その日もいつも通り暇で、いつも通り畳の上でごろごろしていた。
掃除も洗濯も、天気が良かったからついでに布団干しもやれる事は全て午前中の内に終わらせてしまった。

暇だ暇だ、と縁側から顔を出し空を見上げていれば暗部の人に｢暇そうですね｣と笑われてしまう。

何だか恥ずかしくなって縁側から居間へと戻ると机の上には小さな小鳥が紙をくわえて立っていた。

｢あら、可愛いお客さん｣

何処から来たの？と尋ねるが答えない。
喋る様子も無いから口寄せ動物ではないのか、と小鳥の様子を観察していた。
すると小鳥はじっとアカリを見つめ『ほら、お前に手紙だよ』と言わんばかりにくわえていた手紙をアカリの前に投げ出す。


・・・前言撤回。

可愛くない・・・


アカリが手紙を開くのを見ると、小鳥は羽ばたき外へと出ていく。
手紙には簡潔に里の端にある森へと来いと書かれていた。

｢これ程悪意を感じる手紙を貰ったのは何十年振りかしら｣

ふふっ、と少し楽しげに笑うアカリの手の上で、手紙は青い炎に包まれ燃え出す。

手紙を見たら燃える様に術をかけていたのか、なるほど

等とアカリは勝手に納得して、掌に残った灰を台所の流しで払った。

｢さて、どうしましょう｣

と思案を始める。
外出の許可は起きた時にはもらっているから何処にでも行けるのだが、おまけで暗部の方々が付く。
任務とはいえ、無駄な戦闘に巻き込むのは可哀想だとアカリは考えた。
だが、ここでこのお誘いを無視するとこの前の人拐いの様なアクションを起こすかもしれない。


ならば付いて来られては困る彼らをここに縫い付けておけば良いじゃないか！


その案が浮かんでからのアカリの行動は早かった。
見張りの暗部と一日に何度も会話をする程度に仲良くなっていたアカリは上手く彼らを呼び出すと、畳に座らせてお茶の準備をするからと二人の背後に回った。
そこで彼等の影を操り、クナイで縫い止める。


｢じゃあ、ちょっと出掛けてきますね！｣

｢出掛けるって何処にですか？！護衛は？！！｣

｢アカリさーん！！！｣


彼等の声をバックにアカリは家から飛び出した。