自称グルメ(と書いて下手物食い)の監督生
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午後の授業をさぼり森で悠々と眠るレオナ。
そこに這い寄る気配に反応するレオナであったがそれがこの学園で一番無害な草食動物だと気付き警戒を緩めた。
何故か森の奥から出てきたユウはいつぞやのようにレオナの尻尾を踏みそうになり、留まる。
そしてそのまま静かに立ち去ればいいものを何を思ったのか眠るレオナに声を掛けてきた。
「おはようございますレオナ先輩。と言っても既に午後ですが」
「・・・」
レオナの返事は無い。
起きてはいるし、しっかりとユウの声は聞こえている。
しかしあくまでも昼寝を装うレオナは返事をしない。
「またさぼりですか?まあ今日は良い天気ですしさぼりたくなるお気持ちは分からなくもないですが」
「・・・」
返事が無いにも関わらず話しかけてくるユウに何処かに行けよ、とレオナは思った。
思わず眉間に皺を寄せそうになったが何とか踏み止まる。
「どっこいしょ」
「アァ?」
そんな年寄り臭い掛け声と共にユウが己の側に座る気配を感じ、とうとう我慢が出来なくなったレオナは声を上げた。
「やっと寝たフリを止めてくれましたね」
籠を抱えてしたり顔で笑うユウ。
どうやら初めからレオナの寝たフリに気付いていたらしいユウにレオナは内心、彼女の評価を改めた。
ただの草食動物ではない。
寝た子を起こしてはいけない類いの、温和そうな見た目ながらライオンやワニをも蹴散らすカバの姿が頭を過った。
「それで?授業をサボる俺に説教でもするのか?」
頭に浮かんだカバの姿を追い払い、レオナは別の話題を振った。
レオナは授業をサボっているがユウだってこの時間は授業がある筈なのである。
だというのに森にいるユウにレオナは自分の事は棚に上げて彼女のサボりを指摘した。
レオナ指摘を受けたユウは心外だと言わんばかりに表情を顰めさせる。
「私は先輩と違い、許可を貰ってここにいるんです」
ユウのクラスは今の時間、飛行術であった。
しかしユウ自身は箒で空を飛べない為、その時間は大体バルガスの手伝いや筋トレをして過ごしている。
しかし、今日は殆どを空の上で過ごす為バルガスの手伝いは不要で、与えられた筋トレのノルマも終えたユウは許可を得て森に来ていた。
「森で何をしてた。木の実でも摘んでたのか」
自国の女でもないユウがわざわざ森に入ったと聞いてそれぐらいしか目的は浮かばなかった。
「勿論それらは美味しくいただいたのですが本命はこっちですね!」
そう言ってユウは来た時から抱えていた籠をレオナへと傾けた。
そこには色鮮やかな紅色の茸で埋もれている。
「おい、全部毒茸じゃねぇか」
どれを見ても立派な毒茸にレオナは呆れて言った。
「でも、美味しいですよ。ベニテングダケ」
「美味しいって、食える訳がないだろ。毒茸だぞ」
そこでレオナは言葉を止めて、先程のユウとの会話を思い出す。
美味しいと、さも食べたかの様な発言にレオナはまさかとは思いユウの目を見た。
ベニテングダケの毒性は強くはないが食後の20分から30分で瞳孔の開き、酩酊等の症状が現れる。
しかし今のユウにはその様な症状は見られない。
ならばまだ食べていないのかレオナにも判断しかねる。
「半分は乾燥させて、残りの半分は茹でてから塩漬け、それに生をちょびっとだけ齧って」
愛おしそうに籠を撫でるユウ。
そのユウの口から聞こえた齧るという言葉からレオナはユウがこの後本気でベニテングダケを食べる気でいるのだと理解した。
「おーいユウ。バルガス先生が授業が終わるから戻れだってさ」
何事もなく空の旅を終えたエースはバルガスの指示でユウを探しに来ていた。
ユウが何故か籠を持って森に入るのを空から見ていたエースは何度もユウを呼び続ける。
そうしている内に誰かが揉めている声が聞こえた。
一つはエースの探すユウで、もう一人の声に覚えはあるのだが誰か迄は思い出せない。
「だーかーらー毒茸は食うなって言ってるだろうが!!!」
「だけど、ベニテングダケは毒茸ながら旨味成分に溢れた茸で、塩漬けすれば多分だけど毒も中和されて食べられるんです」
言い争う二人は森の中の開けた場所にいた。
聞いた事があるけれど思い出せなかった声の主はレオナで、何故か籠を持ち上げている。
