碧碧
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「ああ、どうしよか」
知り合い達から集めた小さな着物を床に並べて虎子は呟く。
彼女には息子が一人いるが女の子は初めてで、明日着せる服をどれにするか旅館の仕事がある為に未だ決まらず悩んでいた。
「やっぱり赤がいいやろか」
と、隣で着物を見ていた碧に羽織らせれば
うっとり。
「可愛らしいわぁ」
と親子でもないのに親馬鹿全開で碧の頭を撫でて抱き締める。
始めは虎子のこういったスキンシップに困惑していた碧も今ではほんのりと頬を染め上げる程度に迄慣れていた。
「やっぱり赤が似合うわね・・・碧ちゃんはどれがいい?」
「女将さんが良いと思うので」
他人任せな発言ではあったが、虎子は怒るどころか笑ってみせた。
始めは寺の皆に少し挨拶をするだけなので服は適当で良いだろうと思い、息子のお下がりを着せてみたのだが納得出来ず。
じゃあこれはと自分が幼少期に着ていた着物や知り合い達から集めた着物を着せ替えている内に楽しくなってしまい今や碧は虎子の着せ替え人形となってしまっている。
「次は桃色でも着てみよか」
そう言って持ち出したのは桃色に幾つもの花が咲いた着物で、赤い着物を脱ぎ畳んだ碧は虎子に勧められるがままに袖に腕を通した。
赤い着物とは違った明るさで碧は思わずその場で一回転してみる。
「なんや、可愛らしい天女さんがいると思たら碧やったか」
そう言って入ってきたのは手に袋を下げた達磨だった。
「ほれ、これを肩にかけてもう一度回ってみ」
達磨が床にあった淡い水色の兵児帯を掴み碧に差し出せばそれを受け取るのだが、動けず帯を握ったままどうしよかと思案している。
「良いやんか。さっきみたいにくるくるくるって回ってみぃ」
虎子に促されるがまま碧は少し照れつつくるりと回った。
「ほんま、天女みたいやな」
「碧ちゃん相手やったら天女も裸足で逃げ出すんちゃいます」
「・・・?」
「虎子と碧は可愛いって話をしとたんや」
何度か回った碧が止まって虎子と自分の様子を見ていたのに気付いた達磨は何か思い出した様で碧を手招きし、自分の膝の上に座らせた。
「そういえば、旅館の前でおばあさんに会ってな。これを碧にって渡されたんや」
そう言って手に乗せられたのは透明な容器に入った餡蜜。
誰もが知っている食べ物であったが碧は初見の様で、餡蜜が収まる透明な容器を上に持ち上げて色々な方向から眺めた。
寒天が光を取り込み変わった光を放つ。
「綺麗ですね」
「綺麗やけど食べたら美味しいんやで」
「知っとんのか?」
「ここいらじゃ有名なお店や。くれたのは昨日のお婆ちゃんやな。
碧ちゃん覚えとる?」
ほら、昨日のと言われて記憶の検索に一人引っ掛かった。
「交差点のお婆ちゃん」
虎子と買い物をした帰りに交差点で出会ったおばあさん。
荷物が多くて渡れずにいた所を碧が声をかけて横断歩道を一緒に歩いたのだ。
「きっと昨日のお礼やろうね」
「虎子の分もあるで」
「あら、ほんまに?」
ほれ、と碧が持つのと同じ物が袋から出てきて、達磨はそれを虎子の手におく。
「お婆ちゃん、私に迄気い使ってくれたんやな
何か悪いわ」
「良いやないかせっかくもろたんや。
近くに住んどるみたいやったし会った時にでも礼を言ったらええ」
碧は未だ餡蜜が珍しいしいのか透明な容器に入った寒天と果物をひたすら眺めていた。
きらきら
きらきら
言ってもいないのにそんな音が聴こえてきそうな輝き。
きらきら
きらきら
眺めていれば不意に餡蜜が消える。
探せば餡蜜は虎子の手にあった。
「これは食後にでも食べよな。それまでは冷蔵庫に冷やしておくわ」
分かったという意味を込めて碧は首を縦に振る。
そんな碧を「本当に聞き分け良い子や」と頭を撫でた。
餡蜜を冷やしに虎子が部屋を出てすぐに達磨は碧の名前を呼んで袋を渡す。
「これは私からのプレゼント、や」
プレゼントと言われ、頭を傾げた碧は達磨と袋を交互に何度も見た。
戸惑っているのか袋を覗こうともしない碧に開けるよう促せばやっと袋を開き中の物を取り出す。
確かに碧から驚きの声が聞こえたが反応がない。
餡蜜の時と同様に持ち上げ、それを色々な角度から眺める。
「可愛らしい下駄やね」
「下駄?」
帰ってきた虎子が碧の持つ物を見て言うと、碧は頭をまた傾げた。
そんな碧に立つよう促し履かせれば下駄はぴったり。
「着物を着るとき何かに履く履き物やよ。
それにしても昨日、眠っとる碧ちゃんの足を測っとるとこを見つけた時はこの人何やっとるのやろかとか思ったけど・・・」
「プレゼント、だって」
「この為やったんやな」
じとりと自分を見つめる虎子に冷や汗をかく達磨、彼とは対照的に喜びの反応を見せる碧を見て虎子は溜め息をつく。
「碧ちゃんを可愛がるのはええけどたまには私もプレゼントが欲しいわぁ・・・」
