碧碧
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ぽつぽつと雨が降る。
それを見て誰かが呟く
「何時になったらこの雨は止むんや」と、
「今、太平洋沖におる台風が過ぎたら晴れるゆうとたで」
誰がとはテレビの中のお天気お姉さんである。
「あーはよう晴れやへんやろか」
「晴れたらまた遊びほうけるんやろ」
やたら雨の方がええわ、と八百造は箸で捕えた漬物を口に放り込む。
金造はやはり雨は嫌やと机で項垂れていた。
それを柔造は笑い、眠そうな目でお粥を食べていた碧に話を振る。
「碧ちゃんはどうや?
雨、嫌いか」
ぼんやりとした目が柔造に向けられ、そのまま開けられた障子、縁側、窓から見える蕩けそうな外の景色に向かう。
「好きです。
雨も、薄暗いのも、湿気も」
ふにゃりと笑いお粥をまた食べ出す。
雨が嫌いだと言った金造は変な奴、と呟くのだが碧は笑っていた。
時計の針が9を示す頃には寺の子供達は学校へと行っており殆どがいなくなる。
寺に残ったのは竜士と、彼と同い年の廉造、子猫丸。
だが仲良しの三人は既に寺の何処かに行っていていない。
部屋には碧だけ
「何か気になる事あったら気にせず言うんやで」
ではなく八百造もいた。
「はい」
何やら書類を書いている八百造の側で碧は本を読む。
雨の音
硯で墨を擦る音
雨が屋根に落ちる音
ページが捲られる音
本を読んでいた碧は突然、身を襲う睡魔に抵抗出来ず頭をガクリと落とす。
だが、落とすと目が覚めて本と向き合うのだ。
そしてまたガクリ。
本と向き合っては首を落とし、また本と向き合う。
それを何度も繰り返していた碧に八百造が「寝たらええ」と甘い誘いを持ちかける。
「寝ません。今日はこの本の第九節迄読みたいんです」
「やけど、そう何度も首をかくかくさせとたら痛くなるんちゃう?」
八百造の言う通りだった。
何度も上げ下げしていた碧の首は既に少しながら痛い。
碧は首にそっと手を伸ばせば「痛なってきたんやろ」と八百造は笑い、彼は何故か自分の腿を叩く。
「?」
八百造の行動が分からず頭を傾げる碧。
それを様子に八百造は碧に側へ来るよう呼んだ。
「碧には特別。この八百造の腿を貸したるで」
さあ、ドンと来いとウェルカムな八百造に碧は手を出し首を横へ振って丁重に断った。
「結構です」
幼い子供がその言葉を知っているだけでも驚きだがそれよりもその確りとした物言いが八百造の胸を抉る。
表情を落とし、俯く八百造に碧は慌てた。
「あ、あの、腿じゃ邪魔になるかもしれませんので背中を貸してもらえませんか?」
碧の申し出に俯いていた八百造は微笑む。
「ええで!」
どうしてこうなったのか。
今更考えても仕方がないので碧は八百造の背中に凭れた。
何処かの部屋の時計が時間を報せる。
八百造は今が何時か部屋の時計を見れば11時。
「もうこないな時間か」
昼食の準備をしようと立ち上がりかけるのだが碧に背中を貸していた事を思い出しそっと碧の様子を見る。
少し前から本を捲る音は聴こえてこなくなっていた。
とうとう睡魔に負けてしまったのか?振り向けば自分の背中に凭れすやすやと眠る碧の姿。
「やはりな」
眠る碧の頭を撫でれば小さく体が動く。
「ちょっと堪忍な」
このまま寝顔を眺めていたいとも思ったが八百造には昼食の準備があった。
眠る碧の頭を起こさないよ支えながら自分は移動し、碧の頭には座布団を入れた。
そしてそのまま静かに部屋を出る。
襖が閉まると同時に碧はうっすら目を開ける。
「八百造さんいない、気配も・・・ない」
動く気配に思わず起きた碧であったが、未だ睡魔には勝てそうになく夢と現の間をゆらゆらと浮いていた。
本当なら静かな部屋に雨の音が聞こえる。
「雨、好き
一人でも
寂しく
ない、
から・・・」
呟きはそこで途切れ、碧の意識はゆらりと夢の中へ落ちていった。
それを見て誰かが呟く
「何時になったらこの雨は止むんや」と、
「今、太平洋沖におる台風が過ぎたら晴れるゆうとたで」
誰がとはテレビの中のお天気お姉さんである。
「あーはよう晴れやへんやろか」
「晴れたらまた遊びほうけるんやろ」
やたら雨の方がええわ、と八百造は箸で捕えた漬物を口に放り込む。
金造はやはり雨は嫌やと机で項垂れていた。
それを柔造は笑い、眠そうな目でお粥を食べていた碧に話を振る。
「碧ちゃんはどうや?
