マグル生まれの魔法使い
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ホグワーツに入学する9月1日迄、サフィニアとハリーは残りの長期休みを各々にのんびり過ごした。
サフィニアはダイアゴン横丁で買った書籍や教科書は勿論、暫く読めないからと地元の図書館で何冊も本を借りては朝から晩まで読んで、返却して借りて、また読んでを繰り返しハリーは来年の夏まで会えなくなるダドリーや彼と共通の友人達と外が暗くなるまで遊んだ。
横丁で仕立てた制服が家に届くとダドリーはスメルティングズの制服を、サフィニアとハリーはホグワーツの制服を着てペチュニアとバーノン見せる為お披露目会を開いた。
魔法魔術学校の制服が黒く長いローブを除いて他は普通な装いにバーノンは驚きダドリーは残念がった。
「もっとゲームのキャラクターみたいな格好を想像してたのに普通じゃんか!」
「というか地味ね」
ローブもネクタイもスカートもスラックスも黒。
シャツの白とベストの灰色がある為全身真っ黒と迄はいかないがペチュニアの言う通り地味であった。
「奇抜な服より地味な装いの方が良いだろう。
さあ、儂の可愛い小さな魔女や回ってその愛らしい姿を見せておくれ」
指名されたサフィニアはバーノンの前でくるりと回った。
バーノンに「もう一回」、「もっと」とせがまれて何度か回っているとハリーとダドリーはいつの間にか着替えて紅茶を飲んでソファで寛いでいる。
そんな二人に狡いと声を上げたサフィニアは自身も着替え様とバーノンの前で回るのを止めて二階の自室に向おうとしたがバーノンに止められた。
ペチュニアからバーノンは娘が遠くの寄宿学校へ行くのが寂しいのだと言われて仕方なくサフィニアはその後1時間、バーノンの記憶にサフィニアの姿が焼きつく迄くるくると回った。
最後にはバーノンは泣き出し、向かいのソファに座ったハリーに縋る。
「ハリー、ホグワーツに行ったらお前だけが頼りだ。サフィニアの事は頼んだぞ!」
「分かってるよ伯父さん」
バーノンはある年の夏以来、自分がサフィニアの近くにいられない時はハリーにサフィニアの事を頼む様になった。
それでも今迄はバーノンが会社の都合で家を離れる時など限りの短いものあったが今回は違う。
1年の殆どを遠い学校で過ごす為、サフィニアに限り心配症が過ぎるバーノンは同じ学校に通うハリーに頼るしかなく先程迄飲んでいたウイスキーの効果もあっておいおいとバーノンはハリーに泣き縋っていた。
ハリーの膝を泣き濡らすバーノンにペチュニアは今の内に着替えて来なさいとサフィニアをリビングから追い立てる。
バーノンの泣き声はリビングを出ても聞こえており、そんな父親の様子に苦笑いを浮かべていればサフィニアを追ってリビングから出て来たダドリーに声をかけられた。
「あっちの学校に行ったらあまりハリーから離れるなよ」
「ダドリー迄そんな事を言うの?家の男はみんな心配症なんだから」
やれやれと首を振るうサフィニアにダドリーは茶化すなと珍しく声を荒げる。
バーノンが穴あけドリルの製造会社グランニングズ社の社長だと言うのは近所どころか街の人が知っている程度に有名である。
そんな社長の子供であるダドリーとサフィニア。
特に昔から小柄な女児であるサフィニアは営利目的の誘拐で何度と危ない目に遭って来た。
そんなサフィニアを側で見て来たダドリーは見知らぬ土地で7年を過ごす妹の身を案じるがサフィニア本人は否と笑う。
「大丈夫だよダドリー。あっちとこっちじゃ価値観は違うから私がダーズリー家の子供だからって狙われない」
寧ろ魔法界に行った時の様子から自分よりハリーの身が危ないのではと思うのだが今それを話したらホグワーツへの入学を反対されかね無いのであくまでそれは心の内に秘めておく。
ダドリーはサフィニアの言葉に顔を歪めた。
「こんな事言うとパパもママも泣いちゃうかもしれないからさっきのは内緒ね」
「分かってるよ。それでもあんまりハリーから離れるなよ。お前ぼけっとしててすぐ虐められるからな」
サフィニアは虐められた事があるがそれは元はと言えばダドリーの横暴さに周りの子が業を煮やした結果である。
彼の妹ながら大人しいサフィニアを標的に八つ当たりをし、それが虐めへ発展したのだが本人はその事は知らないし遠方へ行く妹を心配するダドリーにサフィニアは空気を読みもしもの話を始めた。
「虐められたらハリーの梟を借りて助けを求めるからその時はよろしくねお兄ちゃん」