「虎子にはまた今度、な!」
「期待せずに待っとるわ」
知り合い達から集めた小さな着物を床に並べて虎子は呟く。
彼女には息子が一人いるが女の子は初めてで、明日着せる服をどれにするか旅館の仕事がある為に未だ決まらず悩んでいた。
「やっぱり赤がいいやろか」
と、隣で着物を見ていた碧に羽織らせれば
うっとり。
「可愛らしいわぁ」
と親子でもないのに親馬鹿全開で碧の頭を撫でて抱き締める。
始めは虎子のこういったスキンシップに困惑していた碧も今ではほんのりと頬を染め上げる程度に迄慣れていた。
「やっぱり赤が似合うわね・・・碧ちゃんはどれがいい?」
「女将さんが良いと思うので」
他人任せな発言ではあったが、虎子は怒るどころか笑ってみせた。
始めは寺の皆に少し挨拶をするだけなので服は適当で良いだろうと思い、息子のお下がりを着せてみたのだが納得出来ず。
じゃあこれはと自分が幼少期に着ていた着物や知り合い達から集めた着物を着せ替えている内に楽しくなってしまい今や碧は虎子の着せ替え人形となってしまっている。
「次は桃色でも着てみよか」
そう言って持ち出したのは桃色に幾つもの花が咲いた着物で、赤い着物を脱ぎ畳んだ碧は虎子に勧められるがままに袖に腕を通した。
赤い着物とは違った明るさで碧は思わずその場で一回転してみる。
「なんや、可愛らしい天女さんがいると思たら碧やったか」
そう言って入ってきたのは手に袋を下げた達磨だった。
「ほれ、これを肩にかけてもう一度回ってみ」
達磨が床にあった淡い水色の兵児帯を掴み碧に差し出せばそれを受け取るのだが、動けず帯を握ったままどうしよかと思案している。
「良いやんか。さっきみたいにくるくるくるって回ってみぃ」
虎子に促されるがまま碧は少し照れつつくるりと回った。
「ほんま、天女みたいやな」
「碧ちゃん相手やったら天女も裸足で逃げ出すんちゃいます」
「・・・?」
「虎子と碧は可愛いって話をしとたんや」
何度か回った碧が止まって虎子と自分の様子を見ていたのに気付いた達磨は何か思い出した様で碧を手招きし、自分の膝の上に座らせた。
「そういえば、旅館の前でおばあさんに会ってな。これを碧にって渡されたんや」
そう言って手に乗せられたのは透明な容器に入った餡蜜。
誰もが知っている食べ物であったが碧は初見の様で、餡蜜が収まる透明な容器を上に持ち上げて色々な方向から眺めた。
寒天が光を取り込み変わった光を放つ。
「綺麗ですね」
「綺麗やけど食べたら美味しいんやで」
「知っとんのか?」
「ここいらじゃ有名なお店や。くれたのは昨日のお婆ちゃんやな。
碧ちゃん覚えとる?」
ほら、昨日のと言われて記憶の検索に一人引っ掛かった。
「交差点のお婆ちゃん」
虎子と買い物をした帰りに交差点で出会ったおばあさん。
荷物が多くて渡れずにいた所を碧が声をかけて横断歩道を一緒に歩いたのだ。
「きっと昨日のお礼やろうね」
「虎子の分もあるで」
「あら、ほんまに?」
ほれ、と碧が持つのと同じ物が袋から出てきて、達磨はそれを虎子の手におく。
「お婆ちゃん、私に迄気い使ってくれたんやな
何か悪いわ」
「良いやないかせっかくもろたんや。
近くに住んどるみたいやったし会った時にでも礼を言ったらええ」
碧は未だ餡蜜が珍しいしいのか透明な容器に入った寒天と果物をひたすら眺めていた。
きらきら
きらきら
言ってもいないのにそんな音が聴こえてきそうな輝き。
きらきら
きらきら
眺めていれば不意に餡蜜が消える。
探せば餡蜜は虎子の手にあった。
「これは食後にでも食べよな。それまでは冷蔵庫に冷やしておくわ」
分かったという意味を込めて碧は首を縦に振る。
そんな碧を「本当に聞き分け良い子や」と頭を撫でた。
餡蜜を冷やしに虎子が部屋を出てすぐに達磨は碧の名前を呼んで袋を渡す。
「これは私からのプレゼント、や」
プレゼントと言われ、頭を傾げた碧は達磨と袋を交互に何度も見た。
戸惑っているのか袋を覗こうともしない碧に開けるよう促せばやっと袋を開き中の物を取り出す。
確かに碧から驚きの声が聞こえたが反応がない。
餡蜜の時と同様に持ち上げ、それを色々な角度から眺める。
「可愛らしい下駄やね」
「下駄?」
帰ってきた虎子が碧の持つ物を見て言うと、碧は頭をまた傾げた。
そんな碧に立つよう促し履かせれば下駄はぴったり。
「着物を着るとき何かに履く履き物やよ。
それにしても昨日、眠っとる碧ちゃんの足を測っとるとこを見つけた時はこの人何やっとるのやろかとか思ったけど・・・」
「プレゼント、だって」
「この為やったんやな」
じとりと自分を見つめる虎子に冷や汗をかく達磨、彼とは対照的に喜びの反応を見せる碧を見て虎子は溜め息をつく。
「碧ちゃんを可愛がるのはええけどたまには私もプレゼントが欲しいわぁ・・・」
「虎子にはまた今度、な!」
「期待せずに待っとるわ」