第2話-馳せる-
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「私の話ですか!?」
「なんで本人を目の前にして、違うやつの過去を聞かなきゃならねぇんだ」
リヴァイ先生はじっと私の目を捉えて離さない
「…………話したくなければいい」
「いえ………。私はなんてことない普通の、学生です」
「前世の記憶を持っている人間を普通とは言わない」
「確かに、そうですね」
クスクスと笑うとリヴァイ先生は資料をまたホチキスで止めた
「どんな風に過ごしてきた、か………」
「…………じゃあ前世についてだが、最初っから記憶があったのか」
「あ!いえ………父が死んでからです」
リヴァイ先生は、すまんと小さく謝った
「い!いえ!正直に言うと、そんなに記憶なくて………」
ははは、と笑いながらまとめた資料にホチキスを止める
「割と最近、母にきいたんですが
私が幼稚園の頃、車で迎えに来てくれた父は
大幅に車線をはみ出した対向車に正面からぶつけられて……。
そこからはたった1人でお母さんが働いて、家事も何もかも全て、私の面倒を見てくれました」
リヴァイ先生の返事を聞かないまま、私は続きを話した
「…………ただひたすらに優しくて、温厚で、母と仲が良かったということだけが父に関して覚えてることです。
父が居なくなったことが理解出来ず、お父さんはどこに行ったの?帰ってくるの?ってそればっかりでした
………今思えば、母にとってはきつい質問だったと反省してます」
「…………そうか」
「あ!す、すみません!こんな重い話………」
「いい、続けろ」
リヴァイ先生は手を止めて、体ごと視線を私に向けてくれた
「…………父が死んでから不思議な夢を見るようになって
覚えてるのは誰かの首を持つ黒髪の女の子と、
それを見て泣いている黄色い髪の男の子、
私が"エレン、ごめん"と言う、その一部分でした。
初めは前世の記憶かなーくらいの気持ちだったんですが、
あの3人が私の夢に出てきたんだと
話を聞いて前世の記憶なんだと確信しました」
「…………イエーガーたちのことか?」
「はい………」
「……そうか。それでその夢はまだ見てんのか」
「いえ……。ただ入学式で倒れたとき、
保健室で見た夢があって、それはエレンと海で
これで最後だからと話をする夢でした。
…………入学式の夜、また違う夢を見て
それはアルミンだったとすぐに気づくことができました」
「…………どんだけ夢みるんだ、お前は」
「………私もそう思います」
先生の言葉に笑うと、ふっと先生も笑っていた
「…………いいか、俺は今からお前の手を握る」
「……………へ?」
「嫌であれば嫌だと言え」
「えっ!?え!?!手を握る!?」
訳の分からない予告に私は取り乱してしまった
「早く答えろ」
「嫌………、ではないですけど………」
「そうか」
リヴァイ先生はそう言って、私の手を取った
「先…………生……」
「辛かったな」
優しいその声に震える唇をぎゅっと結ぶ
「…………父親が死んで、訳の分からねぇ夢を見て、前世を知って……。辛かったろ」
先生は私の手の甲を親指でそっと撫でると、私よりも大きく硬い手でまたぎゅっと握った
「………でも3人に出会えました。きっと前世の私は、きっともう………会えることは無いとそう思ったはずです。そして、先生にも出会えた。前世の想い人であった先生と………」
そこまで言って、何を言っているんだとまた口を噤んだ
「すみません、忘れてください」
「いや、悪くねぇ」
「…………え?」
「前世のお前が俺を思っていたという話だ」
「ええ!?」
「…………お前はいつになったら俺の冗談に気づく」
「あっ!えっ!そ、そうですよね!すみません………」
リヴァイ先生はクスリと笑うと私の手を離した
こんな顔して、笑うんだなとぎゅうっと心臓が痛くなった
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