「そうなったらダドリー軍団の奴らを連れてホグワーツに乗り込んでやるよ」
魔法使い相手に立ち向かうと豪語するダドリーにサフィニアは微笑む。
「僕もホグワーツに行ければサフィニアを守れるのにな」
「まさかずっとホグワーツに行きたいって駄々捏ねてたのは私の為?」
「当たり前だろ!なんだと思ってたんだよ!」
ダドリーがホグワーツに行きたかったのは向こうの世界のお菓子や魔法というファンタジーな世界に憧れての事だと思っていたと話せば彼は怒って階段を駆け上がって来た。
その勢いに逃げながらサフィニアは笑って謝り階段を駆け上がる。
「ハリーじゃ貧弱過ぎて盾にもならないし!」
「ダドリー、ハリーは別に私のSPとかじゃ無いからね」
「けど、ハリーはいつもサフィニアを助けてくれるだろ」
ダドリーの言葉の通りハリーは虐めっ子に追いかければ手を引いて安全な所に引っ張ってくれたし不審者に声をかけられれば近くの大人を呼んで来てくれた。
そんなハリーの活躍の中で最たるは身代金目的で攫われた末、死にかけたサフィニアを助けた事だろう。
警察への通報に勘付いた誘拐犯に逃げない様にと狭いロッカーに閉じ込められたまま放置されたサフィニアは真夏の暑い気温の中、脱水症状を起こして死にかけていた。
そんなサフィニアを救出したハリーはバーノンとペチュニアから何度も感謝されそれまでの冷遇から一変してダーズリー家で他の子供達と同様に大切にされる様になった。
そんな経緯もありダドリーはサフィニアに何かあればハリーと、ダドリーが考える様にバーノンもハリーに対して同じ様な事を思っている。
階下から感極まったバーノンに抱きつかれでもしたのかハリーの悲鳴が聞こえた。
「私は大丈夫だから心配しないで」
「・・・手紙」
「ん?」
「僕もちゃんと返事書くから毎日手紙を送れよ!」
毎日は無理だとサフィニアは笑いダドリーと月に何度か手紙を送る約束をした。
そうして9月1日の朝が来る。
スメルティングズ校の入学式がある為式に参加するダドリーとペチュニアとは家の玄関で別れを惜しみ、駅の駐車場でこの後重要な会議があるというのになかなか出発しようとしないバーノンと何とか別れた。
学用品を買いに行った帰り、玄関でサフィニアとハリーはホグワーツ行きの汽車の切符をスネイプから受け取りハリーが切符に書かれた文字を読んで頭を傾げた。
曰く9と3/4番線などという乗り場はあの駅に存在しないと言うハリーにスネイプは深々と溜息を吐いて至極面倒臭そうに非魔法族には見えない秘密の入り口について教えてくれた。
「只の柵、だよね」
「何処をどう見ても」
スネイプは9番線と10番線の間にある柵に秘密の入り口があると言っていたが二人にはどう見ても扉もドアノブ一つ見当たらない。
カートいっぱいにトランクを乗せて壁を見つめるサフィニアとハリーは行き交う大人達に奇異に写るのか駅員にどうしたのか尋ねられては適当にはぐらかしつつその場から離れて、暫くしてから戻り、と一連の行動を何度も繰り返していた。
またしても駅員に声をかけられた二人は一度その場から離れて物陰から辺りの様子を窺っていたがサフィニアとは反対方向を窺っていたハリーがサフィニアの服の袖を引き一点を指差す。
ハリーの指が示す方を見れば自分達と同じく沢山のトランクや梟の入った籠を運ぶ赤毛の家族が目に付く。
同じ事を考えているのだろうサフィニアとハリーはお互いの顔を見つめ合い、暫くして物陰から飛び出した。
赤毛の家族との距離を縮めれば当たり前であるが一家の会話が聞こえる。
カートを押す兄弟であろう少年達の口から「ホグワーツ」という単語が聞こえて半信半疑で一家に近付いていた二人は確信を持って少年達の母親であろう女性に声をかけた。
「あの、すみません」
「あら、貴方達はホグワーツの新入生?」
穏やかな笑みで返してくれた女性は突然声をかけてきた二人を邪険にせず優しく対応してくれた。
荷物を見て二人を新入生と判断した女性は二人が声をかけた理由も察してくれて丁寧に秘密の入り口について教えてくれる。
彼女の息子達が手本となって次々に柵へ消えるのを見て理解したサフィニアとハリーは女性の応援を背に受けて二人同時に壁の中へと飛び込んだ。
薄い膜を通り抜けた様な感覚を感じた直後、先程迄いたプラットホームの喧騒とは違う賑わいにサフィニアは思わず閉じていた瞼を開く。
目の前には紅の車体に金の文字で「ホグワーツ特急」と書かれた機関車が時折蒸気を上げて出発を今か今かと待っていた。
初めて肉眼で見る機関車に口が開きっぱなしのサフィニアにハリーが笑う。
