幻影少女
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「何時まで私を監視しているんですか?!話があるなら出てきなさいよ」
口を塞いでいた布を床に叩き付けて声を上げる。
だが返事はなく聞こえるのは誰かがいることを肯定させるざわめきだけ。
ヨミは苛ついた。
姿の見えない彼等に、
この暗い部屋に連れて来られた事に、
ナルトと引き離された事に
荒れる心を抑えてヨミは何度か深呼吸を繰り返し、何とか落ち着こうとする。
「・・・分かりました。そちらに話が無いのなら私はナルトを連れて帰ります」
踵を返し、ここへと入った扉を目指し歩けば肩を掴まれる。
「戻って椅子に座れ」
ヨミは面を付けた男の命令に微笑む。
「・・・れに、」
「?」
「誰に命令してるのかな?」
肩を掴む手を握り、男の体を背負い投げる。
床に打ち付けられた男は立ち上がろうとするのだが、ヨミの見下す視線に動けなくなった。
「そのまま大人しく"伏せ"ていてね」
ヨミの命令を聴いた途端に男の体には鉛でも背負っているかの様な重さがのし掛かる。
何とか立ち上がろうとするのだが体が上がらない。
「無理にたちあがろうとするなら潰すわよ?」
笑顔の脅迫だった。
年端のいかぬ子供の脅迫にただならぬ物を感じて男は抵抗を止める。
「お兄さんはお利口さんね
・・・で、次は?」
背後から感じる気配にヨミは声をかけた。
闇から現れる様々な動物の面にヨミは舌で唇を舐める。
「丁度良かった」
繰り出される暗部の攻撃に対応しながらヨミは独り言の様に喋っていた。
「二週間も体を動かしてなかったから鈍って鈍って仕方がなかったの」
次々に現れる暗部を地面へと抑えつけていく。
「良い準備運動になる」
部屋の真ん中に人の山が出来た。
その天辺に座ったヨミは遠くなった床を眺めながら足をぶらぶらさせている。
「暗部の三分の一は使ったんじゃない?次はまだあるの?」
そこでやっと返事が返ってきた。
「いや暗部の半分を使った」
暗闇から杖をつく音が聞こえる。
「凄いものだなその声は」
「・・・私自身の能力も少しは評価してくれないかな?
ダンゾウ」
部屋に入って初めて光が射す。
照明が眩しいと感じながら辺りを見渡せば酷いものだった。
床に突っ伏す羽目となった暗部達にヨミはほんの少し同情の念を感じる。
杖をつき近付いてきたダンゾウはその杖で床の部下を退けながらヨミのいる山の麓まできた。
「あの若造は子供の躾をしていなかったようだな」
「人を無理矢理連れてきて、そんな奴に敬語を使っても仕方がないでしょ?」
「生意気な小娘だ
だがその力は"根"でも一二を争う事になるやもしれんな」
「誰が"根"になるもんですか。
頼まれたってならないわよ」
ふんっ、とそっぽ向くヨミ。
ダンゾウは頭を傾げ、笑う。
「何を言っておる。わしはお前を"根"に誘おう等と思っとらん。お主が自分から入るのだ」
「耄碌になるには少し早くないですか?」
何を言っているんだこのじじいはという視線を送るヨミに心配した声で
「お主、少しは頭を使っておるか?」
と訊ねてくる。
「頭位使ってるわよ」
失礼ね、なんてヨミはそっぽを向けば部屋の外から聞き覚えのある泣き声。
「ならば、今自分達が置かれた状況位分かるだろう?」
「ナルト!」
ヨミは勢いよく部屋から飛び出した。
部屋に配備されていた者の殆どが床に押さえつけられている為に誰もヨミを止めようとはしない。
誰もいない廊下を駆けてヨミはナルトの泣き声がする部屋へと飛び込んだ。
勢いよく部屋へ入れば今にもナルトにクナイを振り下ろしそうな男がいる。
「"ナルトから離れて!!"」
ヨミの命令に男の体が壁へと飛んだ。
壁に縫い付けられたかのように動けない男はぶつぶつと何か呟きながらクナイを振り回している。
その見知らぬ男に軽い狂気を感じてヨミは慌てて泣き声をあげるナルトを抱き上げた。
ぷくっくりとした桃色の頬に走る赤い筋。
「あんた、ナルトを切ったの・・・?」
ヨミの言葉に俯いていた男が顔を上げて
笑った。
「ああ、切ったさ!親父を母さんを、妻に産まれたばかりだった俺の子供を奪ったその化け狐をなぁ!!」
狂った様に笑いだした男にヨミは唇を噛んだ。
「お前なんて・・・
お前なんか、
"潰れてしまえ!!!"」
ヨミが叫んだ瞬間にぐちゃりと男は潰れた。
頭部だけが潰れて残った体はだらしなく床に垂れている。
思わず叫んだヨミはまだナルトが泣いているのに気付き抱き締めた。
「どうしてナルトがこんな目に・・・」
