寂しがり屋な娘の話
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「木ノ葉の里からは勿論、お住まいの家から出る事も禁じます。
定期的に貴女様の様子を見にワシの使いの者をそちらへ向かわせますがそれ以外の者との接触を禁じます」
「そんな、それじゃあまるで「幽閉だ」」
そう言ったダンゾウはアカリを見下しながら言葉を続けた。
「いくら力を持ってるとは言え戦争の役にたとうともしない手を貸さない。
ならば敵に奪われる前に隠しておくのが道理だろう。
それとも今度こそ木ノ葉の為にその力を我らに貸すか?」
ダンゾウの問いにアカリは俯き首を横に振った。
アカリの無言の答えにダンゾウは「そうだろう」と呆れ、深い息を吐き出す。
「木ノ葉にとってお前は只の穀潰しだ」
悪口とも言える彼の言葉にヒルゼンはたしなめようとするが彼は構わず続ける。
「戦争は嫌だの恐いだの言って力を貸しもしないくせに無駄に手はかかる。
解っておるのか?お前が他国の手に渡っては困るから優秀な忍を護衛につけておるがそれ自体が無駄な事が」
「ダンゾウ、」
「お前が目を覚ました事で余計な出費が増えて元々厳しい木ノ葉の財政が余計厳しくなったのだぞ」
「ダンゾウ!
・・・もう良いだろう」
声を荒げてダンゾウを黙らせたヒルゼンはアカリと向き合い、彼女の手を握る。
「先生・・・」
責めともとれるダンゾウの言葉で瞳に涙を溜めたアカリにヒルゼンは先程とはうってかわり優しくなった声で語りかけた。
「ダンゾウはああ言いましたが何も全てが事実というわけではありません
ですが、
奴の言う通り木ノ葉の財政が厳しいのは事実です」
お金が湯水の如く沸き上がってくる事等まず有り得ない。
長引く戦争は各国に軍事費という名で沢山のお金を使わせ財政難に追い込んだ。
それは火の国も例外ではなく、国を襲う財政難に困り果てた火の国が行ったのは国の軍事力である木ノ葉に対する大幅な軍事費用の削減。
火の国は木ノ葉の里に払うべき軍事費を抑えれるだけ抑え、純粋に戦争に必要な分だけを寄越す様になった為に木ノ葉は今までにない財政難に陥った。
しかも、既にかなりの軍事費を削っていると言うのに火の国はまだ軍事費を削ろうと木ノ葉に対し財政の引き締めを求めてきたのだ。
この申し出を断わる事も出来ず、木ノ葉は片っ端から財政の見直しを計った。
微々たるものから大きなもの迄見直し見付かった不透明な費用。
「それが私にかかる費用だったんですね」
ヒルゼンは静かに頷く。
アカリの存在が秘匿だった為にその不透明な費用は追求こそされはしなかったが結局不必要と見なされてその費用は消されてしまった。
もちろんその費用の中にはアカリの護衛に付ける忍の給金も入っており、その費用が使えなくなっては護衛につけていた忍の給金が払えない。
しかも戦争による忍の人員不足もありアカリの存在を知る者達で相談した結果、彼女に付けている護衛は全て解任。
代わりに彼女を一定の場所に置き、辺りに強力な結界を張って彼女を敵の手から守る事に決まったのだ。
火の国の要求に加え木ノ葉の上層部が取り決めた事を告げられ、苦悩に満ちたヒルゼンのその表情にアカリは何も言えなかった。
この決定は彼が板挟みに合いながら渋々決めた事なのだろう。
里の長だと言うのにアカリに対し、本当に申し訳無さそうな顔をしたヒルゼンにアカリは自分の我が儘等言えなかった。
「分かりました。戦争が終わるまでの間、家で大人しくしていれば良いんですね!」
アカリはとびっきり明るい声で喋る。
「でも外出禁止令、後二日待って貰えないですか?」
その二日の間にしたい事があると言ったアカリにダンゾウは却下しようと口を開きかけたが、それをヒルゼンが阻み彼女の申し出を認めた。
「もう結界を張る術者の準備も整えたというのに予定を先伸ばしにすると言うのかヒルゼン!」
「その術者はお前の部下だ。ならば予定が二日後にずれようと特に問題はあるまい」
追随を許さないヒルゼンの言葉に最後はダンゾウが折れる。
ちらりとアカリを見て溜め息を吐いた彼は部屋の扉へと踵を返す。
「仕方ない。部下には予定が二日ずれた事を話しておく
これ以上は予定を先伸ばしにしたりしないからな」
早い目にと釘をさしてきたダンゾウにアカリは頷き、彼の背中に向かって頭を下げた。
「ありがとうございます!」