「驚き過ぎて変な顔になってるよ」
「そういうハリーは興奮してる?顔が赤いわ」
互いの顔を一度見つめ合い笑い声を漏らすと荷物を手に機関車内へと乗り込んだ。
二人は暫く車両の中を彷徨い漸く空いたコンパートメントを見つけた。
学用品や1年学校で過ごす生活用品や衣服が入ったトランクはとても重く、小柄なサフィニアとハリーでは荷物を押し上げるのは一苦労であったが先程お世話になった赤毛家族の双子、フレッドとジョージの登場と活躍により荷物の問題は解決した。
賑やかな双子のおかげで分かった事がある。
車内でハリー・ポッターに会ったと興奮気味に母親と話す双子の声を聞きながらサフィニアは本のページを捲った。
ハリー・ポッターの知名度は大人達だけでなく同世代にも有名らしい。
先程コンパートメントで目の前の少年がハリー・ポッターだと分かった時の双子の驚き様を思い出してサフィニアは笑いを零す。
対してハリーの表情は暗い。
「ホグワーツに行って会う人みんな自己紹介する度に驚くのかな」
「ホグワーツは寄宿学校だから始めは騒がれるかもね。でも始めのうちだけだと思うけど」
「そうだといいな」
散々ダイアゴン横丁で大人達に揉みくちゃにされたハリーは身に覚えの無い特別視にうんざりしているらしく窓に肘をつき暫しの別れを惜しむ人々の様子を眺めていた。
「あ、ドラコだ」
魔法界で初めての友人であるドラコを見つけたハリーは彼に向かって小さく手を振る。
サフィニアも窓から外を伺い、ハリーの誘導で両親であろう人達と一緒にいるドラコの姿を見つけると大きな声にはせず彼の名を呼び手を振った。
距離はそこそこに合ったが向こうも手を振る二人に気付いたらしく遠目でも分かる程に彼はアイスブルーの瞳を丸くさせていた。
「ドラコいなくなっちゃった」
「もうすぐ出発時間だから列車に乗り込んだんじゃない?」
二人のいるコンパートメントの窓の前を人が横切る間に見えていたドラコの姿は無くなっていた。
サフィニア言う通りホグワーツ特急が発車する午前11時を後数分に控えたホームは見送りの家族ばかりでホームを賑わせていた少年少女の姿はもう数える程しかない。
見送りがない二人は窓外を見るのを止めてサフィニアは本を読むのを再開し、ハリーは籠に入れていた白梟、ヘドウィグを籠から出して戯れていた。
コンパートメントの外が騒がしい。
誰かがコンパートメントの扉を開けては閉めてを繰り返しているのか開閉の音が遠くから近付いてくる。
隣のコンパートメントの扉が開けられ、すぐさま閉められてとうとう二人のいるコンパートメントの扉がノックされた。
ハリーの応答も最後迄聞かずに扉を開けたのは額に玉の様な汗を浮かべたドラコであった。
「やっと見つけたぞ君達」
荒い息を吐き出しコンパートメントに入って膝をついたドラコにサフィニアは読みかけの本を閉じて自分の隣の席へ着席を勧めた。
ドラコの急な訪問に驚いたヘドウィグを頭に乗せたハリーは自身の隣に置いていた鞄から大きな水筒を取り出し、付属のカップにお茶を注ぐと未だ息の整わないドラコへ差し出す。
「ペチュニア伯母さん特製のハーブティー。冷たくて美味しいよ」
「すまない、いただく」
「それでどうしたの。そんなに息を切らせて
誰かに追われていたの?」
誰かに追われていたのかとドラコに尋ねるサフィニアの頭は昨晩に家族全員で見たサスペンスドラマの影響で血と硝煙、親しい人の裏切りに塗れた妄想が絶賛製造中である。
そんな彼女思考回路を熟知したハリーはサフィニアの言葉に敢えて突っ込みも入れずドラコにお茶のお代わりを勧めた。
「ホームから列車に乗っている君達の姿が見えたから探していたんだ」
生憎二人のいたコンパートメントは前後の入り口から遠く、大体の目星を付けて列車に乗り込んだドラコは先程の様に片っ端からコンパートメントの扉を開けては閉めて中を確かめる他無かった。
発車時刻となったのか窓から聴こえる笛の音の後、振動と共に列車が走り出す。
既に別れの挨拶は済ませたというドラコとサフィニアは無理矢理席替えを行なうと丁度彼の両親が彼の姿を探して右往左往しており、他のコンパートメントの生徒同様にドラコは窓から顔を出して両親に手を振った。
別れの余韻そこそこに向かい合う席となったドラコとハリーがクィディッチの話を始めたので、魔法界のスポーツに興味が湧かないサフィニアは読みかけ本を開いて読書を再開する。
暫く会話をしていて、そこにサフィニアが参加していないのに気付いたドラコはサフィニアに何を読んでいるのか尋ねた。
