碧碧
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時計が九時を指す頃には何時も眠っているのにその日は壁や屋根を叩く雨風のせいかうまく寝付けずにいた。
眠ろうと何度か寝返りを打つ内に廉造も子猫丸も眠りにつきこの部屋で眠っていないのは自分だけ、
「ちゃう、もう一人おったわ」
竜士がそう呟いた時、部屋の襖が開いた。
自分達を起こさない為の配慮か妙に遅い足、丁寧に息までも殺して布団に入ったのは竜士と同じくまだ寝ていない子供だ。
ガタガタ ガタガタ
ガタガタ
台風の声が遠くに聴こえる。
そしてその声がより遠ざかると布団の布同士が擦れる音。
どうやら向こうも寝付けないのか寝返りの音に「眠れない」と呟く声まで聞こえた。
お互い眠れない者同士、竜士は彼女に親近感を感じる。
さっきまでの自分と同様に何度も寝返りをうっている彼女に益々親近感が湧き、この際彼女に声をかけてみようか何て思うのだが結局それは出来なかった。
彼女は竜士が話し掛けるよりも先に
「こんばんは」
と誰かに話し掛けだしたのだ。
「ぎゃーぎゃー」
「お前、何やっとんや」
休日だからと父親である八百造に寺の掃除を申し付けられた金造は渡された竹箒を使う訳でもなく、肩にかけ寺内をぶらぶらしていた。
そんな時に見付けた碧。
建物の裏の庭で一人立っておりぼんやりと何かを見つめているかと思ったら突然、奇声を上げ出したのだ。
「ぎゃーぎゃーって」
「やから何やっとんや」
「真似」
碧の返答に頭を傾げた金造。
「お前が何言いたいか全然分からんわ」
と返せば碧は無言で塀の外から内へと伸びる木の枝を指差す。
その枝の上には黒い鴉が一匹、碧と金造を見ていた。
「何や鴉の真似か。やけど鴉やったらぎゃーやのうて
"カーカー"やろ?」
金造はカーカーと鳴き声を上げてて手で羽ばたく真似をするのだが碧にはその鴉を真似た声がしっくり来ないらしい。
鴉の真似に反応もなく今度は碧が頭を傾げた。
「やっぱりぎゃー」
「いや、鴉の鳴き声言えばカーや」
「ぎゃー」
「カーや」
「ぎゃー」
「カーや!」
"ぎゃー""カー"のやり取りを無限ループかと思う程続けて
「もう鴉の鳴き声がカーでもぎゃーでも何でもええわ!」
金造はキレた。
「お前のせいで無駄に気力をつこてもうたしお前が俺の代わりにここの落ち葉を払っとけ!ええな!!」
突き出された竹箒を受け取り碧は頷く。
するとさっきまでキレていたのが嘘の様に金造の表情は優しくなって、彼は「後頼んだで」と何処かへ行ってしまった。
また一人になった碧は相変わらず此方を見ている鴉を見上げ一言。
「何処かに消えて」
そう言葉をかけた途端、鋭い声を上げた鴉はその黒い姿をピンクに変えて翼を広げた。
翼は何時の間にか羽毛でなく一枚布の様なものになっておりその鴉でなくなったピンクの何かはその大きな翼を広げ、空へ飛び立つ。
あれは何だったのか。
碧は呆然と空を眺めていれば後ろから声をかけられた。
振り向けば竜士、廉造、子猫丸のお馴染み仲良し三人組である。
「なあ、碧ちゃん。坊から聞いたんやけど昨日の夜、暗闇で誰と話とたん?」
「志摩、俺はさっきもいったけどあれは只の独り言や」
「で、でも坊、もしかしたら誰やおったのやもしれへんですよ」
昨日の夜、と聞かれて碧は一体何の事かと思っていたが三人の会話を聞いている内に昨日の夜の事を鮮明に思い出してきていた。
『もしかしたら同じ街に住んでたりして』
『きづかずにおなじこうえんであそんでるかもな』
『そうだったら素敵なのにね』
そんな会話を碧は"りん"と昨日の夜にしている。
廉造の聞いてきた「昨日の夜、誰と話とたん?」はつまりその"りん"との会話を聞かれていたとい事。
