twst短編
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「僕からすれば赤ん坊だな」
頭上から零されたマレウスの言葉にユウは瞳を瞬かせる。
それまでベッドの上で他愛ない話をしていたところ何を思ったのか、マレウスから年を尋ねられた。
突然の問いに不思議に思いながらユウが答えると上記の言葉が返って来たのだ。
突然、自身を赤ん坊と形容されて理解に苦しんだユウ。
漸く間を空けてからその意味を理解したユウは笑みを浮かべると言葉を返した。
「私が赤ん坊なら、つまりツノ太郎はロリコンだね」
「どうしてそうなる」
ユウの言葉に納得できないのかマレウスが眉間に皺を寄せる。
「今の状況、見えてます?」
二人の身体は絡み合い、今はマレウスがユウの腰に腕を回す事で姿勢を保っているが二人の身体は今にもベッドに倒れようというしていた。
そもそも二人がベッドの上にいるのもそういう目的があっての事。
マレウスからして、赤ん坊だと言うユウに手を出しているのだからそれはつまりロリコンなのでは?というのがユウの論である。
しかしこのような情緒を求められる場面で、マレウスが突然に赤ん坊を話題に出したものだからてっきりそういう気分ではなくなったのかとユウは思った。
が、マレウスの手はロリコンと呼ばれても止まらず、今もユウの服の下を弄っている。
マレウスのその手付きに身を捩りながらもユウは話を続けた。
「でもツノ太郎がロリコンで良かった」
「僕は別にロリコンではない」
ユウの言葉にとうとうマレウスは顔を背け、拗ねて見せた。
そんなマレウスの子供っぽい仕草に笑いながらユウは目の前に晒された目尻に口付けをする。
目尻から頬、口元にキスをした所でマレウスに手を握られた。
「僕はロリコンでは無いが、その良かったという理由を教えてくれ」
互いの指が絡まり合う。
「だって私が赤ん坊ならまだ君と、少しでも長く一緒にいられる」
妖精族の寿命は長く、ただの人間であるユウの寿命などマレウスからすれば刹那の如く短い。
今は同じ年の頃に見えても20年、40年と過ぎればユウだけが老い、最後はマレウスを置いて死んでしまう。
けれど自分が赤ん坊というのならあっという間ではあるけれど共にいるだけの猶予は少しばかり長い。
ユウはそれが嬉しいのだ。
「確かに赤ん坊と大人とでは少しの差とはいえ赤ん坊の方が時間は残されているな」
「そうでしょ」
「だが安心するが良い」
何やら自信あり気に断言したマレウスにユウは内心「おや?」と頭を傾げた。
話の内容としてはどちらかというとしんみりとした雰囲気になる筈なのにマレウス纏う空気はやけに明るい。
「それをどうにかする手立ては既に準備してある。お前が望むなら僕は何時でも」
マレウスは覆い被さる様にして爛々と輝くその瞳で、ユウの瞳を覗き込む。
「急に不穏だなぁ」
しかしマレウスの言葉を本気にはしていないのかユウの言葉は何処か他所ごとで、声色は間が抜けていた。
そんなユウを見下ろして自分は本気なのだが、と思ってもマレウスは口には出さない。
先程、少しばかり漏らしてしまったがこれ以上計画を漏らしてユウに逃げられてしまっては元も子もない。
マレウス程であれば人の子一人を世界の何処かから探しだす事など造作もない事だが何かと人たらしなユウである。
何処ぞの王族や御曹司の元にでも逃げられ、連れ戻すのに国際問題に発展してしまっては面倒であり、時間が勿体ない。
マレウスにとって人の時間とは一瞬の事で、ユウの時間は一秒たりとも惜しいのである。
「悪い顔してる」
むぎゅう、とユウは自身の胸元に寄せていたマレウスの頬を両手で潰した。
顔を弄ばれてなお麗しい笑みを浮かべたマレウスは尋ねる。
「僕が恐ろしいか?」
マレウス自身、自分が悪い顔をすると家臣でさえたじろぐのをよくよく知っている。
「そういう顔も嫌いじゃないよ」
しかしなぜかユウはマレウスを恐れない。
それどころか鼻先にキスまで施す彼女の豪胆さにマレウスは身を起こして笑った。
愚かで愛おしい。
マレウスはそう思った。
自身を赤ん坊と形容しながらも平気で体を暴き、ユウの人としての在り方を歪めようと目論む男にユウは何の疑いもなく口付けをくれるのだ。
「お前を愛している」
そう告げればユウは顔を赤くして視線を逸らした。
暫く視線を彷徨わせたユウは再びマレウスを見つめるとはにかみながらも微笑む。
「私も、愛してる」
その言葉を合図に二人はベッドに倒れ込むと深い口づけを交わした。