｢それ、なぁに？｣

頭上からの声に少年はゆっくりと見上げた。
見上げた先には眠たそうな目をした女が一人。

少年は見知らぬ女に少し警戒したが、持っていた物を女にもよく見える様前に出した。

｢白蛇の脱皮した皮だよ。先生が言うに白蛇は幸運と再生の象徴なんだって｣

少年の言葉に女は｢ふーん｣と興味のない返事をして腰を下ろす。

｢何かを戻したいの？｣

女の言葉に少年は俯き前にあった墓石を見つめる。
その視線に気付いた女に｢このお墓の人？｣と尋ねられ少年は頷く。

そこから会話は無かった。


少年は俯き、女は空を仰ぐ。


その状態で一時間は過ぎた頃に女が口を開いた。

｢戻してあげようか｣

｢え？｣

｢私の力でこのお墓の人達を生き返らせてあげようか｣

｢・・・そんな事出来るの？｣

｢出来るよ。まだそれぐらいの力は残ってる｣

そう言った瞬間に沈んでいた少年の表情が輝く。



｢じゃあ・・・！』





そこでアカリの目が覚めた。
夢を見たせいなのか起きようにも体がダルい。

｢久し振りに夢らしい夢を見た気がする・・・｣

布団から抜け出し体の筋という筋を伸ばしてアカリは洗面所へ向かう。
顔を洗い身ごしらえをして今度は台所へと向かった。

炊きたてのご飯に卵や野菜、色々な食材を使って沢山の弁当を作っていく。





弁当作りに一段落ついた所でアカリはため息にもにた息を吐いた。

机の上に置かれた弁当は六個。
任務で昼食を持参しなくてはいけない暗部二人と、じばらく里外草むしりで今日木ノ葉を離れるミナトとその部下の分で四つ。
アカリとしては納得の出来であるお弁当は任務前に寄ってくれた三人に手渡しした。


｢出来るだけ早く終わらせてくるから｣

｢そんなに焦る事もないですから、あまり無理しないよう・・・任務頑張って下さいね｣

暗部の二人とは少しずれて来たミナトにアカリはお弁当を四つ渡して玄関から見送った。
ミナトの姿が見えなくなるのを確認してアカリは家に入ろうとする。

そこで声をかけられた。

｢アカリ、｣


そう、確かに呼ばれてアカリは振り向く。
そこに立っていたのは

｢大蛇丸！｣

夢に出てきた少年、その人だった。
久し振りに会えた嬉しさに彼の元へと向かう足が自然に駆け足になる。
大蛇丸との距離はそれほど無かったがアカリはその短い距離を助走にして抱き締める様に飛び付いた。
そんな勢いがあるアカリを易々と受け止めた大蛇丸はそのまま抱き締め返す。

｢久し振りねアカリ｣

｢うん、凄く久し振り｣

ぎゅっと抱き締めアカリは大蛇丸から離れた。

｢今日はどうしたの？私が起きたからってわざわざ会いに来たとか？｣

そう尋ねれば大蛇丸はあら？と首を傾げる。

｢アカリ、貴女。先生から何も聞いていないの｣

｢？何が｣

｢自来也のとこの坊やがいない間の護衛は私よ｣

｢え・・・聞いてない｣


｢｢・・・｣｣