番外編
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ピンポーン
それは午後3時を回った所。
来客など殆ど来ない時間帯に鳴ったチャイムの音にサクラとゾロアークは互いの顔を見合わせた。
誰だろうと二人が話していれば宅配じゃないのか?と老人が言ったのでサクラは重い腰を上げ、印鑑を掴み玄関へと向かう。
サクラの後ろにはゾロアに化けたゾロアークが続き、サクラと遊んでいたポケモン達は壁越しに玄関の様子を覗く。
ピンポーン
二度目のチャイムが鳴らされてサクラは外に聞こえるよう返事をする。
玄関の扉まで後少しであったがチャイムがサクラを急かすので急ぎ足で駆けて扉を掴んだ。
「はいは~い」
扉を開けばそこには見慣れた青い帽子の配達員はいなかった。
それどころか誰もいない。
サクラはおかしいなと首を傾げていれば足元にいたゾロアークがサクラの足を叩く。
何だ?と目線を下げれば黒と白、色違いの帽子を被った子供が二人で玄関に立っていた。
「えっと、どちら様ですか?」
玄関に立っていたのだから先程のチャイムはこの子供達が鳴らしたのだろうがサクラはこんな子供知らない。
だったら老人の知り合いの孫か何かか、確認しようと振り返った所を二人の子供に服を掴まれた。
「サクラちゃん!」
「サクラさま!」
待って、と掴まれたサクラは暫し固まった。
自身には覚えのない子供に名前を呼ばれ、名前に聞き慣れた愛称が付けられていたからだ。
いや、まさか、そんな、とサクラは独り言を続けた。
ちらちらと足元の子供を見れば灰色の瞳を不安に染め上げサクラを見上げている。
色違いの帽子から覗くのは瞳と同じく灰色の髪で、灰色の瞳と同様にサクラには見覚えがあった。
「ノボリさんとクダリさん・・・?」
そう尋ねれば足元のゾロアークが『何言ってんだこいつ』という目をしてサクラを見上げていた。
本当に私、何を言ってるんだろうなんて思っていればいきなり二人の子供はサクラの足に抱き付く。
「!?」
「よかった!」
「わたくしたちがわかるんですね!」
興奮気味に話す二人に後ろに足を一歩引きながらサクラは頭を押さえ、二人に尋ねた。
「え、二人とも本当にノボリさんとクダリさんなの?」
「サクラちゃんさっきぼくたちをなまえでよんだじゃない!」
「わたくしたちはいま、こんなすがたをしておりますがしょうしんしょうめいノボリとクダリにございます」
「嘘だ~・・・」
嘘だと信じたい。
が、嘘ではないようだ。
始まりは駅のホーム内だった。
怪しい格好の男がホームにいると無線に連絡が入り、たまたまマルチトレインから一緒に下車した二人は現場との距離が近かったのでその怪しい格好の男がいるホームへ向かったのだ。
怪しい格好と聞いてプラズマ団かと思い、警戒していたのだがホームにいたのはプラズマ団以上に怪しい男。
白く丈の短いスカートに大胆に肩を露出した衣装。
背中にはこれまた白の羽根、頭には金色の輪っかがあって片手に酒瓶もう片方の手には先に星の飾りが付いた杖。
彼と遭遇したのが夜ならそれほど驚いたりしないのたが今は昼間。
こんな昼間から酔っぱらっている彼の生活を少し気にしながらもノボリはその酔っぱらいの肩を叩いた。
お客様、と声をかければイギリス鈍りの英語で返される。
彼はイギリス人なのかと理解すると同時にノボリの頭に自身にそっくりなサブボスの顔が浮かび、そのボスが一度だけ酔っぱらった時に見せた姿と目の前のお客の姿がダブって見えた。
後ろではクダリが目を擦りながら客を見ていたのできっと同じ様な事を考えている。
イギリスの人間は酔うと皆、こうなのかと思いながら覚束ない足取りのお客に何度な声をかければ返事が返ってきた。
それなりに意識はあるようなので、部下に毛布を持ってくるよう無線で指示し酔っぱらっているお客はベンチに座らせる。
幸いだったのは今自分達がいるホームに止まっているのは回送列車の為辺りには他にお客はいない。
この回送列車が発車する迄には毛布が来るだろうと考えていればぐずぐずと側からそんな音が聞こえた。
