碧碧
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碧がぱちりと目を覚ますとそこは知らない部屋だった。
一瞬、あそこへ戻ったのかとも考えたがそのわりには狭く明るい。
取敢ず起きよう、と体を動かすのだが体は思うように動かず少し浮かしただけで体が布団へ沈み込む。
「あ、れ?」
体が動かない。
力が入らず起こせない体に碧は困り果てた。
「あら!目が覚めたんやね」
盆に色々なものを乗せた女性がにこりと笑い部屋へと入ってくる。
知らない部屋に知らない人、女性は優しそうな笑みを浮かべているが碧はいまいち信用出来ず這いずりながら後ろに下がった。
「そんなに怯えやんでも大丈夫や」
おいで、と手で招く女性に碧は首を横へと振る。
「嫌、いや」
声が掠れる。
まるで何日も水を口にしていないかの様な喉の渇き。
・・・何日も?
碧は動かない足や腕に力を込めて立ち上がった。
ふらつきながらも女性を避けて部屋を飛び出し廊下を走ればすぐに縁側へと出る。
「うわっ」
「!」
どんっと角から現れた初老の男に突進するかの様にぶつかった碧は跳ね返されるかの様にして床へと転ぶ。
それは男も同様で、手にしていた新聞や煙草の箱を落とし「いったいなんなんだ」と文句を溢す。
「病み上がりやのに急に走ったら・・・!お客様大丈夫ですか」
碧を追いかけていた女性は倒れた男に駆け寄り謝っている。
「廊下で子供が走り回ってるなんて・・・歴史ある旅館がいつから子供の遊び場になったんだ」
「ほんまにすみません」
「・・・・・・」
尻餅をついた碧はただ"どうしよう"と考えていた。
命令された場所にもどらなければ
どうやって
ここが何処かも分からない
山への道も分からない。
ひたすら"どうしよう"が回る。
そんな時、かさりと指先に何かが触れた。
それはぎっしりと文字が書かれた新聞で碧は何となくそれを手にとる。
【正十字騎士團 指名手配されていた女性が死亡。】
活字だらけの新聞に碧が読めるのはほとんでなかったが【正十字騎士團】と【死亡】、それに母親の名前だけは読めた。
それが何を意味するのかは今までの状況を考えればすぐに分かる。
お母さんは迎えな来てくれなかったんじゃない。
迎えに来れなかったんだ。
そう思った途端、流れたのは涙で渇れた喉からは枯れた声が漏れた。
一度決壊したそれは止まる事が出来ず、目からはひたすら涙が溢れ碧はひきつりながら嗚咽を漏らす。
突然、泣き出した碧に女性はもちろん先程迄怒っていた男さえも驚き黙っているしかなかった。
一瞬、あそこへ戻ったのかとも考えたがそのわりには狭く明るい。
取敢ず起きよう、と体を動かすのだが体は思うように動かず少し浮かしただけで体が布団へ沈み込む。
「あ、れ?」
体が動かない。
力が入らず起こせない体に碧は困り果てた。
「あら!目が覚めたんやね」
盆に色々なものを乗せた女性がにこりと笑い部屋へと入ってくる。
知らない部屋に知らない人、女性は優しそうな笑みを浮かべているが碧はいまいち信用出来ず這いずりながら後ろに下がった。
「そんなに怯えやんでも大丈夫や」
おいで、と手で招く女性に碧は首を横へと振る。
「嫌、いや」
声が掠れる。
まるで何日も水を口にしていないかの様な喉の渇き。
・・・何日も?
碧は動かない足や腕に力を込めて立ち上がった。
ふらつきながらも女性を避けて部屋を飛び出し廊下を走ればすぐに縁側へと出る。
「うわっ」
「!」
どんっと角から現れた初老の男に突進するかの様にぶつかった碧は跳ね返されるかの様にして床へと転ぶ。
それは男も同様で、手にしていた新聞や煙草の箱を落とし「いったいなんなんだ」と文句を溢す。
「病み上がりやのに急に走ったら・・・!お客様大丈夫ですか」
碧を追いかけていた女性は倒れた男に駆け寄り謝っている。
「廊下で子供が走り回ってるなんて・・・歴史ある旅館がいつから子供の遊び場になったんだ」
「ほんまにすみません」
「・・・・・・」
尻餅をついた碧はただ"どうしよう"と考えていた。
命令された場所にもどらなければ
どうやって
ここが何処かも分からない
山への道も分からない。
ひたすら"どうしよう"が回る。
そんな時、かさりと指先に何かが触れた。
それはぎっしりと文字が書かれた新聞で碧は何となくそれを手にとる。
【正十字騎士團 指名手配されていた女性が死亡。】
活字だらけの新聞に碧が読めるのはほとんでなかったが【正十字騎士團】と【死亡】、それに母親の名前だけは読めた。
それが何を意味するのかは今までの状況を考えればすぐに分かる。
お母さんは迎えな来てくれなかったんじゃない。
迎えに来れなかったんだ。
そう思った途端、流れたのは涙で渇れた喉からは枯れた声が漏れた。
一度決壊したそれは止まる事が出来ず、目からはひたすら涙が溢れ碧はひきつりながら嗚咽を漏らす。
突然、泣き出した碧に女性はもちろん先程迄怒っていた男さえも驚き黙っているしかなかった。