碧碧
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
深く深く
奥の奥に
「はぁ・・・はぁ、」
潜って出れば
「どうして」
沢山の悪魔に囲まれていた。
「こんな事になっちゃったんだろう」
自分を取り囲む悪魔の数に碧は途方に暮れる。
「さっきまでお寺の中にいたのに」
碧はまたも金造に頼まれた境内の掃除の為に寺の裏にいた。
自分の背丈程の竹箒で落ち葉を一ヵ所に集めていたのだが突如吹いた突風に目を閉じた瞬間碧のそれは奪われる。
はらりと落ちた髪に何事か頭に手を伸ばせば大切なそれは消えていた。
一瞬で消えたそれを探し地面を見渡していれば"ぎゃー"と頭上からの声。
「あ、」
声が聞こえた碧の頭上では黒い鴉がぐるぐると旋回していて、その鋭い嘴には碧が探していたそれがくわらえられていた。
「返して!」
声を上げても鴉に人間の言葉が通じるわけもなく、鴉は手を伸ばし跳び跳ねる碧を尻目に山の奥へと飛んでいく。
それを追いかけようと碧は箒を地面に投げ捨てて山に消える鴉の後を追った。
「・・・そうだった」
回想を終えた碧は走っている間に忘れかけていた記憶を思い出し「そうだった」と言って頷く。
「そうだった。
で、これは罠だったのかな?」
自分が追いかけていた鴉は碧を取り囲む悪魔の内の一匹の上にいて、碧を見下していた。
その嘴には碧の髪から奪ったリボンがくわえられている。
「それ、返して」
碧が言っても鴉は首を動かすだけで返してくれる様子はない。
「返してよ。それは
お母さんがくれた・・・」
聞く耳持たず。
リボンをくわえていた鴉はまた飛び立つと同時にリボンを地面に落とした。
それを掴もうと碧は走り出すのだが、碧の手に届くよりも前に火蜥蜴の吐いた炎がリボンに巻き付き
「あ、あ、」
灰となって碧に降りかかる。
「お母さんが私にくれたリボン・・・」
無惨にも炎に焼かれたリボンは碧に降りかかるよりも前に風に巻き上げられて何処かへと飛んで言ってしまう。
それを見た碧は膝をつき、呆然とした。
悪魔の作った輪の中で膝をついて俯く碧は格好の餌で、喉を鳴らした悪魔達は涎を垂らし碧との間合いを縮める。
餌だ餌だと喜び笑い近付く悪魔達。
近付く悪魔達に構わず膝をついたままの碧は
「許せない」
と呟いた。