本からサフィニアは顔を上げ掲げた本にドラコの眉が寄る。
「何だいそのきた、古めかしい本は」
「今、汚いって言いかけたねドラコ」
ハリーの指摘にドラコは呻いた。
しかしサフィニアが手に持つ本は汚いと評されても仕方ない程に痛み、表紙は剥げて何の本であるかすら分からない。
あまりの汚さに自宅のリビングに置いておけばペチュニアにゴミと勘違いされて廃棄予定の雑誌や本と共に紐で括られ、ダドリーには熱したケトルの鍋敷き代わりにされかけた。
そんなこともあった為まだ古めかしいと改めただけドラコはマシだとサフィニアは怒ったりしない。
「この本には魔法界の童話が載っているらしいんだけどドラコが知ってる話はある?」
少しでも雑に扱うと頁がバラけてしまいそうな本を受け取りドラコは驚愕する。
本の中身は英語でなく全てルーン文字で書かれていた。
「ハリー、君の従姉妹は何故ルーン文字が読める。一体何者なんだ」
「何者って、ただ知的好奇心が変な方向に向いてるだけだよ」
ちょっと変わっているんだと本人には聞こえない程の小声でハリーは笑って見せた。
物心付く前から一緒にいるハリーにとってサフィニアがマニアックな言語を理解しているのは些細な事で驚く程の事でもない。
「私は特に三人兄弟の話と毛だらけ心臓の魔法戦士の話が好きなんだけど」
「それなら僕も知っている。確かに有名な童話だ」
「その魔法戦士の話ってどんな話なの?」
珍妙なタイトルに興味を持ったハリーが尋ねた所でコンパートメントの扉が叩かれた。
誰ともなくコンパートメント内への入室を許せば見覚えのある赤毛の少年が顔を覗かせる。
「ここ空いてる?他のコンパートメントはどこもいっぱいなんだ」
「だったらここにいたら良いよ。席はまだ空いているからね」
ハリーの提案に赤毛の少年は表情を綻ばせて荷物と共に入ってきた。
同じ新入生であろう少年に笑顔で迎えるハリーとサフィニアに対してドラコの表情は不承不承といったところだろうか。
そんな彼の表情を不思議に思いながらも少年の荷物を荷台に上げるのをサフィニアは手伝う。
ハリーとサフィニアの二人だけの時と違い四人で力を合わせると意外に難なく済んだ。
見覚えはあるが名前の知らない少年と自己紹介という所で口を開いたのはドラコだった。
「赤毛にそばかす、君はウィーズリー家の子だろう」
確信めいたドラコの言葉に少年は首肯する。
「そうだよ。僕はロン・ウィーズリー」
そういう君は、とロンから尋ねられたドラコが名乗るとロンは鼻で笑い二人は「何だ」「何だよ」と睨み合い出した。
険悪な雰囲気を醸し出した二人にハリーとサフィニアは困り果てる。
「喧嘩ならコンパートメントの外でしてもらえるかしら」
諫める言葉にロンはドラコ以外にも人がいた事を思い出し声の主であるサフィニアを見る。
「君は」
「私はサフィニア・ダーズリーよ」
よろしくと険悪な雰囲気が霧散した事に安堵しながらサフィニアはロンへと握手を求めた。
サフィニアと握手を交わしたロンは自分の隣に座る人物に目を向けると、向こうから名乗られその名に目を丸くさせる。
「ハリー・ポッターってあの、」
驚愕のあまり歯切れの悪い言葉を発するロンにもうこの反応にも慣れてきたハリーは苦笑いで肯定した。
するとロンは興奮した表情で尋ねる。
「じゃあ、あの傷はあるのかい?」
サフィニアももう見慣れてきた一連の流れであるがロンの「あの傷」発言に新鮮さを感じ、ドラコは不快感を全開にした表情を浮かべた。
「おいウィーズリー良い加減にしろよ」
「何だよマルフォイ。ちょっと位良いだろ」
何故ドラコが不快な顔で自身を睨むのか分からないロンは思わず身構えるが渦中の人であるハリーは何でもない顔で前髪を上げて額に刻まれた稲妻型の傷をロンへと見せる。
その何時迄も消えない傷をロンだけでなくドラコも凝視した。
「本物のハリー・ポッターだ」
魔法界には偽物のハリー・ポッターもいるのだろうか。
サフィニアの疑問はやってきた移動販売により有耶無耶となる。
移動販売で食べ切れない程のお菓子を購入し、それにロンの持っていたサンドイッチとサフィニアとハリーがペチュニアに持たされたバケットサンドと合わせてちょっとしたパーティになった。
サフィニアとハリーの食の細さにロンとマルフォイは驚き、逆に二人の食べっぷりにサフィニアとハリーは驚く。
「君達よくそんなに食べるね」
「ハリー達が少食過ぎるんだよ」
「僕達の食事量は平均的だ」
