第3話-意識-
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それから変わらない、変えられない1週間が過ぎ
校外学習当日となった
3人に背中を押されても何も頑張れない私がいた
柄にもなくビビってんのかと呆れてしまう
「アルミン!」
「あ!優佳!おはよう!」
私は決められた時間より5分早く学校に着くとアルミンがもう先にいて
校庭には7台のバスが止まっていた
「アルミン、早いね」
「早く目が覚めちゃってさ!楽しみで!」
「そっか!」
アルミンはふと学校側を指さした
「あ、エレンとミカサ………」
学校側の石段にエレンとミカサがいて、ミカサだけがこちらに向けて手を挙げた
「2人も同じ理由?」
「うん、エレンなんか昨日なかなか寝付けなかったって」
だからか、とエレンの姿を見て納得した
エレンはミカサの肩に寄りかかり寝ているようだった
「揃ったか」
久しぶりに近くで聞くその声に振り返った
「今日の注意事項を簡単に説明しておく」
「………はい」
先生は私とアルミンの顔を交互に見て紙を見始めた
つらつらと喋る先生をただ見つめることしか出来ず
内容はあまり頭には入ってこなかった
ああ、やっぱりかっこいいな
低い声に、端正な顔立ちに、その立ち振る舞い、全てが好きだな
「オイ、聞いてんのか」
「えっ!あっ!ごめん、なさい………」
「まぁ、いい。とりあえずクラスの奴らが来たら点呼を取れ。それで、お前ら携帯は持ってきてるか」
「…………?持ってきてますけど……」
「出せ」
アルミンが首を傾げると、リヴァイ先生は圧をかけた
ああ、没収か………なんて思っていると
「資料の通り、チェックポイントにはそれぞれ教師がいる。何かあった時のためにすぐに行動出来るようになってはいるが、万が一の場合を考えて連絡先を教える。異論は」
「あ、ありません!」
「ならいい。今から番号を言う」
先生は私たちがスマホを開くのを見て、番号を教えてくれた
「お前らの番号も嫌じゃなければ教えろ」
「あ、はい!」
アルミンの後に私が番号を言うと
「待て、もう少しゆっくり言え」
と、言われてしまった
どうやら早口だったらしい
「あ、ごめんなさい……。080………」
…………これは私が早口なのではなく、先生が慣れていないだけでは?
「…………先生」
「なんだ」
懸命に番号を登録する先生に
「…………最近、スマホ変えたんですか?」
と、質問した
「…………なんでわかった」
先生は睨みつけるような目で私を見ていた
「あ!いえ………、随分懸命に番号を登録してるので………、変えたのかなって……」
「…………去年まで使っていた携帯がぶっ壊れてな。渋々スマホにしたんだ」
「……………もしかして、ガラケー………」
「…………森の中とは言えわかりやすいし、グループで行動してんだから逸れることはまず無いだろう。万が一だ。やたらめったらかけてくるなよ」
どうやら図星だったみたいだ
「…………これは先生のプライベート用ですか?」
「…………仕事用だ。不満か」
「い、いえ!」
きっとそのスマホの中には先生達の番号が登録されていて
ガラケーからスマホに変えた時に一つ一つ、頑張って自分で登録したのかと思うと
ちょっと可愛く思えてしまう
そして、仕事用かと肩を落とす私がいた
「点呼取ったやつから、バスに乗り込むよう指示しろ」
「はい」
「あの、先生!」
アルミンは歩き出した先生を呼び止めた
「なんだ」
振り返った先生にアルミンは
「僕はてっきり、スマホを没収されると思ってました。何故没収しないんですか?」
「なんのための携帯だ」
先生はそれだけ言ってスタスタと歩き出してしまった
「………どういうこと?」
「きっと、先生はクラスメイトに万が一が無いことを願ってる。もしその万が一があった時、クラスメイトが知ってるのは僕らの番号だけだ。その僕らと先生が繋がることで、緊急事態に備えたい、そういうことなんじゃないかな。ほら、資料に僕らの番号書く欄があったろ?」
確かにそう言えば、初めに配られた資料に学級委員の番号を書く欄があって
私たちはクラスメイトに聞かれたことを思い出した
最初はなんの意味があるんだと思ってたけど………。
「…………私たちは仲介役みたいな?」
「そんな所だろうね。先生はああ見えて、クラスメイト全員を心配してるんだ」
もうやめて欲しい
これ以上私の心を持っていかないで欲しい
なんて思いふと先生を見ると
何やらエレンとミカサと話をしているようだった
目を擦りながら先生に何か言うエレン
それに対して、先生は笑っていてミカサも先生のことを見ていた
エレンと先生はとっても仲が良さそうに見えた
「優佳、みんな来始めたよ!」
「えっ、あ、うん………」
先生はあんな顔をして笑うのかと、胸が傷んだ
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