悪魔と魔女
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白い肌に淡く溶けそうな髪
長い髪から覗く兎の様な紅い瞳
表情は何処か虚ろで
唇は堅く結ばれていた
黒い服を掴む白く小さな手には
銀の腕輪
ただひたすらジジイの後を付いて歩く姿は酷く印象的だった。
「なあ、お前は」
いつもはジジイの跡を追うそいつが珍しく一人でいた。
眼鏡をかけた熊の人形を片手に部屋の隅で座っている。
一人でいるのが珍しくて何となく声をかけた。
何処か虚ろで真っ赤な目が俺を見上げる。
暫く無言が続いた。
何も喋らない少女につられて燐も固まり無言になる。
何度か燐の後ろを人が通り過ぎたが何とも言えない雰囲気に誰もが声をかけずに通り過ぎた。
喋ろうにも何を言えば良いのか分からず、ただ冷や汗が流れる。
声をかけたのは自分なのだからと自分で急かしてみるが少女の紅い瞳を見るだけで思考を失う。
何か喋る訳でもなく、何かにとり憑かれたかの様に紅い瞳を見つめていると違う部屋から弟の呼ぶ声が聞こえて燐ははっと気付く。
「兄さん!何処にいるんだい」
「お、おう、すぐそっちに行く」
自分を呼ぶ雪男がいる部屋へ体を向けた燐。
その後ろから確かにか細い声で
「りん」
と自分を呼ぶ声が聴こえた。
まさか、と思いながらも振り向けば紅い瞳の少女はその淡い桃色の唇で「り、ん」と音を紡ぐ。
発音は少し違ったが少女は確かに燐の名を呼んでいた。
出会って数年経って聴いた少女の声に燐は言い様のない感動を覚える。
「お、おおおおおっ!雪男!雪男!」
思わず雪男を呼べば、丁度燐を探していた雪男は「なんだい兄さん」と部屋に顔を出す。
「お前、落ち着いてきけよ!」
「・・・落ち着くのは兄さんの方だと思うんだけど」
「う、うるせぇ!それよりもコイツがコイツが」
「だから落ち着いてってば兄さん」
はんば呆れた顔をする雪男は燐が指差す少女を見て「この子が?」と尋ねた。
何とか落ち着いてきた燐は「コイツが!」と言いかけた時、玄関からただいまと獅朗の声が聞こえる。
それに反応するかの様に少女は立ち上がり駆け出した。
話の主である少女が部屋からいなくなり、燐の腕は力なく下ろされる。
「おい、燐、雪男!」
獅朗の呼ぶ声に今行くよと雪男が返す。
「神父さんが呼んでる。行こう兄さん」
「お、おう」
二人して部屋を出て廊下を歩く。
お互い無言ではあったが少しして雪男が口を開く。
「で、あの子がどうしたんだい?」
そう尋ねてきて燐に先程までの興奮が沸き上がってきた。
今まで喋ってた所を見たことがない少女が初めて自分の名前を呼んだ。
しかも二回も
それを弟にも自慢しようと思っていた燐は口早にさっきの事を話す。
「でよ!あいつが俺の名前を呼んだんだ
しかも二回だぞ二回も!」
どうだ、驚いたかと雪男を見れば、雪男は至っていつも通りだった。
ずれた眼鏡を直して食堂へのドアノブを握る。
想像していた以上に反応がない雪男に燐は口を尖らせた。
「何だよ驚かねぇのか
お前だってあいつが喋る所、見たことねぇだろ?」
「そうだね、僕も見たことない」
「だったら少しは・・・!」
「けどあり得ないんだよ」
「?はぁ」
「彼女が喋る何て事はあり得ない」
そう言い切った雪男に燐は頭を傾げる。
その後、どういう事なのか燐は雪男に何度も尋ねたが結局口を割らずその話はうやむやとなってしまった。
長い髪から覗く兎の様な紅い瞳
表情は何処か虚ろで
唇は堅く結ばれていた
黒い服を掴む白く小さな手には
銀の腕輪
ただひたすらジジイの後を付いて歩く姿は酷く印象的だった。
「なあ、お前は」
いつもはジジイの跡を追うそいつが珍しく一人でいた。
眼鏡をかけた熊の人形を片手に部屋の隅で座っている。
一人でいるのが珍しくて何となく声をかけた。
何処か虚ろで真っ赤な目が俺を見上げる。
暫く無言が続いた。
何も喋らない少女につられて燐も固まり無言になる。
何度か燐の後ろを人が通り過ぎたが何とも言えない雰囲気に誰もが声をかけずに通り過ぎた。
喋ろうにも何を言えば良いのか分からず、ただ冷や汗が流れる。
声をかけたのは自分なのだからと自分で急かしてみるが少女の紅い瞳を見るだけで思考を失う。
何か喋る訳でもなく、何かにとり憑かれたかの様に紅い瞳を見つめていると違う部屋から弟の呼ぶ声が聞こえて燐ははっと気付く。
「兄さん!何処にいるんだい」
「お、おう、すぐそっちに行く」
自分を呼ぶ雪男がいる部屋へ体を向けた燐。
その後ろから確かにか細い声で
「りん」
と自分を呼ぶ声が聴こえた。
まさか、と思いながらも振り向けば紅い瞳の少女はその淡い桃色の唇で「り、ん」と音を紡ぐ。
発音は少し違ったが少女は確かに燐の名を呼んでいた。
出会って数年経って聴いた少女の声に燐は言い様のない感動を覚える。
「お、おおおおおっ!雪男!雪男!」
思わず雪男を呼べば、丁度燐を探していた雪男は「なんだい兄さん」と部屋に顔を出す。
「お前、落ち着いてきけよ!」
「・・・落ち着くのは兄さんの方だと思うんだけど」
「う、うるせぇ!それよりもコイツがコイツが」
「だから落ち着いてってば兄さん」
はんば呆れた顔をする雪男は燐が指差す少女を見て「この子が?」と尋ねた。
何とか落ち着いてきた燐は「コイツが!」と言いかけた時、玄関からただいまと獅朗の声が聞こえる。
それに反応するかの様に少女は立ち上がり駆け出した。
話の主である少女が部屋からいなくなり、燐の腕は力なく下ろされる。
「おい、燐、雪男!」
獅朗の呼ぶ声に今行くよと雪男が返す。
「神父さんが呼んでる。行こう兄さん」
「お、おう」
二人して部屋を出て廊下を歩く。
お互い無言ではあったが少しして雪男が口を開く。
「で、あの子がどうしたんだい?」
そう尋ねてきて燐に先程までの興奮が沸き上がってきた。
今まで喋ってた所を見たことがない少女が初めて自分の名前を呼んだ。
しかも二回も
それを弟にも自慢しようと思っていた燐は口早にさっきの事を話す。
「でよ!あいつが俺の名前を呼んだんだ
しかも二回だぞ二回も!」
どうだ、驚いたかと雪男を見れば、雪男は至っていつも通りだった。
ずれた眼鏡を直して食堂へのドアノブを握る。
想像していた以上に反応がない雪男に燐は口を尖らせた。
「何だよ驚かねぇのか
お前だってあいつが喋る所、見たことねぇだろ?」
「そうだね、僕も見たことない」
「だったら少しは・・・!」
「けどあり得ないんだよ」
「?はぁ」
「彼女が喋る何て事はあり得ない」
そう言い切った雪男に燐は頭を傾げる。
その後、どういう事なのか燐は雪男に何度も尋ねたが結局口を割らずその話はうやむやとなってしまった。