twst短編
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狐の窓という物がある。
両の手共に指で狐を作り、耳の部分を交差させ、残りの指全てを絡ませて形作った窓を覗くと不思議なモノが見えるという。
相手が妖や妖怪等で、その姿を偽っているのならばそれを見破り本来の姿を見る事が出来るという術である。
それをユウは異世界の学園の廊下で行っていた。
グリムとエース達が先程迄行われていた錬金術の授業でやらかし、担当であるクルーウェルに叱られていて、そんな彼等を待つユウは暇だった。
暇潰しにと異世界に来る前にネットの海で見かけた狐の窓を思い出し試して見る。
元の世界では妖や妖怪に効果がある術であるがこの獣人、人魚、妖精に魔獣とファンタジー溢れるこの世界ではどの様に作用するのか半信半疑に試してみると意外にも効果はあった。
異世界で行う狐の窓は変身薬で変じた姿を暴くらしく怪訝な顔をしてユウの前を通り過ぎる幾人かの姿がいつぞやの珊瑚の海で見た人魚達と似た姿で見えた。
遠目にリーチ兄弟が見え、彼等に窓を向ければ何度か見た青い肌をした人魚の姿の彼等が見える。
これは面白いと周りの目も気にせず狐の窓を覗いていたユウは人混みの中に馴染みの顔を見つけた。
それはツノ太郎であった。
思わず指を解いて手を振り、声を掛けようとしたユウであるが天へと伸びる立派な角を見て指を解くのをやめる。
以前から謎に思っていたツノ太郎の正体が分かるかもしれないとユウは好奇心に負けて狐の窓を覗き込んだ。
「あれ?」
狐の窓越しに見るツノ太郎の姿は実際に見るのとではとかなり異なっていた。
ある筈の場所にツノ太郎の姿はなく、窓越しの視界は真っ黒である。
何処か黒光りした、艶のある鱗の様なものが窓から見え、ユウはそれが何なのか知るべく窓の向きをずらして探る。
そしてユウは見た。
黒い鱗に覆われた巨大な体躯、筋張った翼。
そして見覚えのある角、黄緑色の瞳の側には大きな口。
それは元の世界では映画や絵でしか見る事が叶わないドラゴンであった。
その大きさ、迫力に圧巻されたユウは口をぱかりと開けたまま床へと尻餅をつく。
「おわっ?!どうしたんだよユウ」
「そんな所で座ったりしてどうしたんだ」
ちょうどそこへクルーウェルの説教を終え、少しばかり草臥れた様子のエース達がやって来た。
彼等は廊下で座るユウに驚き何事かと騒ぐ。
「いや、ちょっと驚いたらバランスを崩しちゃってそのまま」
「なんだよ。驚かせるなよな」
「立てるか?手を貸そう」
事のあらましを聞き安堵の息を吐くエースの横でデュースはユウに手を差し伸べた。
その手を掴み、立ち上がるユウは再びツノ太郎がいた場所を見る。
エース達の騒ぐ声が聞こえたのかツノ太郎は人混みの向こうからユウを見ていた。
そして目が合うと瞳を細めて口を動かす。
み た な
ツノ太郎の口は確かにそう動いていた。
そしてツノ太郎の言う「みたな」とは一体いつの事を言っているのか。
ユウは漠然と、きっと狐の窓で覗いた時の事だろうと思った。
だとすればいつから気付いていたのか暫く俯き考えていたユウであるが再び顔を上げたときにはツノ太郎の姿は人混みの中にはなくなっていた。
「オマエおかしいんだゾ」
放課後、学園から寮へと戻るとグリムは振り返りユウにそう告げた。
「そうかな」
「そうなんだゾ!オマエが授業中もずっとボケてるからトレインセンセイにオレ様迄叱られたんだからな」
