の歓声
誉れ輝くポケモンに
自信に満ちた表情で沢山の群衆の前に立つトレーナー
こんな風になれたら
あんな風になれたら
ステージに立つ人達が眩しくて憧れで、いつか輝く彼等の様にあのステージに立てたらと一人夢見て早幾年。
サクラと同じく夢見ていたポケモン達は昔の姿からは想像出来ない程、美しく可愛く育っていた。
初めてのコンテストはぶっちぎりの得点で優勝を手にしてその後のコンテストも常にリボンを獲得しサクラはシンオウのコンテストで話題の人物になっていて
サクラは夢が叶ったと思っていた。
幼き時に見たコンテストの出場者の様に自分も自信に満ち輝いていると思っていた。
「だけど私は昔から何も変わってなかったんです」
ハンカチに顔を埋めたサクラは続ける。
ある時、サクラはコンテストに興味があるという少年に出会う。
少年に請われて、承諾もせぬまま本当に何時の間にかサクラはその少年の先生になっていた。
「私みたいな人間を先生としたってくれるのが嬉しくて」
サクラは自分が教えられる事は全て教えた。
ポケモンの身嗜みの整え方に食事、技の見せ方。
思い付く事全てを彼に教えた。
「そのかいあってか彼は初出場のコンテストに優勝してその後も、」
コンテストのランクを確実に上げて、気付けば教え子である少年はサクラの隣に立つまでに成長する。
「凄いじゃない!」
「きっとサクラ様の教え方が良かったのですね」
「・・・だと良いんですが」
そう笑ったサクラの笑みは喜びよりも不安や困惑の色が強い。
サクラは始めの頃こそは少年の成長に喜んでいた。
しかしサクラの臆病な性格はその喜びを不安へとすり替えてゆく。
「暫くしてその少年と同じコンテストで戦う事が決まりました。
その子は私と競う事が出来ると喜んでいましたが、私は・・・」
今までにない不安を感じた。
サクラが何年も積みに積み、重ね築いた場所に短期間で登リ積めた少年に彼女は自分の唯一の居場所を奪われるのではと考えるようになったのだ。
サクラがもし自身に少しでも自信を持てる様に成長していたのなら少しは考え方も変わっていたのかもしれない。
しかしサクラは幼き時から性格は少しも変わっていなかった。
寧ろ、コンテストという自分の居場所を持っていたために昔よりも臆病な性格が悪化していたかもしれない。
「コンテストは彼に勝つ事が出来ました」
しかしコンテストは続く。
いつか彼に居場所を奪われるかもしれないと脅かされながら過ごす日々にサクラは心身共に疲れはてていた。
その時の彼女はとても疲れていてまともな判断が出来なかったのかもしれない。
「私はまた彼と立つコンテストの前日に必要最低限の荷物とポケモンだけを連れて街を飛び出しました」
恐れのあまり今までポケモンと共に積み上げたモノを全て投げ出し、街を出て違う地方へと飛び出した。
「もう、コンテストには出ない。鋏も櫛も全部置いていこうと思ってたのに」
気付けば必要最低限の荷物の殆どが鋏に櫛、コンテスト用に作ったポロック等コンテスト関連のものばかり。
「私って本当に駄目ですよね。自分で決めた事なのに自分で守れないんですから」
捨てるつもりだった鋏と櫛で人様のポケモンは勝手に手入れして、駅員さん達に迷惑をかけて今はこうしてつまらない身の上話を彼等二人に聞かせている。
そんな自分が
嫌で
嫌で、
疎ましい。