寂しがり屋な娘の話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
とても寂しがり屋の娘がいた。
どれ程寂しがり屋なのかと言うと自分に向かって石を投げる相手に寂しいからと会いに行くほど寂しがり屋だった。
寂しがり屋の娘は両親も兄弟もいない。
それどころか同じ筈の人間に嫌われていた。
森から人里に降り、石を投げられまた森に戻る。
人間に嫌われていても森の動物達に好かれていた娘は動物達に
『人里に降りるのはもう止めなさい』
と言われるのだが家族で仲良く寄り添う動物達を見ると寂しくなり娘は石を投げられると分かっていてまた自分と同じ形の者達が集まる人里へ降りてしまうのだ。
そんなある日の事。
娘は里から森へと帰る道で一人の少年を拾う。
熊に襲われたという少年を娘は自分の住みかに連れていき介抱した。
物心ついた時から人と離れ、森に住んでいた娘は世間と言うものを全く知らなかった。
娘は少年を拾った事で何故自分が人間に嫌われるのかを知る。
「人はその様な妖術を使いません」
と少年は言う。
娘は少年の言葉に疑問を浮かべる。
「人は口から水を、火を、地面から岩や木の根を噴き出し、突きだし、操る事は出来ないのか?」
娘の疑問に少年はそうだ、と頷く。
酷く娘は驚いた。
「私も貴方も同じモノを体に持っているのに使えないのか、それは不便だ」
良く良く娘は考えてみると自分も始めは人間に嫌われていなかった事に気付く。
だが燃えている家を見て、慌てて水を噴き出し消火し終えると優しかった人の目が変わっていたのを思い出す。
あれがいけなかったのか、と娘は自分の思慮のなさ、世間を知らな過ぎた事を後悔した。
今度は少年が疑問を娘にぶつけた。
「貴女様は自分にも貴女様と同じモノを持っていると言われました。
それがあれば貴女様と同じ摩訶不思議な術を使えるのですか?」
「ええ、使えます」そう言った娘の蒼い瞳は何故か真っ白で少年は驚くのだがすぐに瞳は白から水色に、そして蒼へと戻っていた。
娘は驚く少年を気にせず話を続ける。
「使い方さえ覚えれば自然も操れます」
じゃあ、と少年は言葉を切り出した。
「自分と一緒に里へ来てその術を里の者達に教えて下さい」
と申し出る。
娘は寂しがり屋だった。
そしてとてもお人好しだった。
少年の申し出にあっさりと了承し、娘はその日の内に少年の住む里へと向かう。
もう一つ、娘には人と違うところがあるとも知らず
ある寂しがり屋な娘の話。