雨、嫌いか」
ぼんやりとした目が柔造に向けられ、そのまま開けられた障子、縁側、窓から見える蕩けそうな外の景色に向かう。
「好きです。
雨も、薄暗いのも、湿気も」
ふにゃりと笑いお粥をまた食べ出す。
雨が嫌いだと言った金造は変な奴、と呟くのだが碧は笑っていた。
時計の針が9を示す頃には寺の子供達は学校へと行っており殆どがいなくなる。
寺に残ったのは竜士と、彼と同い年の廉造、子猫丸。
だが仲良しの三人は既に寺の何処かに行っていていない。
部屋には碧だけ
「何か気になる事あったら気にせず言うんやで」
ではなく八百造もいた。
「はい」
何やら書類を書いている八百造の側で碧は本を読む。
雨の音
硯で墨を擦る音
雨が屋根に落ちる音
ページが捲られる音
本を読んでいた碧は突然、身を襲う睡魔に抵抗出来ず頭をガクリと落とす。
だが、落とすと目が覚めて本と向き合うのだ。
そしてまたガクリ。
本と向き合っては首を落とし、また本と向き合う。
それを何度も繰り返していた碧に八百造が「寝たらええ」と甘い誘いを持ちかける。
「寝ません。今日はこの本の第九節迄読みたいんです」
「やけど、そう何度も首をかくかくさせとたら痛くなるんちゃう?」
八百造の言う通りだった。
何度も上げ下げしていた碧の首は既に少しながら痛い。
碧は首にそっと手を伸ばせば「痛なってきたんやろ」と八百造は笑い、彼は何故か自分の腿を叩く。
「?」
八百造の行動が分からず頭を傾げる碧。
それを様子に八百造は碧に側へ来るよう呼んだ。
「碧には特別。この八百造の腿を貸したるで」
さあ、ドンと来いとウェルカムな八百造に碧は手を出し首を横へ振って丁重に断った。
「結構です」
幼い子供がその言葉を知っているだけでも驚きだがそれよりもその確りとした物言いが八百造の胸を抉る。
表情を落とし、俯く八百造に碧は慌てた。
「あ、あの、腿じゃ邪魔になるかもしれませんので背中を貸してもらえませんか?」
碧の申し出に俯いていた八百造は微笑む。
「ええで!」
どうしてこうなったのか。
今更考えても仕方がないので碧は八百造の背中に凭れた。
何処かの部屋の時計が時間を報せる。
八百造は今が何時か部屋の時計を見れば11時。
「もうこないな時間か」
昼食の準備をしようと立ち上がりかけるのだが碧に背中を貸していた事を思い出しそっと碧の様子を見る。
少し前から本を捲る音は聴こえてこなくなっていた。
とうとう睡魔に負けてしまったのか?振り向けば自分の背中に凭れすやすやと眠る碧の姿。
「やはりな」
眠る碧の頭を撫でれば小さく体が動く。
「ちょっと堪忍な」
このまま寝顔を眺めていたいとも思ったが八百造には昼食の準備があった。
眠る碧の頭を起こさないよ支えながら自分は移動し、碧の頭には座布団を入れた。
そしてそのまま静かに部屋を出る。
襖が閉まると同時に碧はうっすら目を開ける。
「八百造さんいない、気配も・・・ない」
動く気配に思わず起きた碧であったが、未だ睡魔には勝てそうになく夢と現の間をゆらゆらと浮いていた。
本当なら静かな部屋に雨の音が聞こえる。
「雨、好き
一人でも
寂しく
ない、
から・・・」
呟きはそこで途切れ、碧の意識はゆらりと夢の中へ落ちていった。