「それが人柱力の宿命だ」
ダンゾウが共を連れて部屋へと入ってくる。
連れの者は頭の潰れた男を眺めながら無線を使って何か話していたが、ダンゾウは死んだ男には目もくれず。
「これで少しは分かっただろう。自分達の置かれた状況が
木ノ葉に住む多くの者達は九尾を憎んでおる」
「・・・」
「ヒルゼンは九尾が暴れたことで孤児となった子供を守る策を考えているようだがはたしてその人柱力には何か与えられるのか
答えは否だ。
ヒルゼンはお前達姉弟を心配しとる様だが木ノ葉の上層部にも九尾により家族を失った者はおる」
「別に木ノ葉に守ってもらおうなんて思っていないわ。私がナルトを育てる」
「まだまだ考えが浅いな」
ダンゾウは体の支えにしていた杖をヨミへと向ける。
「お前の様な子供が働いても稼ぎなど雀の涙程だ。
まだ下忍にもなっていないお前に何が出来る」
「・・・やってみないと分からない」
「そんな賭け事の様な状態で赤ん坊を育てるのか?」
ヨミは何も言えなかった。
ダンゾウの言葉に反論出来ない事が悔しいのか、それとも自分の無力さにか、それはヨミには分からない。
だが、ヨミは兎に角悔しかった。
ヨミには癪だったが、ダンゾウの言っている事は正しい。
いくら誰の手も借りないと言っても所詮はまだ十といかない子供で、下忍にすらなれていない自分にはナルトの面倒だけででなく、自分の生活すらも危うかった。
しかも何とか下忍になれたとしてもその間にナルトの面倒を見てくれる人がいない。
考えれば考える程、見えてくる壁にヨミは頭を悩ませる。
苦悩ともいえるヨミの表情を見てダンゾウは笑う。
ヨミは先程から不思議に思っていた。
ダンゾウのする余裕に満ちた表情は一体、何なのか?君の悪い笑みにヨミはふと先程言っていたダンゾウの言葉を思い出す。
"お主が自分から入るのだ"
言葉を思い出して今も根に入るなどありえないとヨミは思うのだが現実という壁にぶつかった今、なら条件によっては入っても良いかも何て思う自分がいる。
「やっと本当の意味でわしの言葉を理解したようだな」
「・・・こういう事だったのね。
汚ない大人」
「何とでも言うが良いお前達はその汚ない大人の助けがないと生きていけないのだ」
確かにダンゾウの言う通りだ。
私達はまた幼くて、大人の手を借りないと生きていけない。
自分だけが苦しい思いをするだけでこの子を守る事が出来るのなら、私は・・・
「良いよ。根でも幹でも何でも入ってあげる
その代わり、」
「赤ん坊の生活の保証してやろう」
幻影少女
(その日、一人の少女は消えた)
口を塞いでいた布を床に叩き付けて声を上げる。
だが返事はなく聞こえるのは誰かがいることを肯定させるざわめきだけ。
ヨミは苛ついた。
姿の見えない彼等に、
この暗い部屋に連れて来られた事に、
ナルトと引き離された事に
荒れる心を抑えてヨミは何度か深呼吸を繰り返し、何とか落ち着こうとする。
「・・・分かりました。そちらに話が無いのなら私はナルトを連れて帰ります」
踵を返し、ここへと入った扉を目指し歩けば肩を掴まれる。
「戻って椅子に座れ」
ヨミは面を付けた男の命令に微笑む。
「・・・れに、」
「?」
「誰に命令してるのかな?」
肩を掴む手を握り、男の体を背負い投げる。
床に打ち付けられた男は立ち上がろうとするのだが、ヨミの見下す視線に動けなくなった。
「そのまま大人しく"伏せ"ていてね」
ヨミの命令を聴いた途端に男の体には鉛でも背負っているかの様な重さがのし掛かる。
何とか立ち上がろうとするのだが体が上がらない。
「無理にたちあがろうとするなら潰すわよ?」
笑顔の脅迫だった。
年端のいかぬ子供の脅迫にただならぬ物を感じて男は抵抗を止める。
「お兄さんはお利口さんね
・・・で、次は?」
背後から感じる気配にヨミは声をかけた。
闇から現れる様々な動物の面にヨミは舌で唇を舐める。
「丁度良かった」
繰り出される暗部の攻撃に対応しながらヨミは独り言の様に喋っていた。
「二週間も体を動かしてなかったから鈍って鈍って仕方がなかったの」
次々に現れる暗部を地面へと抑えつけていく。
「良い準備運動になる」
部屋の真ん中に人の山が出来た。
その天辺に座ったヨミは遠くなった床を眺めながら足をぶらぶらさせている。
「暗部の三分の一は使ったんじゃない?次はまだあるの?」
そこでやっと返事が返ってきた。
「いや暗部の半分を使った」
暗闇から杖をつく音が聞こえる。
「凄いものだなその声は」
「・・・私自身の能力も少しは評価してくれないかな?
