碧碧
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盗まれた聖遺物をバチカンへと送り返すついでにメフィストは同じく盗まれ、今だ行方不明の最上位を冠する悪魔対向武器と研究資料について尋ねる事にした。
しかしバチカンから返ってきた答えは
『素早く、迅速に武器の回収を行う事』
それだけ。
尋ねた事に対する返答にもならないバチカンの答えにメフィストは怒る処か笑みを見せた。
指をパッチンと鳴らせば山の様に出てきた便箋と封筒。
全ての便箋に再度同じ問いを書き連ね、毎日各支部から千通ずつ送れば
「やっとまともな返事が返ってきたんですよ」
にっこりと笑みを浮かべたメフィストの影でバチカンの郵便物を扱う係りの者がメフィストの送った封筒に溺れながら泣く泣く上司にしがみついていた等と知るよしはない。
いや、彼は知っていて笑っているのかもしれない。
それはメフィスト本人のみが知ることなのだが、彼は封の開いた手紙を呼び寄せた藤本に渡した。
封筒から出した手紙にはまず堅苦しい挨拶から始まり、メフィストの手紙(嫌がらせ)に対する小言、そして本題である武器についての事が最後に書かれている。
しかし、
「何々、
武器については彼女が一番良く知る。
武器と資料は一つが一つで在らず・・・意味解らねぇ」
手紙の返信した者の趣味なのか具体的な答えになっていない内容に藤本は眉間に皺を寄せた。
「やはり藤本は解りませんか」
解らぬと予想して手紙を読まされた事に気付いた藤本は手紙を突き返し説明を求める。
「私が解釈するに手紙にある"一つが一つで在らず"は
武器は武器、資料は資料
でなく武器は資料とい意味でしょう。
そして手紙が指す"彼女"はこの武器を盗んだ下二級医工騎士の娘。
手紙とは別で調べたのですがこの事件を起こした下二級医工騎士は元は上一級医工騎士だった様です」
「何っ?!」
メフィストに返した手紙の代わりに渡されたのは今話題に上がった医工騎士の写真と経歴が並ぶ資料で、その資料には確かに彼女が上一級医工騎士で在ることが確と記されていた。
「しっかし何で上一級だったのに下二級にまで落ちたんだ?」
ミス、失態の大きさで一つ二つ階級が下がるのは聞く話だが彼女は階級を五つも落としている。
そこまで酷い失態を犯したのなら本部通いもしている聖騎士の藤本の耳にも入る筈だ。
しかし今の今までそんな話を聞いた事がない。
これはどういう事かメフィストに尋ねれば「資料をよく見なさい!」と怒り返される。
藤本としてはこの文字だらけの資料を全て読むのが億劫でメフィストに尋ねたのだが怒られてしまい、しかたなく文字の羅列を読むことにした。
彼女の経歴の欄、上一級に昇格し下二級に下がったと書かれた箇所の間には知らぬ男性の名が記され死亡した事も記されている。
「おいメフィスト、これって」
「ああ、ちゃんと読んだようですね。
その資料に書かれている通り、彼女と婚約関係にあったその男は任務中に殉職なさいました。
調べた所によるとその彼が死んだ次の日は彼女達の結婚式が予定されていた様で、結婚前夜に恋人を失った彼女は荒れに荒れ任務にも連れて行けないと上に判断された彼女は上一級の地位から下二級に落とされたようです
まったく人間とは心の弱い生き物だ」
「結婚前夜に恋人を失ったんだ。これが普通の反応だろ」
そう呟いた藤本の頭に炎に焼かれる彼女の悲しげな顔が浮かんだ。
─を頼みます─
「ん?」
「どうしました藤本」
難しい顔をして頭を押さえた藤本にメフィストはどうしたのか尋ねる。
「いや、この女が目の前で死ぬ時に俺に何かを頼んだんだ」
彼女は身を焼く業火を気にも止める様子もなく藤本に何を頼んだのか。
「ほう、頼み事ですか。
何を頼まれたのです」
「ああ、ちょっと待て
今思い出す」
─きっとこれも何かの縁─
─もし何処かであの子を見付けたら─
─あの子を頼みます─
そういって彼女は自身の命を燃やし燃え尽きた。
「思い出した。子供の事を頼まれたんだ」
「子供?
何だ藤本。彼女との間に子供をこさえていたのですか」
相変わらず手の早い奴だと呆れ顔のメフィストに藤本は「違う!!」と力強く否定する。
「冗談ですよ。それより彼女ははっきりとお前に子供を頼むと言っていたのですね?」
「ああ、だが子供ってやっぱりこの男との子供か」
「いや、彼女は婚前交渉を嫌う組織に属していたし彼女の夫となる筈だった男もそういう事に厳しい家系だったから彼女が婚前で孕んでいたとは思えませんね」
「だったら」
あの子とは?
