第2話-馳せる-
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「お前ら、何故決められない。たかが学級委員長だ。早く決めろ」
先日、先生が言った役割を決めるという1限目のホームルームでは
学級委員長だけが決まらず、帰りのホームルームでも時間を費やした
授業が終わってからもう30分も経つ
学級委員長なんて誰もやりたくないだろう
理由のひとつとして、学級委員長になればきっと先生に呼ばれる回数が多くなると皆わかっているからだ
先生と一緒にいるなんてごめんだとそう思っているんだろう
さっきから手をあげようかどうしようか迷っている
男子一人、女子一人を決めなければならない
でも今朝先生に伝えた前世の記憶と、先生の表情が離れなくて
私は皆とは違う理由で手をあげられなかった
「……………はい」
「………アルレルト、なんだ」
「僕、やります」
私の後ろにいたアルミンをゆっくりと振り返り見ると
アルミンの目は泳いでいた
「そうか、助かる。あとは女子だ。誰かいないか」
先生はアルミンに真っ直ぐ目を向けたあと
すぐに生徒全員の顔を見た
私も手を挙げるべきか…………、でも………
「せ、先生」
「なんだ」
アルミンはまた手を挙げて先生を呼びかけた
「じょ、女子の学級委員長に高橋さんを推薦します」
「え!?」
今度は勢いよくふりかえるとアルミンはチラッと私を見てからまた先生を方を見た
「…………理由を聞こう」
「………これは私情ですが、高橋さんとは昔からの友達です。高橋さんは昔からの周りをよく見て、一人一人の感情を理解する力を持っています。で、ですので、クラスをまとめる人としてはうってつけかと………」
「ちょ、ちょっとアルミン!」
小さな声でアルミンを呼びかけてもさっきからチラッと見るだけで、何も答えてくれない
「そうか。高橋、頼まれてくれるか」
先生は、柔らかい顔で私に尋ねた
「はい………」
そんな顔で言われたら、NO意外の言葉を出すことは出来なかった
「………助かる。これでようやく、役割が決まった。今日はもう解散する。アルレルト、高橋、手伝って欲しいことがある。用事がなければ数学準備室まで来い」
先生はそう言い残して、クラスを出ていった
「ええ〜…………」
「お前ら早速頼まれ事だな」
私とアルミンの前にカバンを抱えたエレンとミカサが立っている
ケラケラと笑うエレンに対し
「笑い事じゃないよ〜………」
と椅子の背もたれを伝って下に少し落ちた
「ご、ごめん、優佳………。こういうの適任だと思ったんだ」
「…………アルミンは適任だけど私は人の上に立つ人間じゃないよ」
「そんなことないよ!僕がさっき言ったのは本心で、優佳は昔から人を引っ張っていく明るさと優しさがある!それに僕は何度だって救われたんだ…………、だから………!」
アルミンはそこまで言って、はっとした顔をした
次には耳まで真っ赤に染めて
「ご、ごめん………」
「ま、アルミンの推薦なら鼻が高いかな」
「…………よかった」
アルミンの嬉しそうな顔を見て、承諾してよかったと思えた
「そういや、アルミンお前じいちゃんの今日病院、付き合う日じゃねぇの?」
「……………あ!!!」
エレンの問いかけに机を叩きながら立ち上がったアルミンを見て私は血の気が引く思いだった
「そうだ!今日、おじいちゃんの通院の日だ!!」
「…………嘘でしょ」
「エ、エレン!僕の代わりに………」
「無理だよ、俺だって今日母さんにこき使われんだ」
「そんな…………」
眉を下げたアルミンは顔の前で手を合わせた
「ごめん!今日だけは…………」
「…………今度、ご飯奢ってよね」
ため息をつく私を見てアルミンは
「ありがとう………!必ず奢るよ!」
と明るい笑顔を見せてくれた
3人に手を振り、私はカバンを持って数学準備室へと向かった
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