碧碧
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雨がしとしと落ちる。
視界が霞み
輪郭がぼやける景色
森の中でなくても見通しが悪いこんな日に、山の置くに建てられた寺には珍しく来客があった。
「こんな山奥にわざわざ来てもらって申し訳ないなぁ」
小さく開けられた襖からは笑顔で話す寺の和尚の顔が見える。
だが、覗く彼等が見たいのは和尚ではない。
「あーおしいな
もうちょい右や!」
「誰や!今私の足を踏んだんわ」
「そんなに足が大切やったら足でも抱えて隅にでもおれや」
「猿の分際で姉さまに口きかんといて」
「そうや!猿こそそこどき」
小さな襖の隙間を取り合う志摩の次男・四男、宝生三姉妹。
あーだこーだと客人に丸聴こえなやり取りをする五人を背後で睨む影。
「やめぇ!!」
声と同時に鈍い音が二つ。
「っ~!お父!!」
拳骨を受けた頭を押さえ、柔造・金造が顔を上げれば客人に出すであろうお茶を盆に載せた八百造が立っている。
「客人がおる側でお前らは何やっとんや!」
「・・・すんません」
謝る柔造と謝らさせられる金造、彼等二人を救うかの様に優しい和尚の声が襖の向こうから聴こえる。
「八百造の声が一番大きいわ」
確かに、と笑う声は男のものだった。
あれ?となる子供達一同を代表して柔造が父親に尋ねた。
「なあ、お父。
今来とる和尚の来客って・・・」
「正十字騎士團の藤本さんや。
折角やから挨拶しい」
そう言って開けられた襖。
和尚の前に座っていたのは彼等が待っていた者ではない、灰色の髪に眼鏡をかけた男。
「おーいっぱいガキがいるじゃねぇか。
コイツら全員、達磨のガキか?」
「いや、男の方は八百造の
女の方は蠎の子や」
達磨の説明に藤本は「へぇ」と眺め、金造を手招きした。
何故自分と思っていれば後ろからはよ行けと言わんばかりに柔造が押すので金造は渋々藤本の前に立つ。
「ほら、これやるよ
全員で食えよ」
見れば【正十字学園町名物】と書かれた人形焼。
「・・・おぉっ!!
サンキューオッサン!」
「よっしゃあ!」と駆け出し飛び出した金造に八百造は叱るのだが耳に届かず。
金造の跡を柔造は追いかけ三姉妹は藤本に礼をすると部屋を飛び出した。
「やっぱ子供はあれぐらい元気じゃねぇとな」
そう言いつつ煙草を加えた藤本に達磨は笑顔で煙草の先を潰し曲げる。
「むおっ・・・ちょっ!!
またかよ」
「元気な子供がここには沢山おるからな。煙草は控えてもらうで」
笑顔のまま諭され藤本は煙草をしまう。
「何か達磨、お前変わったな」
八百造が出してくれたお茶を飲めば家で飲むものより美味しく感じる。
京都だからか?なんて考えていれば達磨は「変わったのは私じゃなくて藤本君とちゃいます」と返された。
「俺が変わった?なわけねぇだろ」
「そんな事ないで、前に会った時より表情が優しくなっとるし
何より良い父親の顔をしとる」
「良い父親なぁ・・・子供を武器にしようとしているのが良い父親って言えるのか?」
「君は、前に会った時に子供を"殺す"と言っとたが殺さんかった」
「・・・それは、子供を武器にするためだ」
部屋が静かだと藤本は思う。
先程の様に賑やかな子供の声は聞こえないし、八百造は気を利かしてなのか藤本にお茶を出すと早々に部屋から出て行ってしまった。
二人の喋る声以外、聴こえるのはたまに届く雨の音だけ
視界が霞み
輪郭がぼやける景色
森の中でなくても見通しが悪いこんな日に、山の置くに建てられた寺には珍しく来客があった。
「こんな山奥にわざわざ来てもらって申し訳ないなぁ」
小さく開けられた襖からは笑顔で話す寺の和尚の顔が見える。
だが、覗く彼等が見たいのは和尚ではない。
「あーおしいな
もうちょい右や!」
「誰や!今私の足を踏んだんわ」
「そんなに足が大切やったら足でも抱えて隅にでもおれや」
「猿の分際で姉さまに口きかんといて」
「そうや!猿こそそこどき」
小さな襖の隙間を取り合う志摩の次男・四男、宝生三姉妹。
あーだこーだと客人に丸聴こえなやり取りをする五人を背後で睨む影。
「やめぇ!!」
声と同時に鈍い音が二つ。
「っ~!お父!!」
拳骨を受けた頭を押さえ、柔造・金造が顔を上げれば客人に出すであろうお茶を盆に載せた八百造が立っている。
「客人がおる側でお前らは何やっとんや!」
「・・・すんません」
謝る柔造と謝らさせられる金造、彼等二人を救うかの様に優しい和尚の声が襖の向こうから聴こえる。
「八百造の声が一番大きいわ」
確かに、と笑う声は男のものだった。
あれ?となる子供達一同を代表して柔造が父親に尋ねた。
「なあ、お父。
今来とる和尚の来客って・・・」
「正十字騎士團の藤本さんや。
折角やから挨拶しい」
そう言って開けられた襖。
和尚の前に座っていたのは彼等が待っていた者ではない、灰色の髪に眼鏡をかけた男。
「おーいっぱいガキがいるじゃねぇか。
コイツら全員、達磨のガキか?」
「いや、男の方は八百造の
女の方は蠎の子や」
達磨の説明に藤本は「へぇ」と眺め、金造を手招きした。
何故自分と思っていれば後ろからはよ行けと言わんばかりに柔造が押すので金造は渋々藤本の前に立つ。
「ほら、これやるよ
全員で食えよ」
見れば【正十字学園町名物】と書かれた人形焼。
「・・・おぉっ!!
サンキューオッサン!」
「よっしゃあ!」と駆け出し飛び出した金造に八百造は叱るのだが耳に届かず。
金造の跡を柔造は追いかけ三姉妹は藤本に礼をすると部屋を飛び出した。
「やっぱ子供はあれぐらい元気じゃねぇとな」
そう言いつつ煙草を加えた藤本に達磨は笑顔で煙草の先を潰し曲げる。
「むおっ・・・ちょっ!!
またかよ」
「元気な子供がここには沢山おるからな。煙草は控えてもらうで」
笑顔のまま諭され藤本は煙草をしまう。
「何か達磨、お前変わったな」
八百造が出してくれたお茶を飲めば家で飲むものより美味しく感じる。
京都だからか?なんて考えていれば達磨は「変わったのは私じゃなくて藤本君とちゃいます」と返された。
「俺が変わった?なわけねぇだろ」
「そんな事ないで、前に会った時より表情が優しくなっとるし
何より良い父親の顔をしとる」
「良い父親なぁ・・・子供を武器にしようとしているのが良い父親って言えるのか?」
「君は、前に会った時に子供を"殺す"と言っとたが殺さんかった」
「・・・それは、子供を武器にするためだ」
部屋が静かだと藤本は思う。
先程の様に賑やかな子供の声は聞こえないし、八百造は気を利かしてなのか藤本にお茶を出すと早々に部屋から出て行ってしまった。
二人の喋る声以外、聴こえるのはたまに届く雨の音だけ