それは森に入るユウが背負っていた籠で、それを取り戻したいのかユウは手を伸ばし、必死にレオナの周りを飛び跳ねていた。
何だこれは、と思ったエースの後方からまた別の声がする。
「トラッポラ、監督生は見つかったか!」
それはバルガスの声だった。
バルガスの大きくよく通る声はレオナやユウにも聞こえたらしく二人は動きを止めた為、エースは声を張り上げバルガスに言葉を返した。
「先生、レオナ先輩がユウをいじめてまーす」
ユウと、ついでに回収されたレオナの言い争いはバルガスが裁くには荷が重く、言い争いの内容と、レオナが本来受講する授業が魔法薬であった為その担当教諭であるクルーウェルに託された。
「毒茸だと分かっていて食べる奴があるか!」
事のあらましを聞いたクルーウェルは額に青筋を浮かべ、部屋に鞭の音を響かせた。
「でも、ちゃんと塩漬けすればただの美味しい茸になるんです」
「このバッドガール!」
「ひょあっ」
鞭の音と共にクルーウェルの怒りの声が雷の如く落ちた。
「素人が茸を甘く見るな」
レオナが似た事を言った時はあまり聞いていないようであったが凄まじい剣幕のクルーウェルに流石のユウも悄然としていた。
背中を丸め、椅子よりも姿勢が低くなるユウをレオナは鼻で笑った。
そこで再び鞭の音が響く。
「レオナ・キングスカラー。この俺の授業をサボりながら笑っているとは良い度胸だ」
その度胸を讃えて課題を授けると言われ渋顔となったレオナに今度はユウが笑った。
だがクルーウェルの言葉はまだ終わらない。
「先日、毒茸の危険性について講義したにも関わらず毒茸を食そうとしたユウにも特別に課題を与える」
これまで授業で習った全ての茸の毒と薬理についてのレポートの提出を申しつけられたユウは表情を一転し、あんまりだと嘆いた。
「ちょっと夕飯のおかずを増やそうと思っただけなのに」
「わざわざ食卓に毒茸を置く必要はないだろ」
何を考えてるんだと零したレオナにクルーウェルも呆れながら頷いた。
「そもそも仔犬、お前は学園長から生活費を貰っている筈だ」
「それが節約をしてはいるんですが一人と一匹であの食費は辛いものがありまして、だったら足りない分は自給自足でどうにかしようかと」
「それはいい心がけだが毒茸は止めろ。取るにしても食用、それも俺が確認をしてからだ」
「分かりました」
「自給自足と言っても茸だけじゃどうにもならねぇだろ」
茸にも季節がある。
学園の敷地内で取れる茸は秋が旬の物が殆ど、だったら秋以外の季節はどうするつもりなのかレオナは何気なく尋ねた。
「茸が駄目な時期は兎や栗鼠、蛇も良いですよね。後は食べれるカエルが見つかったのでその子達」
ユウの楽しげな返答に二人は無言で固まった。
「この間のはちのこは大正解だったのでまた食べたいな」
余程美味しかったのかうっとりとした表情で零したユウ。
想像したのか顔色が悪くなったクルーウェルを眺めながらそういえば食堂でそんな騒ぎがあった事をレオナはぼんやりと思い出した。
その日はちょうど食堂に来ていてリドルとその他ハーツラビュル生がはちのこを食べて騒いでいたのである。
その騒ぎは途中から昆虫食の是非で揉めていた。
因みにレオナ自身はわざわざ虫を食べる趣味はないが肯定派であった。
というのもレオナの故郷である夕焼けの草原では日常的に昆虫食を行う種族は一定数いる為である。
その時、レオナと一緒にいたラギーも肯定派。
曰く食糧が乏しい時の貴重なタンパク源だと言っていたので、ラギーとユウは実は相性がすこぶる良いのでは、とこの時のレオナは思った。
「いや、流石のオレも毒のある物を分かってて食べたりはしないっスよ」
クルーウェルが、自身の受け持つ生徒が生活に困った挙句に虫を食べていたと知り、かなり顔色を悪くさせていた事を愉快そうにラギーへと話すのにレオナは今日あったユウの事も話していた。
そして先程のラギーの言葉ではある。
「食べ物を探してうっかり、何て事はあるっスけど、ユウくんは毒茸の分かってた上でまだ食べようとしてたんでしょ?」
レオナが肯定すればラギーは眉を潜め「ないわー」と零した。
「しっかし意外っスね」
「何がだ」
「ユウくんって、オレ的には何処か良いとこのお嬢さんだと思ってたんスけど」
勘が外れたとラギーは己の頭を掻いて零した。
「茸に毒があると分かってても食べてる何て今迄の人生、余程食うのに苦労してきたかただの阿保っスね」
「苦労か」
