幻影少女
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ヨミは目を開き、辺りを見渡す。
外が明るい、九尾の事は全て夢だったのか
そう思えてしまう程、開け放たれた縁側から見える景色は穏やかだった。
だが、この景色も今いる部屋も見たことないしさりげなく広い。
見たことない部屋にいるという事は、この世界が夢なのか
それを確かめようと、ヨミは自分の頬をつぬっていれば部屋の襖が開け放たれる。
「・・・何をしているんだヨミ」
前に後ろと、何かを抱えたイタチが訝しげにヨミを見ていた。
「ゆへだとおもっふぇ(ゆめだとおもって)」
「取敢えずその顔を戻せ」
「うん」
つねっていた頬から手を離し、ヨミは体を伸ばす。
「ねえ、イタチ。私ってば何日寝てた?」
「一週間と三日だ。四代目とクシナさんの葬儀はもう終わった」
「・・・そっか」
その先、ヨミは何も言わなかった。
泣きもしないし嘆きもしない。
別に堪えている様子もないヨミの瞳はただまっすぐとしている。
区切りがついたかの様な、迷いがいっさい感じられないヨミの瞳。
そんなヨミの様子にイタチは何故だか安心を覚えた。
イタチはヨミの側に腰を下ろす。
ヨミは先程からイタチが抱えるものが気になっていた。
「イタチはさっきから何を抱えてるの?」
「何だと思う」
「いや、聞き返されても・・・分からないから聞いてるんだし」
ヨミの言葉にそうだな、と納得したのかそっと抱いていたものを差し出す。
差し出されたモノを受けとりヨミは「あ、」と言葉をあげた。
「ナルト・・・!」
腕の中で眠るナルトの姿にヨミは思わず抱き締めたくなるのだが
「さっき眠ったばかりなんだ。頼むから起こす様な真似は止めてくれ」
と、止められる。
それ以上何も言わないイタチであったが、彼の真面目な顔にヨミは何となく悟った。
「うちのナルトがご迷惑をかけたようで」
「・・・いや、泣くことは赤ん坊の仕事だ。謝る必要はない」
「そういえば凄く今更なんだけど
ここってイタチの家?」
「本当に今更だな。ここは俺の家だ」
そう答えると何故イタチの家で寝ていたのか分からないヨミにイタチはこれまでの事を話してくれた。
九尾の暴れていた場所でナルトとヨミは見付かった。
二人は三代目により運ばれ病院に入れられたのだが、里を破壊した九尾がナルトの中にいると分かるなり病院に運ばれていた者達は九尾など助けるなと抗議し始めた。
病院に来ていた者は殆ど九尾の暴走により家族、仲間、家を失った者ばかりで悲しみや怒りが九尾を体に封印されたナルトに向けられるのはしょうがない話だった。
病院側は中立の立場であったが日が経つ毎に増える抗議の者達には困り果てていた。
「それが五日前で、話を聞き付けた母さんがナルト君と、回復してきていたヨミを家に連れてきたんだ」
イタチの話を聞き、ヨミはなるほどと納得する。
意識の底で聞いた大人達の声はミコトさんとフガクさんの声だったか
「私、イタチの両親に感謝しないと・・・」
「別に感謝なんてしなくて良いのよ」
開けっ放しであった襖から部屋に入って来たのは哺乳瓶を二つもったミコトとフガクだった。
「そろそろお腹を空かす頃だと思って
はい、これはナルト君の分ね」
差し出された哺乳瓶を受けとり、寝ているのに飲むのだろうかナルトを見つめていれば、瞼をうっすらと開き手を伸ばしてぐずりだす。
「お腹空いたんだね」
哺乳瓶をナルトの口元まで持っていくと、よほどお腹が空いていたのか哺乳瓶に入ったミルクを勢いよく飲んでいた。
ふと、見ればイタチもサスケにミルクを飲ましている。
「後ろに抱えていたのサスケ君だったんだ」
「ああ、そうだ」
「ナルト君はサスケの友達だからってずっと面倒見ていたのよねイタチ」
ふふ、と笑ってイタチの頭を撫でるミコト。
「だから感謝はこの子にしてあげて」
「母さん!俺は別に何もしていない・・・」
「イタチ・・・ミコトさんもフガクさんもありがとうございます」
ミルクを飲むナルトを抱えながらヨミは三人に深く、深く頭を下げる。
ヨミは泣きたくて堪らなかった。
ナルトの面倒を見てくれたイタチ、自分達を連れてきてくれたミコト、家に受け入れてくれたフガク、有り難く、嬉しくて堪らなく泣きたくなる。
「頭を上げたまえ。まだ体も本調子ではないだろう・・・暫くここで療養するといい」
それだけ言うとフガクは部屋を出て言った。
フガクがいなくなったのを確認し、ミコトは小さな声でヨミに言う。
「あの人はああ言ってるけどずっとここにいても良いから」
「でも、それは・・・」
「実を言うとあの人、一気に娘と息子が増えたみたいで喜んでいるの」
これは内緒ね、とミコトは笑い空になった哺乳瓶を集める。
「じゃあ何かあったら呼んでね。オムツの場所はイタチが知ってるからイタチに聞いて」
「はい、分かりました」
ナルトの背中を叩いていたヨミは部屋を出るミコトに軽く頭を下げた。
「イタチの両親は凄く優しい人達だね」
「ああ俺達兄弟自慢の両親だ
な、サスケ」