寂しがり屋な娘の話
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「化け物・・・私が?」
気付けば腹部からの出血は止まっていた。
けれど、まだ痛い。
体の中が、内が
心が、
「イタイ」
先程迄の威勢は何処へやら
出血が止まったお腹を押さえアカリは体を縮こまらせていた。
術を使う様子もない彼女を刀を持った男達が数人で取り囲む。
「貴女には少しだけ眠って頂きますよ。
なに、次に目が覚めた時には家が変わっているだけ」
輪から一歩前に出たのは始めにアカリへと刀を刺した男だった。
自分の周りを刀を握った男達に囲まれても抵抗する様子も見せないアカリの頭を男は優しく撫でる。
「さあ、お眠りなさい」
構えられる何本もの刀。
男の手が離れ、体が離れるのが合図だったかの様に鋭い剣先がアカリに向かって迫った。
鼻をつく強烈な血の臭い。
その余りに強い臭いに眉を寄せたカカシは隣で移動するミナトに声をかける。
「先生!この先で強い血の臭いが」
「酷い臭いだね。カカシ君程鼻が良くはない俺でも良く分かる」
そう言ったミナトは血の臭いの先にアカリがいる確証は無かったが木々を蹴る足により力を込めて前に進んだ。
その後を必死に追うカカシにミナトは「帰っても良いんだよ」と声をかけた。
「元はと言えば俺の監督不十分だからカカシ君が気にする必要もないんだ」
それに相手が何人いるのか、何れ程の手練れなのか等どれも情報が不足していてそんな場所に中忍であるカカシを連れていくのには気も引ける。
だが、先程から然り気無くも彼に帰るよう何度伝えてもカカシは首を縦に振ろうとはしなかった。
「それでも、あの人と最後にいたのは俺ですから」
ミナトに気にするなと言われてもこの様な事態になった事にカカシは責任を感じていた。
どうして確認もせずにアカリを行かせてしまったのか
相手を確認していれば
もっと近付いていれば相手が偽者だと気付いたかもしれないのに
「カカシ君!待って」
自分の腕を出してカカシに急停止をさせたミナトは自分の口に指を当て静かにするよう指示した。
その指で指し示す方、留まった木の枝から先の様子を見れば森の開けた場所で数人の忍が円陣を組んでいる。
「こんな場所で何を」
しているのか分からなかった。
其処にいる忍全員が円陣を組み俯いているおかげで彼らの目的どころか木ノ葉の忍かどうかすら確認出来ない。
そこで気付いたのだが辺り一帯、先程とは比べ物にならない程血の臭いがしていた。
その臭いの凄さは到着してすぐに臭いに気付かない程。
一瞬でも嗅覚を麻痺させてしまう血の臭い。
「此処が臭いの大元みたいだね」
「これがもし一人の人間の血の臭いならまず助からないですよ」
出血が多ければ人間は死んでしまう。
この血の臭いの主がアカリで無いことを願う二人。
そんな時、円陣を組んでいた一人が動いた。
一人が膝を付き、何かを抱き上げる。
それを確認しようと少し体を前のめりにする二人。
心臓が早鐘を打つ。どくどくと心臓が跳ねて額からは粒の汗が伝い落ちる。
男の抱き上げて立ち上がるちょっとした動作に凄く長い時間を感じた。
早く早くと思いながらああ、どうかと誰かに願う。
どうか彼女じゃありませんように
抱き上げたのがアカリでなければまた始めから彼女を探さなければならないが、彼女が酷い怪我を負うよりは、と二人には思えた。
だが、無情にも願いは通じず男が抱き上げたのは白い服を真っ赤に染めたアカリの体。
何本もの刀が抜かれる事なく刺さり抱き上げられた彼女を目視したカカシは思わず声を上げそうになるが飲み込んだ。
そんな自分に対し、始終静かなミナトを見れば彼は無表情。
しかし普段から表情豊な彼を見ているカカシからすれば怒りを露にされるよりも無表情な彼の方がとても恐ろしい。
「カカシ君」
「はい」
「俺は今から敵を攻撃を仕掛ける。その間に君は」
「あの人を奪還します」
まかせたよと言ったミナトの手には飛雷神の術が込められたクナイが握られていた。