「あの、それは」
何と返答すれば良いのか。
流石に「遠くの離れた友達とお喋りしてました」何て答えが駄目なのは碧にも分かっていた。
しかし代わりの答えが出ない。
どうしようと思案する碧の頭はぐるりと回る。
「なあ、誰と話しとたん?」
「あの「別にどうやってええやろ。俺はこいつが喋っとたのは聞いたけど誰と話とたかは見てへん。只の寝言やったかもしれんやんか」」
「でもさっきは坊、そないな風には」
「志摩さん志摩さん」
言い争いになりそうな二人を見かねてか子猫丸は志摩の服をひく。志摩が「なんですの?」と聞けば子猫丸は
「そろそろ昼食の頃やから行きましょ」
と再度、志摩の服をひいた。
「子猫はん、今はその話やのうて」
「やけど今日は土曜で金造さんもおるし」
「そうやった!!!今日は金造のアホがおるんや。はよせんと奴にみな食われてまうわ!!」
こりゃあのんびりしとられへんと子猫丸の腕を掴んだ廉造は子猫丸を巻き込み昼食に走った。
廉造と子猫丸がいなくなり残ったのは竜士と碧だけ
「悪かったな」
「?」
「俺が志摩に昨日の事話したもんで奴に質問攻めにあったやろ?」
すまんかった!と頭を下げた竜士に碧は首を振り、彼の手を握った。
「大丈夫。私も急な事で驚いただけだから全然気にしてない」
「後な、」
そこまで言って竜士の言葉は詰まる。
言葉の変わりに彼の口から出てきたのはあーだのうーだの呻き声ばかりで碧は何事かと思う。
「この前は叩いて悪かった!!別に俺はお前の事が嫌いやから叩いたんと違うんや。あれは」
「あれも気にしてない。
寧ろありがとう。私、あれから皆とご飯が食べれて幸せなの。
だからありがとう」
「・・・・・・っ、」
その時、ぽろりと竜士の目から涙が零れた。
今まで溜めていた思いを伝えたせいか、それとも謝る事が出来た安心感からか零れる涙は溢れ止まらない。
「竜士君、一緒にご飯を食べに行こ?」
笑いかける碧に竜士も涙を溢しながらも笑顔で応えた。
「ああ」
眠ろうと何度か寝返りを打つ内に廉造も子猫丸も眠りにつきこの部屋で眠っていないのは自分だけ、
「ちゃう、もう一人おったわ」
竜士がそう呟いた時、部屋の襖が開いた。
自分達を起こさない為の配慮か妙に遅い足、丁寧に息までも殺して布団に入ったのは竜士と同じくまだ寝ていない子供だ。
ガタガタ ガタガタ
ガタガタ
台風の声が遠くに聴こえる。
そしてその声がより遠ざかると布団の布同士が擦れる音。
どうやら向こうも寝付けないのか寝返りの音に「眠れない」と呟く声まで聞こえた。
お互い眠れない者同士、竜士は彼女に親近感を感じる。
さっきまでの自分と同様に何度も寝返りをうっている彼女に益々親近感が湧き、この際彼女に声をかけてみようか何て思うのだが結局それは出来なかった。
彼女は竜士が話し掛けるよりも先に
「こんばんは」
と誰かに話し掛けだしたのだ。
「ぎゃーぎゃー」
「お前、何やっとんや」
休日だからと父親である八百造に寺の掃除を申し付けられた金造は渡された竹箒を使う訳でもなく、肩にかけ寺内をぶらぶらしていた。
そんな時に見付けた碧。
建物の裏の庭で一人立っておりぼんやりと何かを見つめているかと思ったら突然、奇声を上げ出したのだ。
「ぎゃーぎゃーって」
「やから何やっとんや」
「真似」
碧の返答に頭を傾げた金造。
「お前が何言いたいか全然分からんわ」
と返せば碧は無言で塀の外から内へと伸びる木の枝を指差す。
その枝の上には黒い鴉が一匹、碧と金造を見ていた。
「何や鴉の真似か。やけど鴉やったらぎゃーやのうて
"カーカー"やろ?」
金造はカーカーと鳴き声を上げてて手で羽ばたく真似をするのだが碧にはその鴉を真似た声がしっくり来ないらしい。
鴉の真似に反応もなく今度は碧が頭を傾げた。