「それは面目ない」
「という訳でオレ様はエース達の所に遊びに行くからユウは大人しく寝てるんだゾ」
そう言ってグリムは教科書を床へと置き去りにして素早く寮を飛び出した。
宿題を済ませていないだとかせめて教科書は部屋に置くとか言いたい事は山程あったがグリムなりに気遣っている事に気付いたユウはそのまま見送った。
床に置いたままのグリムの教科書を抱え上げたユウは鳴らされたドアベルに駆けた。
少し間を開けて再び鳴らされたドアベルに返事をしたユウはドアノブを掴み開く。
「ツノ太郎、さっき振り」
「ああ」
「今日はどうしたの?どうぞ入って」
扉の向こうに立つツノ太郎にユウは一瞬、胸を跳ね上げながらも招き入れる。
いつにも増して口数が少ないツノ太郎を談話室へと誘導し、ソファーへと座らせるとユウはお茶を用意すべく台所へと向かった。
普段使いのお茶に手を伸ばしかけた所で最近貰ったばかりの良い茶葉の存在を思い出したユウはそちらを手に取り、二人分のお茶を入れる。
何かお茶請けになる様なお菓子はあったかと今度は戸棚に手を伸ばし、やはり貰い物のチョコを見つけた。
美味しくてお高い、今の自分の環境ではなかなか手を出せないからとグリムと共に少しずつ大切に食べていたチョコであるがユウは一切の躊躇いを捨ててお皿に並べる。
何故ツノ太郎が突然にオンボロ寮に尋ねて来たのか、ユウには身に覚えがあった。
「やっぱり昼間の事だよね」
半信半疑とはいえツノ太郎の本来の姿を見てしまった事だろうとユウは検討をつけていた。
実際、狐の窓越しにツノ太郎の姿を見た後、互いに目を合わせており、ツノ太郎の様子から向こうが気付いているのは確かである。
「何時もより口数が少ないし絶対怒ってる」
お盆にお詫びの気持ちのチョコとお茶を載せたユウは溜息を吐いた。
談話室に戻るとツノ太郎はソファーから窓の外を見ていた。
空は紺色に染まりつつあり幾つかの光の強い星達が既に瞬いている。
「お待たせツノ太郎」
ユウはテーブルへとお茶とチョコの乗ったお皿を並べた。
そしてツノ太郎の機嫌を伺いながらもお茶を勧めたりチョコについて話すのだがツノ太郎の返事はというと返しはあるものの生返事ばかり。
ユウは居心地の悪さを紛らわせる為に何度もカップに口を付けた。
そしてとうとうカップの中は空となりおかわりするか否か悩んでいるところでツノ太郎は口を開く。
「昼間の事だが」
ユウは来たと思った。
想像した通りの話題にユウは緊張してカップを抱える手に力を込める。
「お前は僕の姿を見たな?」
「ごめんなさい!!」
ユウはソファーから立ち上がると腰を直角に折り曲げて頭を下げた。
「ほんの出来心だったんです。何でか覗いたら目で見るのと違うみんなの姿が見えて楽しくて、それでツノ太郎を見つけて半信半疑で覗いて、それで」
ユウは懸命に思いつく限りの謝罪と反省の言葉を述べた。
そしてそれだけでは足りないと罰を求め、煮るなり焼くなり、ツノ太郎の気が済む様にしてほしいと願った所でツノ太郎は待ったを入れる。
「僕はお前を焼くつもりはない」
「じゃあ煮込むの?」
「煮込みもしない」
ツノ太郎はユウがカップの取手を握り過ぎて色の変わった指を撫でた。
そして俯いていたユウの顔を覗き込む。
「今から僕が尋ねる事に正直に答えてくれ」
嘘偽りなく、と念を押されてユウは頷く。
「お前は僕の正体を見て恐ろしいと思ったか?」
「恐ろしい?」
「恐怖を感じ、逃げたいと思わなかったか?」
