第2話-馳せる-
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今朝と同じように準備室の前で深呼吸を一つし、ドアをノックした
「失礼します」
そのドアを開けると、リヴァイ先生さえ居なかった
「………あれ?準備室って言ってたよね……」
少し後ろに下がり、この部屋は数学準備室で合っているのかを確認する
確かにここだ、私が間違えたんではなくリヴァイ先生が間違えたのだろうか
職員室に行ってみよう、そう思い振り返ると
「うわぁ!」
後ろにリヴァイ先生がいた
しかも大量の紙を持って
「なんだ、化け物でも見たか」
「い、いるなら声掛けてくださいよ!」
「いや、つい、な」
先生は私の横を通り過ぎると準備室に入っていった
「どうした、入れ」
「あ、はい………」
リヴァイ先生は机に持っていた紙をドカっと起き、私の方を見た
「座らねぇのか」
「あ、失礼します………」
今朝と同じところに腰を降ろした
「アルレルトはどうした。遅れてくるのか」
「あ、いえ………今日はおじいさんの通院に付き合う日だそうで……」
「そうか。お前は用事はなかったのか」
「私は特に……」
「そうか、助かる」
リヴァイ先生は何も置かれていない机の上に持ってきた紙を束にして広げた
「悪いが、1枚ずつとって1部としてまとめてくれ」
「…………結構な量ですね」
「来月の校外学習について説明が書かれている。ご丁寧に集合時間からびっしりな」
「校外学習があるんですか!?」
「そうだが、知らなかったのか」
「…………すみません」
「別に謝ることじゃない。始めるぞ」
先生は私の隣に座り、1枚ずつ手に取ってホチキスで止め始めた
そして私の前に置かれたもう1つのホチキスをただ眺めた
「どうした、やる気がなくなったか」
私の視線に気づき、先生は手を止めた
「いや………、先生もやるんですか?」
「当たり前だろう。お前1人に任せると思ったのか」
「…………はい」
「俺がそんなに薄情なやつに見えたか」
机に肘を起き、頬杖をつきながら私を見る先生を見返すことができなくて、私は俯いた
「そ、そういうことじゃなくて………。先生、忙しいと思ったから」
「そうだ、俺は忙しい。だから早く終わらせるぞ」
「はい………」
当たり前だ、ものすごく当たり前のことだ
至極真っ当なことを言おう
先生が私の隣で作業をしている
それがどれほど緊張するか
「……………先生」
「なんだ」
「今日の、お昼は………何を食べましたか」
「……………弁当だ」
「…………愛妻?」
「残念ながらコンビニのな」
リヴァイ先生は私がどうでもいいような質問をしても、割と返してくれる
「そういうお前は何を食ったんだ」
そして、こうして聞き返してくれる
「お母さんが、作ってくれたお弁当です」
「そりゃあよかったな。うまかったか」
「はい、とても」
少しの沈黙が続く
まさか、先生と二人っきりになるとは思っても見なかったから会話の引き出しを漁っては考え漁っては考えを繰り返す
今にもショートしそうだ
「お前らはどんな話をするんだ」
「………え?」
「………イエーガーたちと、どんな話をする」
「え、えっと………今日はお昼に昨日のドラマを見たかって話をしました」
「あとは」
「あとは………、あ、入学式の帰りに寄ったファミレスで今までどんな風に過ごしてきたのか話しました」
「そうか。どんな風に過ごしてきたんだ」
「えっと………、まずエレンは物心着いた時には前世の記憶があったみたいで………」
「オイ、待て。お前の話を聞いてんだ」
「………………?話してますよ?」
「お前は馬鹿なのか。お前がどんな風にして育ったかを聞いてるんだ」
意外だった
先生は私の今までに興味があるのかと思ったら
それはもう心の底から意外だと思った
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