カカシより先に木の枝から飛び出したミナトは敵の集団に向かって攻撃を仕掛ける。
その間、まだ木の枝から動いていないカカシはアカリを抱えた男の様子を窺っていた。
ミナトに応戦する敵の様子を見て、相手は皆上忍レベル。
いくらカカシが腕に自信があると言っても何人もの上忍を相手にするのは難しく、もしカカシが複数の上忍を相手出来たとしてもその間にアカリを抱えた男が逃げ出してはミナトが先発として敵に向かった意味が無くなってしまう。
カカシはアカリを抱えた男が味方から離れ一人になるのを待った。
「木ノ葉の黄色い閃光か!」
敵の誰が呟き、誰がその異名に戦く。
「アカリちゃんを返して貰うよ」
ミナトは既に何人も倒していた。
が、自分達と同じように敵も隠れていたようで倒しても倒しても敵はわらわらと出てくる。
「くっ、まさかこんなにも早く見付かるとは」
常にアカリに隙が出来るのを窺っていた彼等にとって四六時中アカリの側にいたミナトはまさに目の上のたん瘤だった。
彼等がアカリを拐うと言う任務を請けた時から戦場で有名ミナトが護衛に付いているのは知っていたが、彼等の本音はミナトと応戦したくはない。
戦えば全滅は免れても最悪、任務失敗は目に見えていたのだ。
彼等の任務成功の条件はアカリを木ノ葉から自分達の里へ連れ去る事。
任務失敗の条件は隊の全滅、もしくはアカリを奪い返される事。
奪い返されてしまえばアカリに対する警護はより一層厳しくなり、次に拐い連れ去るというのはほぼ不可能になる。
となると、何としても奪い返されぬよう味方が多い内に木ノ葉から出なければならない。
今、彼等にとってついているのはミナトが一人だという事だけ。
アカリを抱えた男は味方全員にミナトを足止めするよう命じ、駆け出した。
高く飛び上がり、木に足をかけ、木ノ葉の外に待機させた味方の方へと駆け出す。
「!待てっ」
何とかして足止めしようと飛び掛かる敵に応戦しながらミナトは声を上げ、カカシが身を潜める木を目配せをした。
木は微かに動いたが敵は皆、ミナトに意識を向けていて気付かない。
沢山の敵に足止めをくらったミナトはカカシに全てを託すしかなかった。
気付けば腹部からの出血は止まっていた。
けれど、まだ痛い。
体の中が、内が
心が、
「イタイ」
先程迄の威勢は何処へやら
出血が止まったお腹を押さえアカリは体を縮こまらせていた。
術を使う様子もない彼女を刀を持った男達が数人で取り囲む。
「貴女には少しだけ眠って頂きますよ。
なに、次に目が覚めた時には家が変わっているだけ」
輪から一歩前に出たのは始めにアカリへと刀を刺した男だった。
自分の周りを刀を握った男達に囲まれても抵抗する様子も見せないアカリの頭を男は優しく撫でる。
「さあ、お眠りなさい」
構えられる何本もの刀。
男の手が離れ、体が離れるのが合図だったかの様に鋭い剣先がアカリに向かって迫った。
鼻をつく強烈な血の臭い。
その余りに強い臭いに眉を寄せたカカシは隣で移動するミナトに声をかける。
「先生!この先で強い血の臭いが」
「酷い臭いだね。カカシ君程鼻が良くはない俺でも良く分かる」
そう言ったミナトは血の臭いの先にアカリがいる確証は無かったが木々を蹴る足により力を込めて前に進んだ。
その後を必死に追うカカシにミナトは「帰っても良いんだよ」と声をかけた。
「元はと言えば俺の監督不十分だからカカシ君が気にする必要もないんだ」
それに相手が何人いるのか、何れ程の手練れなのか等どれも情報が不足していてそんな場所に中忍であるカカシを連れていくのには気も引ける。
だが、先程から然り気無くも彼に帰るよう何度伝えてもカカシは首を縦に振ろうとはしなかった。
「それでも、あの人と最後にいたのは俺ですから」
ミナトに気にするなと言われてもこの様な事態になった事にカカシは責任を感じていた。
どうして確認もせずにアカリを行かせてしまったのか
相手を確認していれば
もっと近付いていれば相手が偽者だと気付いたかもしれないのに
「カカシ君!待って」
自分の腕を出してカカシに急停止をさせたミナトは自分の口に指を当て静かにするよう指示した。