途中でネビル少年と彼のペットを探していたハーマイオニーがコンパートメントにやってきたりと色々あったがホグワーツ特急は星が瞬く夜空の頃にホグズミード駅に到着した。
サフィニアはダイアゴン横丁で買った書籍や教科書は勿論、暫く読めないからと地元の図書館で何冊も本を借りては朝から晩まで読んで、返却して借りて、また読んでを繰り返しハリーは来年の夏まで会えなくなるダドリーや彼と共通の友人達と外が暗くなるまで遊んだ。
横丁で仕立てた制服が家に届くとダドリーはスメルティングズの制服を、サフィニアとハリーはホグワーツの制服を着てペチュニアとバーノン見せる為お披露目会を開いた。
魔法魔術学校の制服が黒く長いローブを除いて他は普通な装いにバーノンは驚きダドリーは残念がった。
「もっとゲームのキャラクターみたいな格好を想像してたのに普通じゃんか!」
「というか地味ね」
ローブもネクタイもスカートもスラックスも黒。
シャツの白とベストの灰色がある為全身真っ黒と迄はいかないがペチュニアの言う通り地味であった。
「奇抜な服より地味な装いの方が良いだろう。
さあ、儂の可愛い小さな魔女や回ってその愛らしい姿を見せておくれ」
指名されたサフィニアはバーノンの前でくるりと回った。
バーノンに「もう一回」、「もっと」とせがまれて何度か回っているとハリーとダドリーはいつの間にか着替えて紅茶を飲んでソファで寛いでいる。
そんな二人に狡いと声を上げたサフィニアは自身も着替え様とバーノンの前で回るのを止めて二階の自室に向おうとしたがバーノンに止められた。
ペチュニアからバーノンは娘が遠くの寄宿学校へ行くのが寂しいのだと言われて仕方なくサフィニアはその後1時間、バーノンの記憶にサフィニアの姿が焼きつく迄くるくると回った。
最後にはバーノンは泣き出し、向かいのソファに座ったハリーに縋る。
「ハリー、ホグワーツに行ったらお前だけが頼りだ。サフィニアの事は頼んだぞ!」
「分かってるよ伯父さん」
バーノンはある年の夏以来、自分がサフィニアの近くにいられない時はハリーにサフィニアの事を頼む様になった。
それでも今迄はバーノンが会社の都合で家を離れる時など限りの短いものあったが今回は違う。
1年の殆どを遠い学校で過ごす為、サフィニアに限り心配症が過ぎるバーノンは同じ学校に通うハリーに頼るしかなく先程迄飲んでいたウイスキーの効果もあっておいおいとバーノンはハリーに泣き縋っていた。
ハリーの膝を泣き濡らすバーノンにペチュニアは今の内に着替えて来なさいとサフィニアをリビングから追い立てる。
バーノンの泣き声はリビングを出ても聞こえており、そんな父親の様子に苦笑いを浮かべていればサフィニアを追ってリビングから出て来たダドリーに声をかけられた。
「あっちの学校に行ったらあまりハリーから離れるなよ」
「ダドリー迄そんな事を言うの?家の男はみんな心配症なんだから」
やれやれと首を振るうサフィニアにダドリーは茶化すなと珍しく声を荒げる。
バーノンが穴あけドリルの製造会社グランニングズ社の社長だと言うのは近所どころか街の人が知っている程度に有名である。
そんな社長の子供であるダドリーとサフィニア。
特に昔から小柄な女児であるサフィニアは営利目的の誘拐で何度と危ない目に遭って来た。
そんなサフィニアを側で見て来たダドリーは見知らぬ土地で7年を過ごす妹の身を案じるがサフィニア本人は否と笑う。
「大丈夫だよダドリー。あっちとこっちじゃ価値観は違うから私がダーズリー家の子供だからって狙われない」
寧ろ魔法界に行った時の様子から自分よりハリーの身が危ないのではと思うのだが今それを話したらホグワーツへの入学を反対されかね無いのであくまでそれは心の内に秘めておく。
ダドリーはサフィニアの言葉に顔を歪めた。
「こんな事言うとパパもママも泣いちゃうかもしれないからさっきのは内緒ね」
「分かってるよ。それでもあんまりハリーから離れるなよ。お前ぼけっとしててすぐ虐められるからな」
サフィニアは虐められた事があるがそれは元はと言えばダドリーの横暴さに周りの子が業を煮やした結果である。
彼の妹ながら大人しいサフィニアを標的に八つ当たりをし、それが虐めへ発展したのだが本人はその事は知らないし遠方へ行く妹を心配するダドリーにサフィニアは空気を読みもしもの話を始めた。
「虐められたらハリーの梟を借りて助けを求めるからその時はよろしくねお兄ちゃん」
「そうなったらダドリー軍団の奴らを連れてホグワーツに乗り込んでやるよ」
魔法使い相手に立ち向かうと豪語するダドリーにサフィニアは微笑む。