見れば大の大人が大口を開け、大粒の涙を溢しているのだ。
目の前で泣かれれば思わず声をかけずにはいられない。
「どうされましたかお客様?!」
「あーあ、ノボリが泣かした」
「何故そうなるのです」
二人がそんなやり取りをしている間に泣いていた男は泣き声以外の音を発する。
「ア・・・の」
「「ア?の?」」
「ばかぁっ!!」
男は持っていた杖を振り上げ、折れんばかりの勢いで降り下げた。
瞬間、男の前に立っていた二人を何処から出てきたのか白い煙がおかしな効果音と共に二人を包む。
「なに、これ」
「ただのけむり、のようですが」
うっかり吸い込んだ煙に噎せながら手で煙を払う。
一体先程の煙は何だったのかと思う程煙はすぐに霧散し、視界は晴れた。
「あれ、きみいつからそこにいたの?ん?」
「なにをいっているのですかクダリ。ふざけるのもたいがいになさい・・・ん?」
始めに気付いたのは側にいた片割れの姿が見当たらず、代わりに見覚えある子供がいた事。
二つ目は自身の視界が低くなった事。
「きみ、ノボリなの?」
「そういうあなたはクダリでございますか」
三つ目を気にする間もなく二人は自分達のおかしな状況に気が付いた。
自分達の目の前に立つ見覚えある子供は片割れの昔の幼い姿で、自身も片割れ同様に幼くなっている事に気付いたのだ。
「なにこれすごい!」
「よろこんでいるばあいですか!さきほどのおきゃくさまは、」
自分達が幼くなるというこの普通ありえない展開を既に楽しんでいるクダリは放ってこんな事になってしまった原因であろう酔いどれ天使を捜すも彼の姿はもうそこには無かった。
「そんな
事あるんですね」
ノボリから事の顛末を聞いたサクラは淹れて冷ましておいた緑茶を啜る。
「サクラちゃんぼくたちのはなしをしんじてくれるの?」
「信じるも何もこうして小さくなったノボリさんとクダリさんが目の前にいますし。
もしこれがクダリさんの悪戯だとしても口調が本人にそっくりだなんて手が凝りすぎてます」
「ぼく、サクラちゃんにいたずらしたりしない!」
「只の例え話です」
頬を膨らましむくれたクダリの機嫌をどうにかよくさせようと自分用に切り分けたカステラを差し出せばすぐに彼の表情は笑顔に切り替わった。
感情まで後退したのか?と思うサクラだったが幼くなる前からこうだった気もする。
「そういえばどうして私の家に?」
彼等がこうなってしまってはサブウェイの業務は無理だと判断され姿が戻る迄は暇を出されるのは予想出来るが、何故わざわざこんな街の外れに迄来たのか
「それはクラウドが・・・」
「このちんまいお二人が俺等のボスなんやてのはこいつから聞きました」
サブマス二人が幼児に後退した何て非現実的な話を部下達が信用したのはノボリが手配した毛布を持ってきた一人の部下が目撃し、証言したからだ。
彼がいたお陰で変に疑われずにこの不測過ぎる事態を信じてもらえ、上司からは姿が元に戻る迄の暇を貰った。
となると二人は自分達の自宅に帰るのだが
「お二人はその姿の間、どう生活するつもり何です」
「それはもちろんしょるいをかたずけつつふだんどおりのせいかつを」
「えーせっかくやすみになったのにいえでもしょるい?!」
「あなたはいえにしょるいをもちかえってもどうせやらないでしょう」
「え、バレた?」
てへっと舌を出して笑ったクダリの姿は子供そのものだ。
「あなたをいつもみてればわかります」
「あの、失礼を承知で言うんですけどその小さい体で普段通りの生活何て出来るんですか?」
クラウドの言葉にノボリは「あ」と、声を漏らす。
体が縮んでもちろん身長も縮んだ。
となると大人の身長に合わせて作られている台所はもちろん届かないし、洗濯や掃除をするのにかなり手間がかかる。
それに気付き悩むノボリにクラウドは一つ提案。
「嬢ちゃんの所に行っていつぞやみたいに少し世話になったらどうです?」
「ってクラウドがいって、それにさんせいだったぼくがノボリをひっぱってきたの!」
というわけで、とクダリは軽く手を叩く。
「サクラちゃん、ぼくたちをおせわして?」
上目使いに自分へと微笑みかけた小悪魔にサクラは痛む頭を押さえた。