「やっぱりぎゃー」
「いや、鴉の鳴き声言えばカーや」
「ぎゃー」
「カーや」
「ぎゃー」
「カーや!」
"ぎゃー""カー"のやり取りを無限ループかと思う程続けて
「もう鴉の鳴き声がカーでもぎゃーでも何でもええわ!」
金造はキレた。
「お前のせいで無駄に気力をつこてもうたしお前が俺の代わりにここの落ち葉を払っとけ!ええな!!」
突き出された竹箒を受け取り碧は頷く。
するとさっきまでキレていたのが嘘の様に金造の表情は優しくなって、彼は「後頼んだで」と何処かへ行ってしまった。
また一人になった碧は相変わらず此方を見ている鴉を見上げ一言。
「何処かに消えて」
そう言葉をかけた途端、鋭い声を上げた鴉はその黒い姿をピンクに変えて翼を広げた。
翼は何時の間にか羽毛でなく一枚布の様なものになっておりその鴉でなくなったピンクの何かはその大きな翼を広げ、空へ飛び立つ。
あれは何だったのか。
碧は呆然と空を眺めていれば後ろから声をかけられた。
振り向けば竜士、廉造、子猫丸のお馴染み仲良し三人組である。
「なあ、碧ちゃん。坊から聞いたんやけど昨日の夜、暗闇で誰と話とたん?」
「志摩、俺はさっきもいったけどあれは只の独り言や」
「で、でも坊、もしかしたら誰やおったのやもしれへんですよ」
昨日の夜、と聞かれて碧は一体何の事かと思っていたが三人の会話を聞いている内に昨日の夜の事を鮮明に思い出してきていた。
『もしかしたら同じ街に住んでたりして』
『きづかずにおなじこうえんであそんでるかもな』
『そうだったら素敵なのにね』
そんな会話を碧は"りん"と昨日の夜にしている。
廉造の聞いてきた「昨日の夜、誰と話とたん?」はつまりその"りん"との会話を聞かれていたとい事。
「あの、それは」
何と返答すれば良いのか。
流石に「遠くの離れた友達とお喋りしてました」何て答えが駄目なのは碧にも分かっていた。
しかし代わりの答えが出ない。
どうしようと思案する碧の頭はぐるりと回る。
「なあ、誰と話しとたん?」
「あの「別にどうやってええやろ。俺はこいつが喋っとたのは聞いたけど誰と話とたかは見てへん。只の寝言やったかもしれんやんか」」
「でもさっきは坊、そないな風には」
「志摩さん志摩さん」
言い争いになりそうな二人を見かねてか子猫丸は志摩の服をひく。志摩が「なんですの?」と聞けば子猫丸は
「そろそろ昼食の頃やから行きましょ」
と再度、志摩の服をひいた。
「子猫はん、今はその話やのうて」
「やけど今日は土曜で金造さんもおるし」
「そうやった!!!今日は金造のアホがおるんや。はよせんと奴にみな食われてまうわ!!」
こりゃあのんびりしとられへんと子猫丸の腕を掴んだ廉造は子猫丸を巻き込み昼食に走った。
廉造と子猫丸がいなくなり残ったのは竜士と碧だけ
「悪かったな」
「?」
「俺が志摩に昨日の事話したもんで奴に質問攻めにあったやろ?」
すまんかった!と頭を下げた竜士に碧は首を振り、彼の手を握った。
「大丈夫。私も急な事で驚いただけだから全然気にしてない」
「後な、」
そこまで言って竜士の言葉は詰まる。
言葉の変わりに彼の口から出てきたのはあーだのうーだの呻き声ばかりで碧は何事かと思う。
「この前は叩いて悪かった!!別に俺はお前の事が嫌いやから叩いたんと違うんや。あれは」
「あれも気にしてない。
寧ろありがとう。私、あれから皆とご飯が食べれて幸せなの。
だからありがとう」
「・・・・・・っ、」
その時、ぽろりと竜士の目から涙が零れた。
今まで溜めていた思いを伝えたせいか、それとも謝る事が出来た安心感からか零れる涙は溢れ止まらない。
「竜士君、一緒にご飯を食べに行こ?」
笑いかける碧に竜士も涙を溢しながらも笑顔で応えた。
「ああ」