ダンゾウ」
部屋に入って初めて光が射す。
照明が眩しいと感じながら辺りを見渡せば酷いものだった。
床に突っ伏す羽目となった暗部達にヨミはほんの少し同情の念を感じる。
杖をつき近付いてきたダンゾウはその杖で床の部下を退けながらヨミのいる山の麓まできた。
「あの若造は子供の躾をしていなかったようだな」
「人を無理矢理連れてきて、そんな奴に敬語を使っても仕方がないでしょ?」
「生意気な小娘だ
だがその力は"根"でも一二を争う事になるやもしれんな」
「誰が"根"になるもんですか。
頼まれたってならないわよ」
ふんっ、とそっぽ向くヨミ。
ダンゾウは頭を傾げ、笑う。
「何を言っておる。わしはお前を"根"に誘おう等と思っとらん。お主が自分から入るのだ」
「耄碌になるには少し早くないですか?」
何を言っているんだこのじじいはという視線を送るヨミに心配した声で
「お主、少しは頭を使っておるか?」
と訊ねてくる。
「頭位使ってるわよ」
失礼ね、なんてヨミはそっぽを向けば部屋の外から聞き覚えのある泣き声。
「ならば、今自分達が置かれた状況位分かるだろう?」
「ナルト!」
ヨミは勢いよく部屋から飛び出した。
部屋に配備されていた者の殆どが床に押さえつけられている為に誰もヨミを止めようとはしない。
誰もいない廊下を駆けてヨミはナルトの泣き声がする部屋へと飛び込んだ。
勢いよく部屋へ入れば今にもナルトにクナイを振り下ろしそうな男がいる。
「"ナルトから離れて!!"」
ヨミの命令に男の体が壁へと飛んだ。
壁に縫い付けられたかのように動けない男はぶつぶつと何か呟きながらクナイを振り回している。
その見知らぬ男に軽い狂気を感じてヨミは慌てて泣き声をあげるナルトを抱き上げた。
ぷくっくりとした桃色の頬に走る赤い筋。
「あんた、ナルトを切ったの・・・?」
ヨミの言葉に俯いていた男が顔を上げて
笑った。
「ああ、切ったさ!親父を母さんを、妻に産まれたばかりだった俺の子供を奪ったその化け狐をなぁ!!」
狂った様に笑いだした男にヨミは唇を噛んだ。
「お前なんて・・・
お前なんか、
"潰れてしまえ!!!"」
ヨミが叫んだ瞬間にぐちゃりと男は潰れた。
頭部だけが潰れて残った体はだらしなく床に垂れている。
思わず叫んだヨミはまだナルトが泣いているのに気付き抱き締めた。
「どうしてナルトがこんな目に・・・」
「それが人柱力の宿命だ」
ダンゾウが共を連れて部屋へと入ってくる。
連れの者は頭の潰れた男を眺めながら無線を使って何か話していたが、ダンゾウは死んだ男には目もくれず。
「これで少しは分かっただろう。自分達の置かれた状況が
木ノ葉に住む多くの者達は九尾を憎んでおる」
「・・・」
「ヒルゼンは九尾が暴れたことで孤児となった子供を守る策を考えているようだがはたしてその人柱力には何か与えられるのか
答えは否だ。
ヒルゼンはお前達姉弟を心配しとる様だが木ノ葉の上層部にも九尾により家族を失った者はおる」
「別に木ノ葉に守ってもらおうなんて思っていないわ。私がナルトを育てる」
「まだまだ考えが浅いな」
ダンゾウは体の支えにしていた杖をヨミへと向ける。
「お前の様な子供が働いても稼ぎなど雀の涙程だ。
まだ下忍にもなっていないお前に何が出来る」
「・・・やってみないと分からない」
「そんな賭け事の様な状態で赤ん坊を育てるのか?」
ヨミは何も言えなかった。
ダンゾウの言葉に反論出来ない事が悔しいのか、それとも自分の無力さにか、それはヨミには分からない。
だが、ヨミは兎に角悔しかった。
ヨミには癪だったが、ダンゾウの言っている事は正しい。
いくら誰の手も借りないと言っても所詮はまだ十といかない子供で、下忍にすらなれていない自分にはナルトの面倒だけででなく、自分の生活すらも危うかった。
しかも何とか下忍になれたとしてもその間にナルトの面倒を見てくれる人がいない。
考えれば考える程、見えてくる壁にヨミは頭を悩ませる。
苦悩ともいえるヨミの表情を見てダンゾウは笑う。
ヨミは先程から不思議に思っていた。
ダンゾウのする余裕に満ちた表情は一体、何なのか?君の悪い笑みにヨミはふと先程言っていたダンゾウの言葉を思い出す。
"お主が自分から入るのだ"
言葉を思い出して今も根に入るなどありえないとヨミは思うのだが現実という壁にぶつかった今、なら条件によっては入っても良いかも何て思う自分がいる。
「やっと本当の意味でわしの言葉を理解したようだな」
「・・・こういう事だったのね。
汚ない大人」
「何とでも言うが良いお前達はその汚ない大人の助けがないと生きていけないのだ」
確かにダンゾウの言う通りだ。
私達はまた幼くて、大人の手を借りないと生きていけない。
自分だけが苦しい思いをするだけでこの子を守る事が出来るのなら、私は・・・
「良いよ。根でも幹でも何でも入ってあげる
その代わり、」
「赤ん坊の生活の保証してやろう」
幻影少女
(その日、一人の少女は消えた)