第2話-馳せる-
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「で、ここがこうなる」
3限目、数学
リヴァイ先生はあまりクラスメイトのことは見ず、黒板にただひたすら問題を書いては解説して行く
授業はなんだか眠たくなってくる
先生の声が低いからなのか、ただ単に私に集中力が足りないのか
そういえば先生、朝より顔が穏やかだな……
あ、もしかして低血圧なのかな?
………いやぁでも、リヴァイ先生ってなんとなくだけど
光がたくさん入る部屋で朝早く起きて
家にある植物とかに水やったり、朝ごはんとか凝ってそう
だからきっと11時とかには寝てそうだな
…………でも早く寝るのと低血圧は関係ないか
むしろご飯の方が重要か
先生って何食べて生きてるんだろ………
あ、サンドイッチとか似合いそう
コーヒーとサンドイッチで朝ごはん済ませて
身支度して、ネコとか飼ってたら最強なのに。
んでめっちゃ可愛がるの、普段は見ない顔とかそのネコちゃんは知ってて…………
名前は…………クロにしよう
白いネコなのにクロ。なんでやねん。みたいな
「じゃあ、この問いを………、アルレルト答えろ」
完全に別次元に行っていた私は、意識を集中させた
「は、はい。答えは9-4x²です」
「正解だ」
アルミンが答えたあと、先生と目が合った
…………気がする。
いや、私が先生を見すぎていたせいでたまたまその視線に気づいていたんだろう
そもそも今私が考えてたことって全部理想じゃん
先生にはこうあってほしいなっていうただの願望じゃん
「…………教科書に載ってる5問を、全て解け。時間は10分だ。わからねぇ奴は手を挙げろ。始め」
先生は今まで教えてくれた問題を突然、自力で解いてみろと言い出した
だが、問題はさっきまで先生が教えてくれたことをちゃんと聞いていれば、解けるような問題だ
…………ちゃんと、聞いていればの話だ
言わずもがな、先生の事ばかり見ていた私にとっては
この問題は難しすぎる
取り掛かる仕草を見せたあと、エレンとミカサの方を見た
ミカサはともかく、エレンまでペンを動かしている
……………なんて失礼なことを考えているんだ
まずい………。
全く………わからない。
動かないペン、わからない問題
私は教科書を凝視した
「どうした、わからねぇのか」
その声に見上げると先生が私を見下ろしていた
「…………はい」
「さっきやった問と似たような問題だ。まず………」
先生は私のすぐ隣に詰め寄り、左手を机の上に置いた
とんでもなく近い距離に私は頭がパンクしそうだった
「で、ここに…………」
先生は続けて解き方を教えてくれたが、私の頭には一切入ってこない
「わかったか」
「な、なんとなく………」
「上出来だ。なんとなくわかればいい。わからねぇままにするな」
「…………はい」
「先生!俺もわかりません!」
「今行く」
窓側にいる男子がそう言うと先生は私から離れてしまった
今日はボディソープというより、柔軟剤の匂いが私の鼻を支配した
そこでとあることに気づく
「(…………紙?」)
机の左側に小さく折りたたまれた紙があった
いつからあったのか、私はその紙をそっと手に取り開いた
その紙には
"授業に集中しろ。放課後、数学準備室まで来い"
と割と丁寧な字でそう書かれていた
さっき先生を呼んだ男子のところを勢いよく見ると先生はもうそこにはいなくて
次に教卓に目をやると先生は黒板につらつらと問題を書いていた
その先生から目が離せなくて、私はすっかり問題を解くなんてことを忘れていた
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