「僕もホグワーツに行ければサフィニアを守れるのにな」
「まさかずっとホグワーツに行きたいって駄々捏ねてたのは私の為?」
「当たり前だろ!なんだと思ってたんだよ!」
ダドリーがホグワーツに行きたかったのは向こうの世界のお菓子や魔法というファンタジーな世界に憧れての事だと思っていたと話せば彼は怒って階段を駆け上がって来た。
その勢いに逃げながらサフィニアは笑って謝り階段を駆け上がる。
「ハリーじゃ貧弱過ぎて盾にもならないし!」
「ダドリー、ハリーは別に私のSPとかじゃ無いからね」
「けど、ハリーはいつもサフィニアを助けてくれるだろ」
ダドリーの言葉の通りハリーは虐めっ子に追いかければ手を引いて安全な所に引っ張ってくれたし不審者に声をかけられれば近くの大人を呼んで来てくれた。
そんなハリーの活躍の中で最たるは身代金目的で攫われた末、死にかけたサフィニアを助けた事だろう。
警察への通報に勘付いた誘拐犯に逃げない様にと狭いロッカーに閉じ込められたまま放置されたサフィニアは真夏の暑い気温の中、脱水症状を起こして死にかけていた。
そんなサフィニアを救出したハリーはバーノンとペチュニアから何度も感謝されそれまでの冷遇から一変してダーズリー家で他の子供達と同様に大切にされる様になった。
そんな経緯もありダドリーはサフィニアに何かあればハリーと、ダドリーが考える様にバーノンもハリーに対して同じ様な事を思っている。
階下から感極まったバーノンに抱きつかれでもしたのかハリーの悲鳴が聞こえた。
「私は大丈夫だから心配しないで」
「・・・手紙」
「ん?」
「僕もちゃんと返事書くから毎日手紙を送れよ!」
毎日は無理だとサフィニアは笑いダドリーと月に何度か手紙を送る約束をした。
そうして9月1日の朝が来る。
スメルティングズ校の入学式がある為式に参加するダドリーとペチュニアとは家の玄関で別れを惜しみ、駅の駐車場でこの後重要な会議があるというのになかなか出発しようとしないバーノンと何とか別れた。
学用品を買いに行った帰り、玄関でサフィニアとハリーはホグワーツ行きの汽車の切符をスネイプから受け取りハリーが切符に書かれた文字を読んで頭を傾げた。
曰く9と3/4番線などという乗り場はあの駅に存在しないと言うハリーにスネイプは深々と溜息を吐いて至極面倒臭そうに非魔法族には見えない秘密の入り口について教えてくれた。
「只の柵、だよね」
「何処をどう見ても」
スネイプは9番線と10番線の間にある柵に秘密の入り口があると言っていたが二人にはどう見ても扉もドアノブ一つ見当たらない。
カートいっぱいにトランクを乗せて壁を見つめるサフィニアとハリーは行き交う大人達に奇異に写るのか駅員にどうしたのか尋ねられては適当にはぐらかしつつその場から離れて、暫くしてから戻り、と一連の行動を何度も繰り返していた。
またしても駅員に声をかけられた二人は一度その場から離れて物陰から辺りの様子を窺っていたがサフィニアとは反対方向を窺っていたハリーがサフィニアの服の袖を引き一点を指差す。
ハリーの指が示す方を見れば自分達と同じく沢山のトランクや梟の入った籠を運ぶ赤毛の家族が目に付く。
同じ事を考えているのだろうサフィニアとハリーはお互いの顔を見つめ合い、暫くして物陰から飛び出した。
赤毛の家族との距離を縮めれば当たり前であるが一家の会話が聞こえる。
カートを押す兄弟であろう少年達の口から「ホグワーツ」という単語が聞こえて半信半疑で一家に近付いていた二人は確信を持って少年達の母親であろう女性に声をかけた。
「あの、すみません」
「あら、貴方達はホグワーツの新入生?」
穏やかな笑みで返してくれた女性は突然声をかけてきた二人を邪険にせず優しく対応してくれた。
荷物を見て二人を新入生と判断した女性は二人が声をかけた理由も察してくれて丁寧に秘密の入り口について教えてくれる。
彼女の息子達が手本となって次々に柵へ消えるのを見て理解したサフィニアとハリーは女性の応援を背に受けて二人同時に壁の中へと飛び込んだ。
薄い膜を通り抜けた様な感覚を感じた直後、先程迄いたプラットホームの喧騒とは違う賑わいにサフィニアは思わず閉じていた瞼を開く。
目の前には紅の車体に金の文字で「ホグワーツ特急」と書かれた機関車が時折蒸気を上げて出発を今か今かと待っていた。
初めて肉眼で見る機関車に口が開きっぱなしのサフィニアにハリーが笑う。
「驚き過ぎて変な顔になってるよ」
「そういうハリーは興奮してる?顔が赤いわ」
