twst短編
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男子高故、他人の交際にはだいたい僻みがちなNRC生であるがオルトと監督生のカップルは別である。
自分達より遥かに小さな二人が仲睦まじく手を繋いで廊下を歩く様にすれ違う生徒の誰も彼もが目尻を下げ、優しく二人を見守る。
そうして今日も知らずの内に見守られながらもイデアの元に来た二人は来るなり、二人の子供が欲しいと言うのでイデアは見事にずっこけた。
「えっ、突然何っ?どういう事??!オルト、お願いだから僕にも分かる様に説明して」
「あ、ごめんね兄さん。ユウさんと話してたら盛り上がっちゃって」
詳しく聞けばいつかの話であるらしい。
それに少しばかり安堵したイデアである。
オルトとユウは楽しそうにこの先の展望を語りあっている。
具体的には一姫二太郎が良いだとかその逆が良いだとか、やはり賑やかなのが良いから六つ子も捨てがたいと話す二人を微笑ましく思いながらも流石に六つ子は欲張り過ぎだとイデアは内心思った。
そんな二人の姿を暫く眺めるイデアであったが意を決して監督生に尋ねた。
「ユウ氏はこのまま、将来、オルトと一緒にいる気なの?」
「兄さん?」
「大事な話だからオルトは少し黙ってて」
どうして今、そんな事を聞くのかオルトは狼狽する声を上げるがイデアは応じるどころか突っぱねた。
オルトはアンドロイドである。
学生の内ならまだしもその先も年を取らないオルトの隣にユウはいるつもりなのか、否、いられるのか。
尋ねられてユウは大きくつぶらな瞳をぱちりと瞬かせるとあっさり大丈夫だと答えた。
愛さえ有れば、とありきたりな言葉が出てくるかと思いきや彼女の口から告げられたのはイデアも、ユウとお付き合いしているオルトさえ想定していなかった驚きの言葉であった。
「私もガイノイドなので」
アンドロイドは男性型の人造人間を指す言葉である。
ガイノイドはその対となる女性型の人造人間を表す言葉であり、つまりそのガイノイドを自称するユウも人造人間という事である。
「ユウさんがガイノイド?」
「はい」
「けど、ユウ氏は何処からどう見ても生身の人間だ」
失礼と思いながらも二人はユウの肘や手首、膝などの関節部分を凝視した。
しかしその何処を見ても滑らかな人間の皮膚そのもので、オルトも、イデアは特にユウの言葉がにわかに信じがたかった。
「きっとこれを見たら嫌でも信じられますよ」
嘘ではないと、イデアとオルトの二人に微笑みかけたユウは自身の頭部に手を伸ばすと掴み上部へと持ち上げる。
そしていとも簡単に首から外れたユウの頭部。
オルトは驚きで何時もより数センチ高く浮き上がりイデアはそんなオルトにしがみ付く様にして悲鳴を上げた。
首が外れてもなお愛らしく、驚く二人をおかしそうに見て笑うユウに、彼女の話は本当なのだと信じざるを得なかった。
「今のでユウ氏がガイノイドなのは分かったけど普通に飲食してたよね?」
イデアの懇願によりユウの首はすぐさま元に戻された。
「私を作った博士の希望でエネルギーを経口摂取する必要がありまして」
人間と同様に食物を取り込み、それを動力に変換しているのだという。
有機物であれば何でも良いのだと言うユウにイデアはマスターシェフで彼女が審査員で選ばれた時の事を思い出した。
黙々と炭化した料理の成れの果てを食べ切っていた事を思い出しそういう事だったのかと納得する。
その後も暫く、二人の質問は続いた。
ユウを作った博士はあくまでも彼女に人間らしさを求めていたらしくオルトの様に空も飛べなければビームも搭載されていないらしい。
特殊な素材で出来ているが為、頑丈ではあるもののそれを除けば人間の女性と変わりがないのだとか。
質問がひと段落した所でユウはオルトを窺い見た。
「オルト君は私がガイノイドでも好きなままでいてくれる?」
「勿論!寧ろユウさんとずっと一緒にいられると分かって凄く嬉しいな」
互いの頬を突き合わせぎゅうぎゅうと抱きしめ合い会話する二人。
「てぇてぇ」
微笑ましい二人のやり取りにイデアは心の内で合掌し、拝んだ。
こうしてオルトとユウの二人は仲睦まじく寄り添い、微笑み合い、機能停止という死が二人を別つまで楽しく過ごしましたとさ
めでたしめでたし。