これが逆トリップと言うヤツか!
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部屋いっぱいに鳴り響く音に紫は瞳を開く。
未だ開ききっていない瞳を擦りながら音の主を探す。
それはすぐに見付かって掴むと音を止めた。
「目覚ましか」
目覚ましを元の位置に戻して枕元の携帯を手に取った。
「土曜日、八時・・・」
何時もならまだまだ寝ている時間。
の筈なのに起きているというのはきっとさっきまで見ていた夢のせいだ。
普段なら目覚ましがなろうと地震が来ようと誰かが起こしに来ても眠っている私が休日の、しかも朝の八時に起きているなんて自分でも信じられなかった。
もう一度寝ようかなんて思ったが眠気は既にぶっ飛んでいて二度寝は諦める。
のろのろとベッドから下りた。
ベッドから下ろした足が掛け布団を引っ掻けて床に落ちる。
ゴンッと
鈍い音が聴こえた。
その音に驚いて音のした掛け布団を見つめる。
「・・・何の音?」
屈んで、布団を捲って、元に戻す。
まさか、違う、気のせいだと自分に言い聞かせた紫は再度布団を捲った。
「はは、
気のせいじゃない」
布団の中には夢で見た金色の子供が眠っていた。
そりゃあ、もうぐっすりすやすやと
誰、
どうして、
何で
紫の中で子供に対する疑問が駆け巡る。
取敢えず子供を起こそう、で色々聞こう。
そう思って動いた右手を左手が止めた。
ぱっと見て年齢は四~五才。
見てられない、という程では無いが痩せていて服の袖や裾から見える青あざ、打撲痕、
それにうっすら見える目の下の隈。
小さいのに隈をこさえて、この子は一体どんな生活を送っていたのか。
一見しただけで安易に想像出来て溜め息をつく。
面倒くさい事になった。
紫はそう思い頭をかく。
隈の濃さを見てずっと寝ていないというわけではないだろうがぐっすり眠る子供を無理に起こすのは偲びなくて自然に起きるのを待つ事にした。
「そういえば昨日はお風呂に入らず寝たんだっけ・・・」
思い出した途端気持ち悪くなる体に紫はバスタオルと下着を掴んでお風呂に向かった。
せっかくの土曜日、しかも朝!シャワーだけじゃ勿体無いと紫は浴槽に栓をしてバルブを捻る。
勢いよく出たお湯の音が風呂場、脱衣場、廊下、子供が眠るダイニング兼寝室に迄響いた。
その音に子供は体を起こす。
目を擦り、欠伸をして青を隠していた双眸を開く。
右を見て、左を見て、知らない風景で子供は顔を強張らせた。
頭に浮かぶのは悪い想像で、考えた途端に膝が笑う。
窓を見付けて飛び付くのだが鍵がかかっていて開かない。
玄関は、と振り替えれば玄関の方には人の気配がある。
ひゅと、子供の口から息が漏れた。
恐い、と体を小さくしてベッドの隅に身を寄せる。
「嫌、だ。止めて
お願い
お願い・・・」