碧碧
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「大丈夫や。
もし子供が武器になったとしてもそれは子供の為に仕方なくした事なんやて、私は信じとる」
「達磨、」
「藤本君は良い父親やで」
ここではない何処か違う部屋から振り子時計が時間を知らせる音が聴こえた。
釣られて藤本も腕の時計に視線を落とせば針は午後三時を示す。
「・・・雑談はここまでにして本題に入るか」
藤本の切り出しに達磨は応じ、先程から彼の後ろにあり気になっていた旅行鞄が藤本の前に出された。
ファスナーを掴み、開けば予想はしていた品々。
「よくもまあ、こんなにも盗めたよな」
出てきたのは騎士團が厳重に保管している筈の聖遺物の数々。
思いきりよく鞄を逆さに向ければ鞄に入っていたものが勢いよく落ちてくる。
「そんな乱雑に扱って」
「いいんだよ。
こいつのお陰で休みが返上、息子に文句言われた」
藤本は懐から紙を取りだし聖遺物と見比べた。
「聖杯、グリモア、聖杭もあるな」
「やっぱりそれらは高いんか?」
「まあな、と言っても歴史的価値位だ。
マニアに売ったら高く買ってくれるかもしらねぇけど美術的価値はまったくない」
そう言って畳に散らばる杭を一本、手に取り達磨の前にだす。
「こんな薄汚れた杭、何億も出して欲しいか?」
藤本に尋ねられ、達磨は即答で首を横へ振る。
「だろ?
よし、全部あるな」
聖遺物と紙を何度も見比べ、確認すると再度出した品々を鞄に詰め直す。
「いやー、本当に助かった。盗まれた遺物を達磨んとこが見付けてくれて」
「私らはたまたま拾っただけや。丁度、新聞に今回の事が載っとたからまさか思て藤本君に連絡したんや」
「そうか、
なぁ達磨。
この鞄の他に何か落ちて無かったか?」
「・・・いや、その鞄だけや」
藤本の問いに間はあったが達磨は笑顔で答える。
これ以上、追及しようのない答えに頭を掻いた藤本は立ち上がり、鞄を肩にかけた。
「なんや、もう帰るんか」
「ああ、早くこれを届けねぇと
上司が五月蝿い奴なんだ」
「それは残念やわ。じゃあ、今度は仕事やのうてプライベートで来てな」
帰る藤本を見送ろうと達磨も立ち上がり二人は部屋を出る。
廊下を歩く二人にバダバタと聞き慣れた子供の足音が近付く。
「オッサン、土産美味かったで」
それは金造だった。
お菓子の食べかすを付けた笑顔で礼を言う金造に藤本は腰を落とし頭を撫でる。
「どういたしましてだ。
オッサンな、坊主より少し小さい子供が二人いるんだよ」
頷き自分の話を聞く金造に藤本は話を続ける。
「今度ここに来るときはその二人も一緒に連れてくるつもりなんだが、その時は二人と遊んでやってくれないか?」
藤本のお願いに金造は笑みを浮かべた。
そして「ええで!」と一言。
「でもそんときはまたお菓子持ってきてな」
「意外にしっかりしてんな」
背後から苦笑いでもしているのだろう、そんな達磨の笑い声が聴こえる。
「じゃあ、約束だ」