第2話-馳せる-
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「それで、前世だと明確になって、今朝俺のところに来たわけか」
「………はい」
先生はさっきの作業の続きを始めた
私も同じように資料をホチキスで止めていく
「………すまなかったな」
「え?」
「覚えていなくて。俺が覚えていれば力になれたかもしれねぇのにな」
リヴァイ先生の苦しそうな顔に、切なそうな顔に
私はひたすら泣きそうになった
入学式の日、保健室で前世の記憶があると聞いた時
やんわり断ったリヴァイ先生を見て察するべきだった
先生は本当に本心で会ったことがあるかと聞いたということに
もっと早くに察するべきだった
そしたらこんなにも先生に辛そうな顔をさせなくて済んだ
「…………ごめんなさい」
「なぜ謝る」
「ごめん、なさい………」
泣き出した私を見て先生は慌てているようだった
「オイ………、なぜ泣く」
「リヴァイ先生が…………優しいから………」
リヴァイは深くため息をつくと
「お前は人が優しいと泣くのか」
と呆れた様子でそう言った
「だってぇ〜!!!」
私は声を上げてわんわん泣いた
「オ、オイ…………」
さっきの思いと同時に、なんで覚えてないのと
詰め寄りたくなる感情を必死に押さえた
きっと、やっと会えたのに
きっと、ずっと探していたのに
「ど、どうすれば泣き止む………」
「わかりません〜!!」
リヴァイ先生、ごめんなさい
私に先生だけの記憶がなかったらよかったのに
そしたらこんな、こんな苦しい思いを………
そこまで考えて思考が停止した
「…………先生?」
気づけば私は先生の腕の中にいてその首筋から、ボディソープだろうか、とてもいい匂いが鼻に伝わる
「あの………先生………」
「なんだ」
「なんで………、抱きしめるんですか………?」
「お前が泣き止まないからだ」
「先生は………、泣き止まない生徒がいたら、抱きしめるんですか?」
「知らん。お前が初めてだ」
トントンと優しく叩かれる背中から先生と重なる心音から安心感を覚える
「………… 高橋」
すっと私の首元に顔を埋めた先生を突き放した
「あ!あの!えっと!そうだ!私用事があるんだった!すみません先生、失礼します!!!」
そう言い残し、カバンを手に取りすぐさま準備室をでていった
先生が最後どんな顔をしていたかはわからない
きっと私があのまま抱きしめられていたら
言わなくてもいいことを言ってしまいそうで怖かった
「…………参ったなぁ」
その時にはもう、先生への想いで心は侵食されていた
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