幻影少女
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意識が少しずつ浮かんで、真っ暗な視界は次第に慣れてくる。
前髪が揺れる。
風がくる方向をじっと見つめていれば獰猛な獣の紅い瞳が此方を見ているのを気付く。
『お前は、クシナじゃないな・・・何者だ』
『私が何者か何てどうでも良いわ。
私はクシナさんの中で暴れる貴方を抑えに来たの』
『ワシを抑えに来ただと?
笑わせるな!!!』
ぐわっと人の何百倍もある大きな口を開いて九尾はヨミに迫った。
自分を食い千切ろうと迫る九尾の大きな口に怯む様子もなくヨミは迫り来る大きな口を眺めている。
九尾の口が残り数センチという所迄迫った時、ヨミは口を開き呟いた。
『伏せ』
呟いたと同時に九尾の体は地面へと押さえ付けられる。
『この力、貴様はあの一族の・・・!』
忌々しいと言わんばかりの表情を浮かべる九尾にヨミはにっこりと笑みを浮かべていた。
『クシナさんが出産を終える迄ずっとそうしていなさい。
それが私の命令よ』
「う゛ぅっ・・・」
ヨミが消えてから暫くしてクシナの呼吸は少しずつ落ち着いてきていた。
外側から抑え込んでいる九尾も暴れる様子もなく不気味な程静かである。
「九尾が大人しくなりました」
「あの子の術が成功したのじゃ
後は子供さえ産まれれば安心ぞえ」
そんな事を話していると、クシナが今までとは違う声を上げた。
「うっ~~~~~っ!」
「頭が出た!!もう少しじゃえ!クシナ!」
「がんばってクシナさん!!」
『うわっ!?』
ちょうど九尾の頭に座っていたヨミは突然咆哮を上げた九尾に驚き、背中から転がる。
『グオオオっ』
クシナの体に封印されている事で体が繋がり出産時の痛みを感じているのか、と思ったヨミは体を起こし九尾の体を撫でた。
『貴方が感じている痛みはクシナさんのもので貴方は痛みを感じていない』
きっと痛みを感じている。
『痛くない、痛くない。貴方が感じている痛みはあくまでもクシナさんの痛み。
貴方は無関係よ』
ヨミの"命令"が効いているのか、叫びの様な声を上げていた九尾が大人しくなっていく。
「う~~~~~!!」
「ナルトォー!早く出てこーい!九尾は出てくるなァー!」
クシナの内で九尾を抑えるヨミを信じながらミナトは言葉にして願った。
その願いは天に通じたのか、部屋いっぱいに元気な赤ん坊の泣き声が響く。
「お湯じゃ!」
「ハイ!」
ばたばたとビワコの命令にタジは湯の張られた桶と清潔なタオルを用意する。
取り上げたビワコの手で顔や髪に付いた血を落とされる金色の髪をした赤ん坊をミナトとクシナはただ見つめていた。
赤ん坊は産まれてから休む事もなく大きな声で泣いていた。
その元気な泣き声が放心状態に近かった夫婦を現実へと引き戻す。
「産まれた・・・」