第3話-意識-
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「運転手さん、すまねぇな。遅れた」
と、割と直ぐに先生とアルミンが帰ってきた
「大丈夫ですよ〜。その子も具合が悪いのかな?」
「ああ、酔い止めは飲んでいたらしいんだか………」
「それでも酔っちゃう子はいますからね、窓開けて、外見てるだけでも結構変わってきますからね」
「ああ………、すまねぇな」
準備が出来たら出発しますね〜と運転手さんは柔らかい口調でいい
先生はアルミンを1番前の席に座らせると、その隣に座ったようだった
何を話しているかも、どんな状況かもわからないがきっと大丈夫だろう
うん、大丈夫だ
だって運転手さんも外を見ておけば大丈夫って言ってたし
その考えとは裏腹にどんどん気持ちが落ちていく
私はあの瞬間、水を買うことしか出来なかった
アルミンに声をかけることすら出来なかった
1番近くにいたのに、アルミンの楽しそうにしている顔を見て安心しきってた
「全員いるな。シートベルトちゃんと閉めろよ」
先生の注意とドアが閉まる音が聞こえ、
俯いた私の目から涙が膝に零れた
なんて情けない
友達の異変に気づけなかったなんて
あんなに苦しそうなアルミンを見て、何も出来なかった
バスが動き出したのを体で感じると
「詰めろ」
と頭から声が降ってきた
パッと見上げるとそこにはリヴァイ先生がいた
先生は私の顔を見て眉間に皺を寄せ、ため息をついた
「え、なん…………」
「いいから詰めろ」
先生の言う通り、私は窓側に移動しその隣には
アルミンとは違う圧迫感があった
「悪いな、前の席はもう埋まってる。我慢してくれ」
「い、いえ………私は大丈夫です。なんならもう1つ空いた席に………ユキが座っていた所に、私が行きます。生徒と………隣なんて嫌でしょ」
「その顔で行くのか」
そうだ、なんて説明すればいい
こんな顔をして、サチの隣に行って、なんて…………
「俺はここがいい。お前が嫌じゃなければな」
「…………嫌なわけないじゃないですか」
バスが発進してからガヤガヤとうるさくなっていく車内
「………アルレルトは大丈夫だ、心配するな」
背もたれによりかかる私とは逆に、先生は背もたれを使わず
隣にいたエレンとミカサものぞき込まないと見れない程に先生は姿勢がいい
「…………あの、背もたれ使わないんですか」
「好きにさせろ」
すみません、と小さく言うと先生は突然真っ直ぐ向けていた視線を横目で私に向けた
「……………アルレルトは大丈夫だ」
「…………さっき聞きました」
「…………そうだったな」
涙が乾いた頃、先生は突然背もたれに寄りかかり
その距離はとてつもなく近かった
「狭くないか」
「…………大丈夫です」
肩が触れそうな距離で、先生は腕を組み目を閉じた
そっか、先生はこうやって狭くなることを想定して
背もたれを使わずにいてくれたんだ
「…………先生ってやっぱり優しいですよね」
「お前も冗談が上手くなってきたな」
「…………冗談なんかじゃないです」
「…………そうか」
それ以降先生は何も言わず、私は窓の外を眺めた
アルミンが大丈夫だと知って安心したのか
それとも先生の体温が高いからなのか
落ち着くからなのか、重たくなった瞼を一生懸命開けようとした
ちらっと先生を見ると、もう夢の中へ行ったらしい
「(はや………)」
先生が寝ているのならと私も目を閉じた
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