互いの顔を一度見つめ合い笑い声を漏らすと荷物を手に機関車内へと乗り込んだ。
二人は暫く車両の中を彷徨い漸く空いたコンパートメントを見つけた。
学用品や1年学校で過ごす生活用品や衣服が入ったトランクはとても重く、小柄なサフィニアとハリーでは荷物を押し上げるのは一苦労であったが先程お世話になった赤毛家族の双子、フレッドとジョージの登場と活躍により荷物の問題は解決した。
賑やかな双子のおかげで分かった事がある。
車内でハリー・ポッターに会ったと興奮気味に母親と話す双子の声を聞きながらサフィニアは本のページを捲った。
ハリー・ポッターの知名度は大人達だけでなく同世代にも有名らしい。
先程コンパートメントで目の前の少年がハリー・ポッターだと分かった時の双子の驚き様を思い出してサフィニアは笑いを零す。
対してハリーの表情は暗い。
「ホグワーツに行って会う人みんな自己紹介する度に驚くのかな」
「ホグワーツは寄宿学校だから始めは騒がれるかもね。でも始めのうちだけだと思うけど」
「そうだといいな」
散々ダイアゴン横丁で大人達に揉みくちゃにされたハリーは身に覚えの無い特別視にうんざりしているらしく窓に肘をつき暫しの別れを惜しむ人々の様子を眺めていた。
「あ、ドラコだ」
魔法界で初めての友人であるドラコを見つけたハリーは彼に向かって小さく手を振る。
サフィニアも窓から外を伺い、ハリーの誘導で両親であろう人達と一緒にいるドラコの姿を見つけると大きな声にはせず彼の名を呼び手を振った。
距離はそこそこに合ったが向こうも手を振る二人に気付いたらしく遠目でも分かる程に彼はアイスブルーの瞳を丸くさせていた。
「ドラコいなくなっちゃった」
「もうすぐ出発時間だから列車に乗り込んだんじゃない?」
二人のいるコンパートメントの窓の前を人が横切る間に見えていたドラコの姿は無くなっていた。
サフィニア言う通りホグワーツ特急が発車する午前11時を後数分に控えたホームは見送りの家族ばかりでホームを賑わせていた少年少女の姿はもう数える程しかない。
見送りがない二人は窓外を見るのを止めてサフィニアは本を読むのを再開し、ハリーは籠に入れていた白梟、ヘドウィグを籠から出して戯れていた。
コンパートメントの外が騒がしい。
誰かがコンパートメントの扉を開けては閉めてを繰り返しているのか開閉の音が遠くから近付いてくる。
隣のコンパートメントの扉が開けられ、すぐさま閉められてとうとう二人のいるコンパートメントの扉がノックされた。
ハリーの応答も最後迄聞かずに扉を開けたのは額に玉の様な汗を浮かべたドラコであった。
「やっと見つけたぞ君達」
荒い息を吐き出しコンパートメントに入って膝をついたドラコにサフィニアは読みかけの本を閉じて自分の隣の席へ着席を勧めた。
ドラコの急な訪問に驚いたヘドウィグを頭に乗せたハリーは自身の隣に置いていた鞄から大きな水筒を取り出し、付属のカップにお茶を注ぐと未だ息の整わないドラコへ差し出す。
「ペチュニア伯母さん特製のハーブティー。冷たくて美味しいよ」
「すまない、いただく」
「それでどうしたの。そんなに息を切らせて
誰かに追われていたの?」
誰かに追われていたのかとドラコに尋ねるサフィニアの頭は昨晩に家族全員で見たサスペンスドラマの影響で血と硝煙、親しい人の裏切りに塗れた妄想が絶賛製造中である。
そんな彼女思考回路を熟知したハリーはサフィニアの言葉に敢えて突っ込みも入れずドラコにお茶のお代わりを勧めた。
「ホームから列車に乗っている君達の姿が見えたから探していたんだ」
生憎二人のいたコンパートメントは前後の入り口から遠く、大体の目星を付けて列車に乗り込んだドラコは先程の様に片っ端からコンパートメントの扉を開けては閉めて中を確かめる他無かった。
発車時刻となったのか窓から聴こえる笛の音の後、振動と共に列車が走り出す。
既に別れの挨拶は済ませたというドラコとサフィニアは無理矢理席替えを行なうと丁度彼の両親が彼の姿を探して右往左往しており、他のコンパートメントの生徒同様にドラコは窓から顔を出して両親に手を振った。
別れの余韻そこそこに向かい合う席となったドラコとハリーがクィディッチの話を始めたので、魔法界のスポーツに興味が湧かないサフィニアは読みかけ本を開いて読書を再開する。
暫く会話をしていて、そこにサフィニアが参加していないのに気付いたドラコはサフィニアに何を読んでいるのか尋ねた。
本からサフィニアは顔を上げ掲げた本にドラコの眉が寄る。
「何だいそのきた、古めかしい本は」