その指で指し示す方、留まった木の枝から先の様子を見れば森の開けた場所で数人の忍が円陣を組んでいる。
「こんな場所で何を」
しているのか分からなかった。
其処にいる忍全員が円陣を組み俯いているおかげで彼らの目的どころか木ノ葉の忍かどうかすら確認出来ない。
そこで気付いたのだが辺り一帯、先程とは比べ物にならない程血の臭いがしていた。
その臭いの凄さは到着してすぐに臭いに気付かない程。
一瞬でも嗅覚を麻痺させてしまう血の臭い。
「此処が臭いの大元みたいだね」
「これがもし一人の人間の血の臭いならまず助からないですよ」
出血が多ければ人間は死んでしまう。
この血の臭いの主がアカリで無いことを願う二人。
そんな時、円陣を組んでいた一人が動いた。
一人が膝を付き、何かを抱き上げる。
それを確認しようと少し体を前のめりにする二人。
心臓が早鐘を打つ。どくどくと心臓が跳ねて額からは粒の汗が伝い落ちる。
男の抱き上げて立ち上がるちょっとした動作に凄く長い時間を感じた。
早く早くと思いながらああ、どうかと誰かに願う。
どうか彼女じゃありませんように
抱き上げたのがアカリでなければまた始めから彼女を探さなければならないが、彼女が酷い怪我を負うよりは、と二人には思えた。
だが、無情にも願いは通じず男が抱き上げたのは白い服を真っ赤に染めたアカリの体。
何本もの刀が抜かれる事なく刺さり抱き上げられた彼女を目視したカカシは思わず声を上げそうになるが飲み込んだ。
そんな自分に対し、始終静かなミナトを見れば彼は無表情。
しかし普段から表情豊な彼を見ているカカシからすれば怒りを露にされるよりも無表情な彼の方がとても恐ろしい。
「カカシ君」
「はい」
「俺は今から敵を攻撃を仕掛ける。その間に君は」
「あの人を奪還します」
まかせたよと言ったミナトの手には飛雷神の術が込められたクナイが握られていた。
カカシより先に木の枝から飛び出したミナトは敵の集団に向かって攻撃を仕掛ける。
その間、まだ木の枝から動いていないカカシはアカリを抱えた男の様子を窺っていた。
ミナトに応戦する敵の様子を見て、相手は皆上忍レベル。
いくらカカシが腕に自信があると言っても何人もの上忍を相手にするのは難しく、もしカカシが複数の上忍を相手出来たとしてもその間にアカリを抱えた男が逃げ出してはミナトが先発として敵に向かった意味が無くなってしまう。
カカシはアカリを抱えた男が味方から離れ一人になるのを待った。
「木ノ葉の黄色い閃光か!」
敵の誰が呟き、誰がその異名に戦く。
「アカリちゃんを返して貰うよ」
ミナトは既に何人も倒していた。
が、自分達と同じように敵も隠れていたようで倒しても倒しても敵はわらわらと出てくる。
「くっ、まさかこんなにも早く見付かるとは」
常にアカリに隙が出来るのを窺っていた彼等にとって四六時中アカリの側にいたミナトはまさに目の上のたん瘤だった。
彼等がアカリを拐うと言う任務を請けた時から戦場で有名ミナトが護衛に付いているのは知っていたが、彼等の本音はミナトと応戦したくはない。
戦えば全滅は免れても最悪、任務失敗は目に見えていたのだ。
彼等の任務成功の条件はアカリを木ノ葉から自分達の里へ連れ去る事。
任務失敗の条件は隊の全滅、もしくはアカリを奪い返される事。
奪い返されてしまえばアカリに対する警護はより一層厳しくなり、次に拐い連れ去るというのはほぼ不可能になる。
となると、何としても奪い返されぬよう味方が多い内に木ノ葉から出なければならない。
今、彼等にとってついているのはミナトが一人だという事だけ。
アカリを抱えた男は味方全員にミナトを足止めするよう命じ、駆け出した。
高く飛び上がり、木に足をかけ、木ノ葉の外に待機させた味方の方へと駆け出す。
「!待てっ」
何とかして足止めしようと飛び掛かる敵に応戦しながらミナトは声を上げ、カカシが身を潜める木を目配せをした。
木は微かに動いたが敵は皆、ミナトに意識を向けていて気付かない。
沢山の敵に足止めをくらったミナトはカカシに全てを託すしかなかった。