「・・・どうせ断らせる気もないくせに」
それは午後3時を回った所。
来客など殆ど来ない時間帯に鳴ったチャイムの音にサクラとゾロアークは互いの顔を見合わせた。
誰だろうと二人が話していれば宅配じゃないのか?と老人が言ったのでサクラは重い腰を上げ、印鑑を掴み玄関へと向かう。
サクラの後ろにはゾロアに化けたゾロアークが続き、サクラと遊んでいたポケモン達は壁越しに玄関の様子を覗く。
ピンポーン
二度目のチャイムが鳴らされてサクラは外に聞こえるよう返事をする。
玄関の扉まで後少しであったがチャイムがサクラを急かすので急ぎ足で駆けて扉を掴んだ。
「はいは~い」
扉を開けばそこには見慣れた青い帽子の配達員はいなかった。
それどころか誰もいない。
サクラはおかしいなと首を傾げていれば足元にいたゾロアークがサクラの足を叩く。
何だ?と目線を下げれば黒と白、色違いの帽子を被った子供が二人で玄関に立っていた。
「えっと、どちら様ですか?」
玄関に立っていたのだから先程のチャイムはこの子供達が鳴らしたのだろうがサクラはこんな子供知らない。
だったら老人の知り合いの孫か何かか、確認しようと振り返った所を二人の子供に服を掴まれた。
「サクラちゃん!」
「サクラさま!」
待って、と掴まれたサクラは暫し固まった。
自身には覚えのない子供に名前を呼ばれ、名前に聞き慣れた愛称が付けられていたからだ。
いや、まさか、そんな、とサクラは独り言を続けた。
ちらちらと足元の子供を見れば灰色の瞳を不安に染め上げサクラを見上げている。
色違いの帽子から覗くのは瞳と同じく灰色の髪で、灰色の瞳と同様にサクラには見覚えがあった。
「ノボリさんとクダリさん・・・?」
そう尋ねれば足元のゾロアークが『何言ってんだこいつ』という目をしてサクラを見上げていた。
本当に私、何を言ってるんだろうなんて思っていればいきなり二人の子供はサクラの足に抱き付く。
「!?」
「よかった!」
「わたくしたちがわかるんですね!」
興奮気味に話す二人に後ろに足を一歩引きながらサクラは頭を押さえ、二人に尋ねた。
「え、二人とも本当にノボリさんとクダリさんなの?」
「サクラちゃんさっきぼくたちをなまえでよんだじゃない!」
「わたくしたちはいま、こんなすがたをしておりますがしょうしんしょうめいノボリとクダリにございます」
「嘘だ~・・・」
嘘だと信じたい。
が、嘘ではないようだ。
始まりは駅のホーム内だった。
怪しい格好の男がホームにいると無線に連絡が入り、たまたまマルチトレインから一緒に下車した二人は現場との距離が近かったのでその怪しい格好の男がいるホームへ向かったのだ。
怪しい格好と聞いてプラズマ団かと思い、警戒していたのだがホームにいたのはプラズマ団以上に怪しい男。
白く丈の短いスカートに大胆に肩を露出した衣装。
背中にはこれまた白の羽根、頭には金色の輪っかがあって片手に酒瓶もう片方の手には先に星の飾りが付いた杖。
彼と遭遇したのが夜ならそれほど驚いたりしないのたが今は昼間。
こんな昼間から酔っぱらっている彼の生活を少し気にしながらもノボリはその酔っぱらいの肩を叩いた。
お客様、と声をかければイギリス鈍りの英語で返される。
彼はイギリス人なのかと理解すると同時にノボリの頭に自身にそっくりなサブボスの顔が浮かび、そのボスが一度だけ酔っぱらった時に見せた姿と目の前のお客の姿がダブって見えた。
後ろではクダリが目を擦りながら客を見ていたのできっと同じ様な事を考えている。
イギリスの人間は酔うと皆、こうなのかと思いながら覚束ない足取りのお客に何度な声をかければ返事が返ってきた。
それなりに意識はあるようなので、部下に毛布を持ってくるよう無線で指示し酔っぱらっているお客はベンチに座らせる。
幸いだったのは今自分達がいるホームに止まっているのは回送列車の為辺りには他にお客はいない。
この回送列車が発車する迄には毛布が来るだろうと考えていればぐずぐずと側からそんな音が聞こえた。
見れば大の大人が大口を開け、大粒の涙を溢しているのだ。
