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双子と弁当屋の娘

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ライモンシティー

それはテーマパークが建ち並び沢山の人が行き交う娯楽都市である。
遊園地、ミュージカルホールにスタジアム。
人が集まりポケモンが集まる。

賑やかな街

眠らない街

活気づく街

その裏側を捲るかの様にきらびやかな街にも暗い部分はあった。
人が殆どいない通りに積み重なるごみ、職を失い酒瓶片手に路上に眠る人、ごみの側で弱々しく声をあげる幼いポケモン。
ごみが不法に投棄されたその場所はさながら明るい街のごみ捨て場だ。
ごみも人もポケモンも、要らない物が全て捨てられた場所。

母親を呼ぶのか

主人を呼ぶのか

はたまた助けを呼んでいるのか

弱々しくも声をあげるポケモンに空は容赦なく雨を落とす。
ポツポツと次第に強く降る雨は耳を澄ましたら聴こえたポケモンの声を雨の音で消してしまった。
雨はポケモンの声だけでなく体力迄も奪う。

冷たい雨が槍の様に体を貫き、立つ事も出来ず震えた。

声も出ない

力も出ない

産まれたばかりのそのポケモンにはもう限界だった。

視界が、霞む。


そんな時、体がふわりと浮いた。
ふわふわで暖かなものにくるまれて、霞んだ視界が少しずつ戻ってくる。
何とか体を動かし見れば少女が自分を抱えていた。

「ヨーテリーゲットだぜ!

なんてね」

柔らかな笑みを浮かべた少女にヨーテリーの震えていた体も治まる。
助かったと安心すると同時に自分が臭う事に気付いた。
臭いだけではない、少女が自分を包むのに使った白いタオルは泥とごみから漏れた液体で真っ黒。

どうしようもなくヨーテリーは素直に謝る。

ごめんね、ごめんねと

すると少女は笑み無くさぬまま小さく痩せたヨーテリーを抱き締めるのだ。
タオルを伝い、泥や臭いが少女に移っていく。

服が汚れると吠えた。

汚れてしまうと吠えれば少女は良いのだと言う。

「今さら汚れを気にしても仕方ないわ。

風邪をひく前に早く私の家に行きましょ」

そう言って体を撫でる手が気持ちよくてヨーテリーは瞼を落とす。
冷たい雨は少女がさす傘に遮られ音だけがヨーテリーの耳に届いた。
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