ツノ太郎は身体を近づけて、ユウの腕を掴む。
「恐くはなかったけど」
「けど?」
「大きくてカッコいいと思ったよ」
「お前は僕のあの姿を見てそう言えるのか」
するりと腕を掴んでいたツノ太郎の手は離れた。
ツノ太郎は口元を押さえておかしそうに笑う。
そんなツノ太郎の様子に居た堪れない気分となったユウはソファーに座り直すと頬を膨らませ、唇を尖らせながらカップにおかわりのお茶を注いだ。
「そんなに私がドラゴンをカッコいいって言ったのがおかしいの?」
「いや、構わない。だが想定していた答えとかなり違ったものだから」
そこで言葉を途切れさせて再び笑い出すツノ太郎に片眉を上げたユウはカップの中身を一気に煽る。
「しかし良かった。これで僕は心置きなくお前の元に嫁げる」
ツノ太郎の言葉にユウはお茶を流し入れる先を誤り盛大に咽せた。
口を押さえて暫く咳き込んだユウは口元をハンカチで拭いながらツノ太郎を見据える。
「それって冗談だよね?」
「何だ。僕の言葉が信じられないか」
「いやいやいや!何で今の流れでツノ太郎が私の所に嫁ぐ話になるの?!」
冗談以外あり得ないとユウは訴える。
「これも谷の掟なのだから仕方あるまい」
そしてツノ太郎の口から語られたのはユウからすれば荒唐無稽な話であった。
ツノ太郎の住む場所は昔からのしきたりや掟に厳しい場所で、その掟の一つに人間ではない本来の姿を他者に暴かれた場合、その者の元に嫁がなくてはならないというものがあるのだという。
まさに今の自分達の状況で、ユウは開いた口が塞がらない。
「まあ、僕は他所へ嫁げる身ではない為実際はお前を嫁に迎える事になるがな」
恭しくユウの左手を手に取ったツノ太郎は薬指に口付けをして微笑む。
「これから末永く頼む」
こうしてユウは己の軽率な行動により突如として旦那を手に入れたたのであった。
両の手共に指で狐を作り、耳の部分を交差させ、残りの指全てを絡ませて形作った窓を覗くと不思議なモノが見えるという。
相手が妖や妖怪等で、その姿を偽っているのならばそれを見破り本来の姿を見る事が出来るという術である。
それをユウは異世界の学園の廊下で行っていた。
グリムとエース達が先程迄行われていた錬金術の授業でやらかし、担当であるクルーウェルに叱られていて、そんな彼等を待つユウは暇だった。
暇潰しにと異世界に来る前にネットの海で見かけた狐の窓を思い出し試して見る。
元の世界では妖や妖怪に効果がある術であるがこの獣人、人魚、妖精に魔獣とファンタジー溢れるこの世界ではどの様に作用するのか半信半疑に試してみると意外にも効果はあった。
異世界で行う狐の窓は変身薬で変じた姿を暴くらしく怪訝な顔をしてユウの前を通り過ぎる幾人かの姿がいつぞやの珊瑚の海で見た人魚達と似た姿で見えた。
遠目にリーチ兄弟が見え、彼等に窓を向ければ何度か見た青い肌をした人魚の姿の彼等が見える。
これは面白いと周りの目も気にせず狐の窓を覗いていたユウは人混みの中に馴染みの顔を見つけた。
それはツノ太郎であった。
思わず指を解いて手を振り、声を掛けようとしたユウであるが天へと伸びる立派な角を見て指を解くのをやめる。
以前から謎に思っていたツノ太郎の正体が分かるかもしれないとユウは好奇心に負けて狐の窓を覗き込んだ。
「あれ?」
狐の窓越しに見るツノ太郎の姿は実際に見るのとではとかなり異なっていた。
ある筈の場所にツノ太郎の姿はなく、窓越しの視界は真っ黒である。