藤本には分からなかった。
悩む藤本は顔を上げ、部屋の壁に掛けられた時計を眺め
勢いよく立ち上がる。
「何ですか!突然急に」
前触れもなく無言で立ち上がった藤本に驚いたメフィストはかれに文句を連ねた。
のだが藤本はそれを聞いているのかいないのかソファーに脱ぎ捨てたままのコートを手にして帰る準備を整える。
「じゃあ俺は帰るは」
「はあ?」
「もう夕飯の時間だからな」
夕飯がよっぽど楽しみだろうメフィストの制止も聞かず部屋の扉迄きた藤本は一本の鍵を鍵穴へと挿し込み回した。
「待ちなさい!藤本」
「じゃあなメフィスト」
しかしバチカンから返ってきた答えは
『素早く、迅速に武器の回収を行う事』
それだけ。
尋ねた事に対する返答にもならないバチカンの答えにメフィストは怒る処か笑みを見せた。
指をパッチンと鳴らせば山の様に出てきた便箋と封筒。
全ての便箋に再度同じ問いを書き連ね、毎日各支部から千通ずつ送れば
「やっとまともな返事が返ってきたんですよ」
にっこりと笑みを浮かべたメフィストの影でバチカンの郵便物を扱う係りの者がメフィストの送った封筒に溺れながら泣く泣く上司にしがみついていた等と知るよしはない。
いや、彼は知っていて笑っているのかもしれない。
それはメフィスト本人のみが知ることなのだが、彼は封の開いた手紙を呼び寄せた藤本に渡した。
封筒から出した手紙にはまず堅苦しい挨拶から始まり、メフィストの手紙(嫌がらせ)に対する小言、そして本題である武器についての事が最後に書かれている。
しかし、
「何々、
武器については彼女が一番良く知る。
武器と資料は一つが一つで在らず・・・意味解らねぇ」
手紙の返信した者の趣味なのか具体的な答えになっていない内容に藤本は眉間に皺を寄せた。
「やはり藤本は解りませんか」
解らぬと予想して手紙を読まされた事に気付いた藤本は手紙を突き返し説明を求める。
「私が解釈するに手紙にある"一つが一つで在らず"は
武器は武器、資料は資料
でなく武器は資料とい意味でしょう。
そして手紙が指す"彼女"はこの武器を盗んだ下二級医工騎士の娘。
手紙とは別で調べたのですがこの事件を起こした下二級医工騎士は元は上一級医工騎士だった様です」
「何っ?!」
メフィストに返した手紙の代わりに渡されたのは今話題に上がった医工騎士の写真と経歴が並ぶ資料で、その資料には確かに彼女が上一級医工騎士で在ることが確と記されていた。
「しっかし何で上一級だったのに下二級にまで落ちたんだ?」
ミス、失態の大きさで一つ二つ階級が下がるのは聞く話だが彼女は階級を五つも落としている。
そこまで酷い失態を犯したのなら本部通いもしている聖騎士の藤本の耳にも入る筈だ。
しかし今の今までそんな話を聞いた事がない。
これはどういう事かメフィストに尋ねれば「資料をよく見なさい!」と怒り返される。
藤本としてはこの文字だらけの資料を全て読むのが億劫でメフィストに尋ねたのだが怒られてしまい、しかたなく文字の羅列を読むことにした。
彼女の経歴の欄、上一級に昇格し下二級に下がったと書かれた箇所の間には知らぬ男性の名が記され死亡した事も記されている。
「おいメフィスト、これって」
「ああ、ちゃんと読んだようですね。
その資料に書かれている通り、彼女と婚約関係にあったその男は任務中に殉職なさいました。
調べた所によるとその彼が死んだ次の日は彼女達の結婚式が予定されていた様で、結婚前夜に恋人を失った彼女は荒れに荒れ任務にも連れて行けないと上に判断された彼女は上一級の地位から下二級に落とされたようです
まったく人間とは心の弱い生き物だ」
「結婚前夜に恋人を失ったんだ。これが普通の反応だろ」
そう呟いた藤本の頭に炎に焼かれる彼女の悲しげな顔が浮かんだ。
─を頼みます─
「ん?」
「どうしました藤本」
難しい顔をして頭を押さえた藤本にメフィストはどうしたのか尋ねる。
「いや、この女が目の前で死ぬ時に俺に何かを頼んだんだ」
彼女は身を焼く業火を気にも止める様子もなく藤本に何を頼んだのか。
「ほう、頼み事ですか。
何を頼まれたのです」
「ああ、ちょっと待て
今思い出す」
─きっとこれも何かの縁─
─もし何処かであの子を見付けたら─
─あの子を頼みます─
そういって彼女は自身の命を燃やし燃え尽きた。
「思い出した。子供の事を頼まれたんだ」
「子供?
何だ藤本。彼女との間に子供をこさえていたのですか」
相変わらず手の早い奴だと呆れ顔のメフィストに藤本は「違う!!」と力強く否定する。
「冗談ですよ。それより彼女ははっきりとお前に子供を頼むと言っていたのですね?」
「ああ、だが子供ってやっぱりこの男との子供か」
「いや、彼女は婚前交渉を嫌う組織に属していたし彼女の夫となる筈だった男もそういう事に厳しい家系だったから彼女が婚前で孕んでいたとは思えませんね」
「だったら」
あの子とは?
藤本には分からなかった。
悩む藤本は顔を上げ、部屋の壁に掛けられた時計を眺め
勢いよく立ち上がる。
「何ですか!突然急に」
前触れもなく無言で立ち上がった藤本に驚いたメフィストはかれに文句を連ねた。
のだが藤本はそれを聞いているのかいないのかソファーに脱ぎ捨てたままのコートを手にして帰る準備を整える。
「じゃあ俺は帰るは」
「はあ?」
「もう夕飯の時間だからな」
夕飯がよっぽど楽しみだろうメフィストの制止も聞かず部屋の扉迄きた藤本は一本の鍵を鍵穴へと挿し込み回した。
「待ちなさい!藤本」
「じゃあなメフィスト」