「今、汚いって言いかけたねドラコ」
ハリーの指摘にドラコは呻いた。
しかしサフィニアが手に持つ本は汚いと評されても仕方ない程に痛み、表紙は剥げて何の本であるかすら分からない。
あまりの汚さに自宅のリビングに置いておけばペチュニアにゴミと勘違いされて廃棄予定の雑誌や本と共に紐で括られ、ダドリーには熱したケトルの鍋敷き代わりにされかけた。
そんなこともあった為まだ古めかしいと改めただけドラコはマシだとサフィニアは怒ったりしない。
「この本には魔法界の童話が載っているらしいんだけどドラコが知ってる話はある?」
少しでも雑に扱うと頁がバラけてしまいそうな本を受け取りドラコは驚愕する。
本の中身は英語でなく全てルーン文字で書かれていた。
「ハリー、君の従姉妹は何故ルーン文字が読める。一体何者なんだ」
「何者って、ただ知的好奇心が変な方向に向いてるだけだよ」
ちょっと変わっているんだと本人には聞こえない程の小声でハリーは笑って見せた。
物心付く前から一緒にいるハリーにとってサフィニアがマニアックな言語を理解しているのは些細な事で驚く程の事でもない。
「私は特に三人兄弟の話と毛だらけ心臓の魔法戦士の話が好きなんだけど」
「それなら僕も知っている。確かに有名な童話だ」
「その魔法戦士の話ってどんな話なの?」
珍妙なタイトルに興味を持ったハリーが尋ねた所でコンパートメントの扉が叩かれた。
誰ともなくコンパートメント内への入室を許せば見覚えのある赤毛の少年が顔を覗かせる。
「ここ空いてる?他のコンパートメントはどこもいっぱいなんだ」
「だったらここにいたら良いよ。席はまだ空いているからね」
ハリーの提案に赤毛の少年は表情を綻ばせて荷物と共に入ってきた。
同じ新入生であろう少年に笑顔で迎えるハリーとサフィニアに対してドラコの表情は不承不承といったところだろうか。
そんな彼の表情を不思議に思いながらも少年の荷物を荷台に上げるのをサフィニアは手伝う。
ハリーとサフィニアの二人だけの時と違い四人で力を合わせると意外に難なく済んだ。
見覚えはあるが名前の知らない少年と自己紹介という所で口を開いたのはドラコだった。
「赤毛にそばかす、君はウィーズリー家の子だろう」
確信めいたドラコの言葉に少年は首肯する。
「そうだよ。僕はロン・ウィーズリー」
そういう君は、とロンから尋ねられたドラコが名乗るとロンは鼻で笑い二人は「何だ」「何だよ」と睨み合い出した。
険悪な雰囲気を醸し出した二人にハリーとサフィニアは困り果てる。
「喧嘩ならコンパートメントの外でしてもらえるかしら」
諫める言葉にロンはドラコ以外にも人がいた事を思い出し声の主であるサフィニアを見る。
「君は」
「私はサフィニア・ダーズリーよ」
よろしくと険悪な雰囲気が霧散した事に安堵しながらサフィニアはロンへと握手を求めた。
サフィニアと握手を交わしたロンは自分の隣に座る人物に目を向けると、向こうから名乗られその名に目を丸くさせる。
「ハリー・ポッターってあの、」
驚愕のあまり歯切れの悪い言葉を発するロンにもうこの反応にも慣れてきたハリーは苦笑いで肯定した。
するとロンは興奮した表情で尋ねる。
「じゃあ、あの傷はあるのかい?」
サフィニアももう見慣れてきた一連の流れであるがロンの「あの傷」発言に新鮮さを感じ、ドラコは不快感を全開にした表情を浮かべた。
「おいウィーズリー良い加減にしろよ」
「何だよマルフォイ。ちょっと位良いだろ」
何故ドラコが不快な顔で自身を睨むのか分からないロンは思わず身構えるが渦中の人であるハリーは何でもない顔で前髪を上げて額に刻まれた稲妻型の傷をロンへと見せる。
その何時迄も消えない傷をロンだけでなくドラコも凝視した。
「本物のハリー・ポッターだ」
魔法界には偽物のハリー・ポッターもいるのだろうか。
サフィニアの疑問はやってきた移動販売により有耶無耶となる。
移動販売で食べ切れない程のお菓子を購入し、それにロンの持っていたサンドイッチとサフィニアとハリーがペチュニアに持たされたバケットサンドと合わせてちょっとしたパーティになった。
サフィニアとハリーの食の細さにロンとマルフォイは驚き、逆に二人の食べっぷりにサフィニアとハリーは驚く。
「君達よくそんなに食べるね」
「ハリー達が少食過ぎるんだよ」
「僕達の食事量は平均的だ」
途中でネビル少年と彼のペットを探していたハーマイオニーがコンパートメントにやってきたりと色々あったがホグワーツ特急は星が瞬く夜空の頃にホグズミード駅に到着した。