何処か黒光りした、艶のある鱗の様なものが窓から見え、ユウはそれが何なのか知るべく窓の向きをずらして探る。
そしてユウは見た。
黒い鱗に覆われた巨大な体躯、筋張った翼。
そして見覚えのある角、黄緑色の瞳の側には大きな口。
それは元の世界では映画や絵でしか見る事が叶わないドラゴンであった。
その大きさ、迫力に圧巻されたユウは口をぱかりと開けたまま床へと尻餅をつく。
「おわっ?!どうしたんだよユウ」
「そんな所で座ったりしてどうしたんだ」
ちょうどそこへクルーウェルの説教を終え、少しばかり草臥れた様子のエース達がやって来た。
彼等は廊下で座るユウに驚き何事かと騒ぐ。
「いや、ちょっと驚いたらバランスを崩しちゃってそのまま」
「なんだよ。驚かせるなよな」
「立てるか?手を貸そう」
事のあらましを聞き安堵の息を吐くエースの横でデュースはユウに手を差し伸べた。
その手を掴み、立ち上がるユウは再びツノ太郎がいた場所を見る。
エース達の騒ぐ声が聞こえたのかツノ太郎は人混みの向こうからユウを見ていた。
そして目が合うと瞳を細めて口を動かす。
み た な
ツノ太郎の口は確かにそう動いていた。
そしてツノ太郎の言う「みたな」とは一体いつの事を言っているのか。
ユウは漠然と、きっと狐の窓で覗いた時の事だろうと思った。
だとすればいつから気付いていたのか暫く俯き考えていたユウであるが再び顔を上げたときにはツノ太郎の姿は人混みの中にはなくなっていた。
「オマエおかしいんだゾ」
放課後、学園から寮へと戻るとグリムは振り返りユウにそう告げた。
「そうかな」
「そうなんだゾ!オマエが授業中もずっとボケてるからトレインセンセイにオレ様迄叱られたんだからな」
「それは面目ない」
「という訳でオレ様はエース達の所に遊びに行くからユウは大人しく寝てるんだゾ」
そう言ってグリムは教科書を床へと置き去りにして素早く寮を飛び出した。
宿題を済ませていないだとかせめて教科書は部屋に置くとか言いたい事は山程あったがグリムなりに気遣っている事に気付いたユウはそのまま見送った。
床に置いたままのグリムの教科書を抱え上げたユウは鳴らされたドアベルに駆けた。
少し間を開けて再び鳴らされたドアベルに返事をしたユウはドアノブを掴み開く。
「ツノ太郎、さっき振り」
「ああ」
「今日はどうしたの?どうぞ入って」
扉の向こうに立つツノ太郎にユウは一瞬、胸を跳ね上げながらも招き入れる。
いつにも増して口数が少ないツノ太郎を談話室へと誘導し、ソファーへと座らせるとユウはお茶を用意すべく台所へと向かった。
普段使いのお茶に手を伸ばしかけた所で最近貰ったばかりの良い茶葉の存在を思い出したユウはそちらを手に取り、二人分のお茶を入れる。
何かお茶請けになる様なお菓子はあったかと今度は戸棚に手を伸ばし、やはり貰い物のチョコを見つけた。
美味しくてお高い、今の自分の環境ではなかなか手を出せないからとグリムと共に少しずつ大切に食べていたチョコであるがユウは一切の躊躇いを捨ててお皿に並べる。
何故ツノ太郎が突然にオンボロ寮に尋ねて来たのか、ユウには身に覚えがあった。
「やっぱり昼間の事だよね」
半信半疑とはいえツノ太郎の本来の姿を見てしまった事だろうとユウは検討をつけていた。
実際、狐の窓越しにツノ太郎の姿を見た後、互いに目を合わせており、ツノ太郎の様子から向こうが気付いているのは確かである。
「何時もより口数が少ないし絶対怒ってる」
お盆にお詫びの気持ちのチョコとお茶を載せたユウは溜息を吐いた。