目の前で泣かれれば思わず声をかけずにはいられない。
「どうされましたかお客様?!」
「あーあ、ノボリが泣かした」
「何故そうなるのです」
二人がそんなやり取りをしている間に泣いていた男は泣き声以外の音を発する。
「ア・・・の」
「「ア?の?」」
「ばかぁっ!!」
男は持っていた杖を振り上げ、折れんばかりの勢いで降り下げた。
瞬間、男の前に立っていた二人を何処から出てきたのか白い煙がおかしな効果音と共に二人を包む。
「なに、これ」
「ただのけむり、のようですが」
うっかり吸い込んだ煙に噎せながら手で煙を払う。
一体先程の煙は何だったのかと思う程煙はすぐに霧散し、視界は晴れた。
「あれ、きみいつからそこにいたの?ん?」
「なにをいっているのですかクダリ。ふざけるのもたいがいになさい・・・ん?」
始めに気付いたのは側にいた片割れの姿が見当たらず、代わりに見覚えある子供がいた事。
二つ目は自身の視界が低くなった事。
「きみ、ノボリなの?」
「そういうあなたはクダリでございますか」
三つ目を気にする間もなく二人は自分達のおかしな状況に気が付いた。
自分達の目の前に立つ見覚えある子供は片割れの昔の幼い姿で、自身も片割れ同様に幼くなっている事に気付いたのだ。
「なにこれすごい!」
「よろこんでいるばあいですか!さきほどのおきゃくさまは、」
自分達が幼くなるというこの普通ありえない展開を既に楽しんでいるクダリは放ってこんな事になってしまった原因であろう酔いどれ天使を捜すも彼の姿はもうそこには無かった。
「そんな
事あるんですね」
ノボリから事の顛末を聞いたサクラは淹れて冷ましておいた緑茶を啜る。
「サクラちゃんぼくたちのはなしをしんじてくれるの?」
「信じるも何もこうして小さくなったノボリさんとクダリさんが目の前にいますし。
もしこれがクダリさんの悪戯だとしても口調が本人にそっくりだなんて手が凝りすぎてます」
「ぼく、サクラちゃんにいたずらしたりしない!」
「只の例え話です」
頬を膨らましむくれたクダリの機嫌をどうにかよくさせようと自分用に切り分けたカステラを差し出せばすぐに彼の表情は笑顔に切り替わった。
感情まで後退したのか?と思うサクラだったが幼くなる前からこうだった気もする。
「そういえばどうして私の家に?」
彼等がこうなってしまってはサブウェイの業務は無理だと判断され姿が戻る迄は暇を出されるのは予想出来るが、何故わざわざこんな街の外れに迄来たのか
「それはクラウドが・・・」
「このちんまいお二人が俺等のボスなんやてのはこいつから聞きました」
サブマス二人が幼児に後退した何て非現実的な話を部下達が信用したのはノボリが手配した毛布を持ってきた一人の部下が目撃し、証言したからだ。
彼がいたお陰で変に疑われずにこの不測過ぎる事態を信じてもらえ、上司からは姿が元に戻る迄の暇を貰った。
となると二人は自分達の自宅に帰るのだが
「お二人はその姿の間、どう生活するつもり何です」
「それはもちろんしょるいをかたずけつつふだんどおりのせいかつを」
「えーせっかくやすみになったのにいえでもしょるい?!」
「あなたはいえにしょるいをもちかえってもどうせやらないでしょう」
「え、バレた?」
てへっと舌を出して笑ったクダリの姿は子供そのものだ。
「あなたをいつもみてればわかります」
「あの、失礼を承知で言うんですけどその小さい体で普段通りの生活何て出来るんですか?」
クラウドの言葉にノボリは「あ」と、声を漏らす。
体が縮んでもちろん身長も縮んだ。
となると大人の身長に合わせて作られている台所はもちろん届かないし、洗濯や掃除をするのにかなり手間がかかる。
それに気付き悩むノボリにクラウドは一つ提案。
「嬢ちゃんの所に行っていつぞやみたいに少し世話になったらどうです?」
「ってクラウドがいって、それにさんせいだったぼくがノボリをひっぱってきたの!」
というわけで、とクダリは軽く手を叩く。
「サクラちゃん、ぼくたちをおせわして?」
上目使いに自分へと微笑みかけた小悪魔にサクラは痛む頭を押さえた。
「・・・どうせ断らせる気もないくせに」