幻影少女
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「ごめんヨミ。俺は君を木ノ葉に連れてきてから随分と寂しい思いをさせていたようだ」
「ミナトさんは謝らないで下さい。よくよく考えればミナトさんもクシナさんも他人の私によくしてくれた。
それなのに私は・・・」
ミナトは抱いたヨミを強く抱く。
「ヨミは他人じゃないよ。俺とクシナの娘でもうすぐ産まれる赤ん坊のお姉ちゃん。
君は木ノ葉に来てから他人じゃない、俺達の大切な家族なんだ」
「家族・・・」
「そう、家族だよ」
「うあぁうー!!!痛いってばね~!!!」
部屋いっぱいに響くクシナの声。
その声は大きく、部屋だけでなく通路にも外の森に迄聞こえているのではと思う程。
そんなクシナの様子に表情を歪めるのは九尾の封印を監視するミナトだった。
普段の彼女からは想像できない様子に、九尾の監視をするミナトの意識はついついクシナへと向いてしまう。
「あの~・・・こんな大声で痛がるクシナを初めて見たのですが・・・
これは・・・大丈夫なんでしょうか?」
妻の身を心配するミナトの問いに答えたのは付き添い兼助産婦の役割のあるビワコでなく、痛みに耐えるクシナの手を握っていたヨミだった。
「クシナさんのこの様子、大丈夫じゃないと思いますよ。
出産って鼻からスイカを出しつつ腹筋するぐらいキツいっていいますし」
「えっ、鼻からスイカって表現が難しいよ」
「出産時の痛みは男ならショック死する程だそうです」
「そんな、じゃあクシナは・・・!」
ヨミの解答にミナトの意識が完全と言っていいほど、クシナに向いてしまう。
そのミナトの様子にビワコは叱責した。
「四代目火影ともあろうもんがオタオタすなえ!!確かに男なら痛さでとーにくたばっとるが女は強い!!」
そう言い切るとビワコは次にヨミを見る。
「ヨミは次にしょうもない事を言ったら外の暗部を呼んで外で待たせるえ」
「しょうもない事じゃ無いもん。本に書いてあった事だもん」
「何か言ったぞえ?」
厳しいビワコの眼光はヨミへと向いていた。
その文句を言わせない厳しい眼光にヨミはただ首を振るう。
「じゃあ大人しくしとくのじゃ」
「・・・はい」
そう返事をした所でヨミより先に叱られていたミナトと目が合い、互いに笑う。
「!!
うああう~!!」
「!クシナ」
先程まで痛がっていたクシナが苦しげな声を出し始めた。
何事かと見れば、九尾を抑えるミナトの手が押し返されている。
「ミナトさん、クシナさんは・・・!」
「封印が弱まっているのに気付いて九尾が外に出ようともがいている!!」
「そんな」
クシナの表情を見れば冷や汗がだらだらと流れ、歯を力いっぱいに噛みしめていた。
出産だけでも痛いのにそれと同時に外へ出ようとする九尾を内側へ抑え込まなきゃならない。
「がんばれクシナ!がんばれナルト!」
ミナトは術式を使い外側から九尾を抑えているがそれでもクシナの負担は大きい、大きすぎる。
震えるクシナの手を強く握りヨミは「よし、」と決心した。
床に付けていた膝も上げ、立ち上がると印を組みチャクラを練り上げる。
突然の行動にミナトもタジもヨミが一体、何を始めようとしているのか分からず固まっていた。
ただビワコだけは何か知っているようでヨミを見つめる。
「私は今からクシナさんの内に入って九尾を抑えつけてきます」
そう言ったヨミの体から暖かな光がぽこぽこと音をたてて漏れていた。
「ヨミ、何を言っているんだ。それにその光は・・・」
何を仕出かすか分からないヨミを止めようと、ミナトの九尾を押さえ付けていた力が弱まる。
とたん、クシナの悲鳴にも似た苦しげな声が部屋に響いた。
「これ!四代目は九尾に集中するぞえ。
この子にはこの子の役割がある」
ヨミは ただミナトを見て微笑んでいる。
「私の一族は昔から人間を含む生物を言葉一つで操れたんですって
それは一族の者なら誰でも出来る事で・・・でも一族の濃い血を持つ者だけに伝わる秘術がある」
「この子はクシナの出産が困難極めると見越してたった数日でその秘術を身につけたのじゃ。天才じゃよ、天才で親思いな子ぞえ」
「ヨミ・・・」
今まで痛みに瞳を閉じていたクシナが瞳を開きヨミを見ていた。
「クシナさん・・・ううん、お母さん。私も手伝うからお母さんは頑張ってナルトを産んでね」
ぽこぽことクシナの手を握る方とは反対の所からヨミは消えていた。
いや、溶けているのかそれとも言っていたとおりクシナの内へ入っていっているのか、ヨミの体はみるみる無くなっていく。
「ヨミ、ヨミ・・・」
「行ってきます。
お父さん」
ミナトの不安げな顔が見えて、そこでヨミの視界は暗転した。