｢で、いつから食べていないんだい？｣

私、今

｢えっと・・・５日？痛いっ！！｣

お説教中です。

木の葉で目覚めて６日目、日中の護衛をしてくれるミナトさんにご飯を食べてないのをバレました。
｢最後に食べたものは？｣

｢お団子です・・・あいたっ！｣

二発目のデコピン。
普通に痛いです。


私、食べなくても平気ですからと言うべきなのか、アカリは悩んでいた。
三代目火影はその事を知っているから何も言わない、だがミナトは知らないわけで・・・。

｢何か言いたげな目をしてるね｣

｢あの、ご飯って食べなくちゃ駄目ですか？｣

｢あ た り 前｣

ぱちん、と本日三発目の デコピンが額に入った。
あまりの痛さに叫びにならない声を上げている。

｢ここまでお姫様とは｣

そんな呟きが聴こえた。
ミナトさんは私の事を木の葉に預けられた大名のお姫様か何かと勘違いしている様だ。

何だか騙している様で心苦しい。

そんな時、部屋に飾っていた時計が時間を告げる為音を鳴らした。
その音で良い案が浮かんだのかミナトは急に立ち上がり、アカリの腕を掴んだ。

｢今日から俺と一緒に食べようか！｣

｢え、｣

どうしてそうなるのか分からない。
返事に困っていたら｢俺と一緒は嫌かい？｣と言われてしまってアカリは思わず首を横に振った。

｢そんな事、ないです｣

｢じゃあ、今日は外食しよう｣

ずるずると引きずる様に連れ出されるアカリは何とか日傘と鞄を掴む。


｢・・・私、何だか流されている気がする｣

家に複数あった暗部の気配に見送られながらアカリは家を出た。
夕方とはいえ、まだ少し明るい外に日傘を差して外に出る。
長く寝過ぎていたせいか中々慣れない日射しに少し体調を悪くしていた時にミナトがくれた物だ。
後日、返すと言えば

『男が日傘を差してちゃ変だから』

と受け取ってもらえず未だに日傘はアカリの手にある。

｢その日傘、もうアカリちゃんの物だね。凄く似合ってるよ｣

｢ありがとうございます。また何かお礼させて下さいね｣

｢気にしなくて良いよ。男は女の子に贈り物をする生き物なんだから｣



｢なーにが女の子に贈り物をする生き物だ。暫く会わん内に気障な男になりよって！｣

ずいっと、二人の間に入りミナトに絡み出した白髪。
ミナトはその白髪を知っているのか｢先生！｣なんて驚いた声を上げている。


私はこの白い髪を知っている。

だが、｢先生｣何て知らない。

でもこの白髪は



｢先生、いつ帰って来たんですか？！｣

｢さっきだ。里の様子はどうか歩いていたらお前が美人な女を連れているのが見えてのぅ｣


｢自来也君？｣

これと言った確信を得ぬままアカリは呟いた。
その呟きに反応し、白髪の男は振り向く。

｢・・・お主、アカリか？｣

男も確信のない問いだった。
アカリは頷く。

何度も、何度も

終いには感極まってなのか｢老けてるけど自来也君だぁ｣と然り気無く失礼な事を言いながらアカリは自来也に抱き着いた。

｢老けたとは心外だな。せめて成長した、だろ｣

｢うん、成長した。覗き癖は治った？｣

アカリは抱き着いていた体を離し笑い、言った。
と、何故かそこで変な間が生まれる。



｢流石にこの年にもなって覗きなんというのはしとらんわ、うん｣

｢？！先生、嘘は駄目ですよ。嘘は｣

自来也の言葉にミナトがツッコミを入れれば｢お前は黙っとれ！｣とミナトは蟀谷を拳でぐりぐりとされていた。
痛い、痛いです！と声を上げるミナトにアカリはどうしたものか、と困り果てる。

｢二人とももう、・・・うぅっ｣

アカリの静止の言葉はミナトが上げる声で届いていない。
その間にも｢何だ、何だ｣と周りに人が集まりだす。

その居心地の悪い雰囲気にアカリは思わず大きな声で言ってしまう。

｢インテリエロ助君！ストップ！！｣

と、