あくまで他人事、と言った感じで呟いたラギーの言葉は何故かレオナの頭に残った。
そこに這い寄る気配に反応するレオナであったがそれがこの学園で一番無害な草食動物だと気付き警戒を緩めた。
何故か森の奥から出てきたユウはいつぞやのようにレオナの尻尾を踏みそうになり、留まる。
そしてそのまま静かに立ち去ればいいものを何を思ったのか眠るレオナに声を掛けてきた。
「おはようございますレオナ先輩。と言っても既に午後ですが」
「・・・」
レオナの返事は無い。
起きてはいるし、しっかりとユウの声は聞こえている。
しかしあくまでも昼寝を装うレオナは返事をしない。
「またさぼりですか?まあ今日は良い天気ですしさぼりたくなるお気持ちは分からなくもないですが」
「・・・」
返事が無いにも関わらず話しかけてくるユウに何処かに行けよ、とレオナは思った。
思わず眉間に皺を寄せそうになったが何とか踏み止まる。
「どっこいしょ」
「アァ?」
そんな年寄り臭い掛け声と共にユウが己の側に座る気配を感じ、とうとう我慢が出来なくなったレオナは声を上げた。
「やっと寝たフリを止めてくれましたね」
籠を抱えてしたり顔で笑うユウ。
どうやら初めからレオナの寝たフリに気付いていたらしいユウにレオナは内心、彼女の評価を改めた。
ただの草食動物ではない。
寝た子を起こしてはいけない類いの、温和そうな見た目ながらライオンやワニをも蹴散らすカバの姿が頭を過った。
「それで?授業をサボる俺に説教でもするのか?」
頭に浮かんだカバの姿を追い払い、レオナは別の話題を振った。
レオナは授業をサボっているがユウだってこの時間は授業がある筈なのである。
だというのに森にいるユウにレオナは自分の事は棚に上げて彼女のサボりを指摘した。
レオナ指摘を受けたユウは心外だと言わんばかりに表情を顰めさせる。
「私は先輩と違い、許可を貰ってここにいるんです」
ユウのクラスは今の時間、飛行術であった。
しかしユウ自身は箒で空を飛べない為、その時間は大体バルガスの手伝いや筋トレをして過ごしている。
しかし、今日は殆どを空の上で過ごす為バルガスの手伝いは不要で、与えられた筋トレのノルマも終えたユウは許可を得て森に来ていた。
「森で何をしてた。木の実でも摘んでたのか」
自国の女でもないユウがわざわざ森に入ったと聞いてそれぐらいしか目的は浮かばなかった。
「勿論それらは美味しくいただいたのですが本命はこっちですね!」
そう言ってユウは来た時から抱えていた籠をレオナへと傾けた。
そこには色鮮やかな紅色の茸で埋もれている。
「おい、全部毒茸じゃねぇか」
どれを見ても立派な毒茸にレオナは呆れて言った。
「でも、美味しいですよ。ベニテングダケ」
「美味しいって、食える訳がないだろ。毒茸だぞ」
そこでレオナは言葉を止めて、先程のユウとの会話を思い出す。
美味しいと、さも食べたかの様な発言にレオナはまさかとは思いユウの目を見た。
ベニテングダケの毒性は強くはないが食後の20分から30分で瞳孔の開き、酩酊等の症状が現れる。
しかし今のユウにはその様な症状は見られない。
ならばまだ食べていないのかレオナにも判断しかねる。
「半分は乾燥させて、残りの半分は茹でてから塩漬け、それに生をちょびっとだけ齧って」
愛おしそうに籠を撫でるユウ。
そのユウの口から聞こえた齧るという言葉からレオナはユウがこの後本気でベニテングダケを食べる気でいるのだと理解した。
「おーいユウ。バルガス先生が授業が終わるから戻れだってさ」
何事もなく空の旅を終えたエースはバルガスの指示でユウを探しに来ていた。
ユウが何故か籠を持って森に入るのを空から見ていたエースは何度もユウを呼び続ける。
そうしている内に誰かが揉めている声が聞こえた。
一つはエースの探すユウで、もう一人の声に覚えはあるのだが誰か迄は思い出せない。
「だーかーらー毒茸は食うなって言ってるだろうが!!!」
「だけど、ベニテングダケは毒茸ながら旨味成分に溢れた茸で、塩漬けすれば多分だけど毒も中和されて食べられるんです」
言い争う二人は森の中の開けた場所にいた。
聞いた事があるけれど思い出せなかった声の主はレオナで、何故か籠を持ち上げている。
それは森に入るユウが背負っていた籠で、それを取り戻したいのかユウは手を伸ばし、必死にレオナの周りを飛び跳ねていた。
何だこれは、と思ったエースの後方からまた別の声がする。
「トラッポラ、監督生は見つかったか!」
