何時もの様にアカリがだらだらと時間を過ごしていると、三代目火影の使いだという者が訪ねてきてはんば無理矢理に連れ出されてしまった。
火影部屋に案内され、部屋に入るなり連れてこられたわけを聞かされる。


｢とてもめんどくさそうですね｣

それが話を聞いたアカリの感想だった。
わけを話し、一服していた三代目も苦笑いを浮かべる。

｢わしもそう思う。だが、もうわしらでも抑える事は出来ないのですよ｣

｢私も起きた時には覚悟していましたが、やっぱりいざとなるとめんどくさいです｣

ふー、とアカリは溜め息を吐く。

｢うちはと日向だけと言うのは色々な所から文句が上がりそうなので幾つか回ります｣

｢おお、受けて下さいますか！｣

｢はい、これが私を匿ってくれている木ノ葉の為になるのなら｣

受けると言ったアカリにじゃあ、と三代目は机の引き出しから紙を出す。
覗けばそこに書かれているのは木ノ葉の名門・名家に一族に伝わる秘術を守る一族の名。
それがびっしりと小さな文字で紙いっぱいに埋まっている。

｢・・・やっぱり私｣

｢幾つかの家はアカリに来てもらうのは申し訳無いからと、一族総出で挨拶に出向くと言っておりましたが｣

｢私から行かせていただきます！｣

頼まれていた筈のアカリは何故か三代目に頭を下げていた。
そこまでしてまででも自宅訪問は避けたかったのだ。
必死のアカリを眺め、三代目が｢じゃあ、わしの方から言っておきましょう｣と言うとアカリは目を輝かせて三代目へとダイブする。

｢先生、大好き！｣

結構な勢いでダイブしたアカリを三代目は上手く受け止めた。
姿を消して部屋に隠れた暗部の者達がはらはらしているとも知らず、三代目に抱きついていたアカリは｢そうだ｣と何か思い出したかのように呟く。

｢ミナトさんにはこの事を・・・｣

｢分かっております。ミナトには幾つか任務を回して気付かれないようにしておきましょう｣

｢・・・～先生っ！｣

話が分かる、とアカリに再度抱きつかれた三代目は視界が上へと上がり、歴代火影の写真が目に入る。

彼等二人が生きていたら、どんな反応を見せただろうか。

三代目はふと、そんな事を思った。















うげぇ、そんな声が聞こえた。

｢いま、『うげぇ』って言ったオビトはデコピン一回ね｣

ミナトの言葉に今度は｢ぎゃあー｣と悲鳴が聞こえる。

｢デコピン二回｣

そこまで言って騒がしかったオビトは大人しくなった。

｢ねえ、先生｣

｢なんだい、リン｣

｢オビトを擁護するとかじゃないけどこの任務の量、本当に私達四人でするんですか？｣

朝から行っていた任務を終わらせ、報告書を提出すると受付から新しい任務が与えられる。
任務の内容は大名屋敷の草抜き、と彼等もよくやる任務なのだが問題は任務先の大名屋敷にあった。
大国・火の国の大名である依頼主はそれはもう有り余る程、お金を持つ男。
金にモノを言わせて得た土地はそこに村があってもおかしくないほどの広さだった。
それ故にこの大名の依頼する草抜きは許可もとって数班で行っているのだが、

｢流石にあの庭を四人で草抜き何て大変だと思うんですが｣

リンの言葉にカカシも頷いていた。
ミナトもこの任務がどれだけ大変になるか分かっているが、依頼状には四人でと書いてあり受けてしまった以上は四人で頑張るしかない。

｢これは少し長くなりそうな任務だね｣

苦笑いを浮かべて言ったミナトの言葉にまたも悲鳴が聞こえた。


｢はい、オビトは三回ね｣