談話室に戻るとツノ太郎はソファーから窓の外を見ていた。
空は紺色に染まりつつあり幾つかの光の強い星達が既に瞬いている。
「お待たせツノ太郎」
ユウはテーブルへとお茶とチョコの乗ったお皿を並べた。
そしてツノ太郎の機嫌を伺いながらもお茶を勧めたりチョコについて話すのだがツノ太郎の返事はというと返しはあるものの生返事ばかり。
ユウは居心地の悪さを紛らわせる為に何度もカップに口を付けた。
そしてとうとうカップの中は空となりおかわりするか否か悩んでいるところでツノ太郎は口を開く。
「昼間の事だが」
ユウは来たと思った。
想像した通りの話題にユウは緊張してカップを抱える手に力を込める。
「お前は僕の姿を見たな?」
「ごめんなさい!!」
ユウはソファーから立ち上がると腰を直角に折り曲げて頭を下げた。
「ほんの出来心だったんです。何でか覗いたら目で見るのと違うみんなの姿が見えて楽しくて、それでツノ太郎を見つけて半信半疑で覗いて、それで」
ユウは懸命に思いつく限りの謝罪と反省の言葉を述べた。
そしてそれだけでは足りないと罰を求め、煮るなり焼くなり、ツノ太郎の気が済む様にしてほしいと願った所でツノ太郎は待ったを入れる。
「僕はお前を焼くつもりはない」
「じゃあ煮込むの?」
「煮込みもしない」
ツノ太郎はユウがカップの取手を握り過ぎて色の変わった指を撫でた。
そして俯いていたユウの顔を覗き込む。
「今から僕が尋ねる事に正直に答えてくれ」
嘘偽りなく、と念を押されてユウは頷く。
「お前は僕の正体を見て恐ろしいと思ったか?」
「恐ろしい?」
「恐怖を感じ、逃げたいと思わなかったか?」
ツノ太郎は身体を近づけて、ユウの腕を掴む。
「恐くはなかったけど」
「けど?」
「大きくてカッコいいと思ったよ」
「お前は僕のあの姿を見てそう言えるのか」
するりと腕を掴んでいたツノ太郎の手は離れた。
ツノ太郎は口元を押さえておかしそうに笑う。
そんなツノ太郎の様子に居た堪れない気分となったユウはソファーに座り直すと頬を膨らませ、唇を尖らせながらカップにおかわりのお茶を注いだ。
「そんなに私がドラゴンをカッコいいって言ったのがおかしいの?」
「いや、構わない。だが想定していた答えとかなり違ったものだから」
そこで言葉を途切れさせて再び笑い出すツノ太郎に片眉を上げたユウはカップの中身を一気に煽る。
「しかし良かった。これで僕は心置きなくお前の元に嫁げる」
ツノ太郎の言葉にユウはお茶を流し入れる先を誤り盛大に咽せた。
口を押さえて暫く咳き込んだユウは口元をハンカチで拭いながらツノ太郎を見据える。
「それって冗談だよね?」
「何だ。僕の言葉が信じられないか」
「いやいやいや!何で今の流れでツノ太郎が私の所に嫁ぐ話になるの?!」
冗談以外あり得ないとユウは訴える。
「これも谷の掟なのだから仕方あるまい」
そしてツノ太郎の口から語られたのはユウからすれば荒唐無稽な話であった。
ツノ太郎の住む場所は昔からのしきたりや掟に厳しい場所で、その掟の一つに人間ではない本来の姿を他者に暴かれた場合、その者の元に嫁がなくてはならないというものがあるのだという。
まさに今の自分達の状況で、ユウは開いた口が塞がらない。
「まあ、僕は他所へ嫁げる身ではない為実際はお前を嫁に迎える事になるがな」
恭しくユウの左手を手に取ったツノ太郎は薬指に口付けをして微笑む。
「これから末永く頼む」
こうしてユウは己の軽率な行動により突如として旦那を手に入れたたのであった。