それはバルガスの声だった。
バルガスの大きくよく通る声はレオナやユウにも聞こえたらしく二人は動きを止めた為、エースは声を張り上げバルガスに言葉を返した。
「先生、レオナ先輩がユウをいじめてまーす」
ユウと、ついでに回収されたレオナの言い争いはバルガスが裁くには荷が重く、言い争いの内容と、レオナが本来受講する授業が魔法薬であった為その担当教諭であるクルーウェルに託された。
「毒茸だと分かっていて食べる奴があるか!」
事のあらましを聞いたクルーウェルは額に青筋を浮かべ、部屋に鞭の音を響かせた。
「でも、ちゃんと塩漬けすればただの美味しい茸になるんです」
「このバッドガール!」
「ひょあっ」
鞭の音と共にクルーウェルの怒りの声が雷の如く落ちた。
「素人が茸を甘く見るな」
レオナが似た事を言った時はあまり聞いていないようであったが凄まじい剣幕のクルーウェルに流石のユウも悄然としていた。
背中を丸め、椅子よりも姿勢が低くなるユウをレオナは鼻で笑った。
そこで再び鞭の音が響く。
「レオナ・キングスカラー。この俺の授業をサボりながら笑っているとは良い度胸だ」
その度胸を讃えて課題を授けると言われ渋顔となったレオナに今度はユウが笑った。
だがクルーウェルの言葉はまだ終わらない。
「先日、毒茸の危険性について講義したにも関わらず毒茸を食そうとしたユウにも特別に課題を与える」
これまで授業で習った全ての茸の毒と薬理についてのレポートの提出を申しつけられたユウは表情を一転し、あんまりだと嘆いた。
「ちょっと夕飯のおかずを増やそうと思っただけなのに」
「わざわざ食卓に毒茸を置く必要はないだろ」
何を考えてるんだと零したレオナにクルーウェルも呆れながら頷いた。
「そもそも仔犬、お前は学園長から生活費を貰っている筈だ」
「それが節約をしてはいるんですが一人と一匹であの食費は辛いものがありまして、だったら足りない分は自給自足でどうにかしようかと」
「それはいい心がけだが毒茸は止めろ。取るにしても食用、それも俺が確認をしてからだ」
「分かりました」
「自給自足と言っても茸だけじゃどうにもならねぇだろ」
茸にも季節がある。
学園の敷地内で取れる茸は秋が旬の物が殆ど、だったら秋以外の季節はどうするつもりなのかレオナは何気なく尋ねた。
「茸が駄目な時期は兎や栗鼠、蛇も良いですよね。後は食べれるカエルが見つかったのでその子達」
ユウの楽しげな返答に二人は無言で固まった。
「この間のはちのこは大正解だったのでまた食べたいな」
余程美味しかったのかうっとりとした表情で零したユウ。
想像したのか顔色が悪くなったクルーウェルを眺めながらそういえば食堂でそんな騒ぎがあった事をレオナはぼんやりと思い出した。
その日はちょうど食堂に来ていてリドルとその他ハーツラビュル生がはちのこを食べて騒いでいたのである。
その騒ぎは途中から昆虫食の是非で揉めていた。
因みにレオナ自身はわざわざ虫を食べる趣味はないが肯定派であった。
というのもレオナの故郷である夕焼けの草原では日常的に昆虫食を行う種族は一定数いる為である。
その時、レオナと一緒にいたラギーも肯定派。
曰く食糧が乏しい時の貴重なタンパク源だと言っていたので、ラギーとユウは実は相性がすこぶる良いのでは、とこの時のレオナは思った。
「いや、流石のオレも毒のある物を分かってて食べたりはしないっスよ」
クルーウェルが、自身の受け持つ生徒が生活に困った挙句に虫を食べていたと知り、かなり顔色を悪くさせていた事を愉快そうにラギーへと話すのにレオナは今日あったユウの事も話していた。
そして先程のラギーの言葉ではある。
「食べ物を探してうっかり、何て事はあるっスけど、ユウくんは毒茸の分かってた上でまだ食べようとしてたんでしょ?」
レオナが肯定すればラギーは眉を潜め「ないわー」と零した。
「しっかし意外っスね」
「何がだ」
「ユウくんって、オレ的には何処か良いとこのお嬢さんだと思ってたんスけど」
勘が外れたとラギーは己の頭を掻いて零した。
「茸に毒があると分かってても食べてる何て今迄の人生、余程食うのに苦労してきたかただの阿保っスね」
「苦労か」
あくまで他人事、と言った感じで呟いたラギーの言葉は何故かレオナの頭に残った。
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