第1話-出会い-
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体育館へ入場すると、大きな拍手に包まれた
会場を見回すと多くの保護者がこちらを見ていた
いないはずの姿を探し、わかっていても肩を落とす
「(仕事ならしょうがないよな……)」
昔っからお母さんは仕事人間だった
それはお父さんが生きていた時も、だ
寂しくなかったと言えば嘘になる
お父さんが死んでからは
平日の料理も洗濯も掃除も、忙しいお母さんに代わってこなしていた
それはお母さんの力になりたいと思ったのも本当だが
1番は教えてくれるお母さんが、うんと褒めてくれたからだ
頑張るお母さんの背中を押したいと思った
震えるその手を抑えてあげたいと思った
夜中にリビングで泣くお母さんを助けたいと思った
どれもお母さんが仕事人間であっても
たくさん愛情を私にくれたからだ
順々に椅子に座るとしばらくして拍手が止み、入学式が執り行われた
体育館正面に大きく貼られている入学式の予定
来賓の話、PTAの話、学年責任者の話、校長先生の話……………
他にもまだあったが
入学式は始まったばかりだと言うのに、欠伸がでそうになる
「(……………話長いなぁ)」
なんて来賓の人の話を聞きながら思っていた
ふいに視界に入ってきた人に目を向けると、目線の遥か先に懐かしい感情が芽生える
その瞬間は短くも、長い一瞬の出来事だった
「リヴァイ………兵……長………?」
小さな声でそう呟いた
小柄な体格、鋭い目つき、怪訝そうな顔、それとは逆に端正な顔立ち
隣にいたメガネをかけた女の人と少し話をしたようで
腕を組んで、呆れたように笑っていた
知ってる
私はこの人のことがずっと
そこまで考えると、バチッと音が鳴りそうなくらい目が合ってしまった
"前を見ろ"
その人は口パクでそういった後、顎で前を見るよう指示をした
口パクで、言ったはずだ
でも声がちゃんと再生される
前を見ろと、聞き覚えのある声で
"ああ、そうだ。これをお前にやろう。いつ死ぬか分かんねぇからな。これを俺だと思って持ってろ"
あの人の言葉と共に様々な情報が頭の中に流れ込む
倒れ込む兵士、巨人の顔、逃げ惑う市民の姿
そして、背を向けていたあの人が振り返る瞬間
「だ、大丈夫………?」
隣に座ったアルミンの声に気づくと、私は頭を抱えていた
「頭が………痛い………」
「優佳!?」
アルミンが私のことを何度も呼ぶ声が遠のくと、そこで意識がなくなった
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